よすが
最新 最初 全 
#631 [○○&◆.x/9qDRof2]
微笑む父に母はまた笑った。私は何故か違和感を覚えたが、父に「いってらっしゃい。頑張ってね」と声を掛けると玄関に向かった。
リビングに上がると違和感が一気に増した。違う。何かが違う。仏壇に私の写真がない?母の笑顔が頭にちらつく。父の言葉が頭を過ぎる。
:22/10/25 18:02
:Android
:zH8LnywQ
#632 [○○&◆.x/9qDRof2]
「頑張ろうな」
頑張ろうな?
昨日から何かが変だ。
前向きだが、何かが違う。
私は母が家に入って来ないことに気付いた。
:22/10/25 18:02
:Android
:zH8LnywQ
#633 [○○&◆.x/9qDRof2]
母の声が再生される。
「私もこのまま出ます」
出る?何処へ?
何故一昨日帰ってこなかった?
何故一昨日普段着だった?
私は弾かれたように家を出た。
:22/10/25 18:02
:Android
:zH8LnywQ
#634 [○○&◆.x/9qDRof2]
キョロキョロと辺りを見渡せば、彼方に母の後ろ姿が見えた。私は走って後を追った。おかしい。人間の頭で考えるのも変だが、どうもおかしい。私は死んだ。消滅するのはいつだ?三途の川はどこだ?お花畑や血の池地獄にはいつ行くのだ?
:22/10/25 18:03
:Android
:zH8LnywQ
#635 [○○&◆.x/9qDRof2]
それに、まだ見ていない。私という死者が存在しているのに、私以外の死者の姿を。私は何だ?一つの希望が頭に浮かんだ。希望を断たれた時に傷付くのは嫌だが、往生際が悪いのは私の性格だ。だが、私はそれに賭けてみたかった。
:22/10/25 18:03
:Android
:zH8LnywQ
#636 [○○&◆.x/9qDRof2]
私は死んでしまった。だけど、夢くらいは見ても罰は当たらないだろう。
希望くらいは持っても、神様は許してくれるだろう。母の隣を歩いて、やがてある建物に着いた。ここは、
「病院?」
白に統一された建物を見て、私の気持ちは高鳴った。落ち着け、私。まだ早い。答えは母について行けばわかるだろう。施設に入ると、内部を一瞥してから母は受付を済ました。
:22/10/25 18:04
:Android
:zH8LnywQ
#637 [○○&◆.x/9qDRof2]
エレベーターで三階に上がると、廊下を通り抜けてある病室の前で立ち止まる。母がドアを開ければ、中は個室になっていた。室内を見た私は、目を丸くした。
「なんで?」
そこには、病室のベッドに身を埋めて眠る私の姿があった。口元には呼吸を助けるためなのか、規則正しい音を出す機械が伸びている。呆然とする私の前で、母はせっせと世話をし始めた。花瓶の水を変えている母を眺めていたら、ふと我に返る。即座に病室の前の名札を見に行けば、桜井千恵と書かれていた。
:22/10/25 18:04
:Android
:zH8LnywQ
#638 [○○&◆.x/9qDRof2]
間違いない、私だ。もう一度目を向けると、ベッドの上の私は眠るように胸を上下させていた。予想は当たっていた?私は死んでなかった?夢を見ているのではないか。喜びと同時に疑問も溢れた。母や父が元気になった理由は頷ける。
:22/10/25 18:04
:Android
:zH8LnywQ
#639 [○○&◆.x/9qDRof2]
しかし、私の葬式は確かにあった。ならば、いつ私は生き返ったのだろうか。いやそれより、何故私は肉体に戻れないのだろうか。これは意識不明の昏睡状態というものか。それとも植物状態というものか。それより問題は身体に戻れないこと。私が何度試しても、映画のように魂が肉体に戻ることはなかった。
:22/10/25 18:04
:Android
:zH8LnywQ
#640 [○○&◆.x/9qDRof2]
これじゃ…生き返ったなんて言えない。肉体は生き返っても、私の心はこうして死んだままだ。でも、悲しくはない。ようやく希望が見えた。生きているとわかったその時から、私の心の中心はある感情に支配されていた。あの時、奥深くに封印したはずの想いが、いつの間にか溢れ出していた。
.......孝。
:22/10/25 18:05
:Android
:zH8LnywQ
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194