夢の中の私の影
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#30 [紫陽花]
陽乃は何か言いたそうに見つめてくるが、私は鞄から単語帳を取り出し視線を陽乃から外した。

確かにプールは苦手。でもそれは今に始まった事じゃない。
陽乃は知らないが、私はプールに入ると気分が悪くなると言う症状を小学校の時から抱えている。

⏰:08/04/11 21:36 📱:F905i 🆔:ylE0ZPrI


#31 [紫陽花]
体の硬直・貧血
目眩・息切れ・過呼吸……

プールで気を失い水死しそうになったことだってある。けれど水泳の授業に出席しなければ体育の単位は取れない。
だから陽乃には悪いが私は無理してまで授業に出席しなければいけないのだ。

水泳の授業なんて無ければいいのに。それに何で私はプールが苦手なのだろう……

⏰:08/04/11 21:38 📱:F905i 🆔:ylE0ZPrI


#32 [紫陽花]
――――――――………

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目を開けるとそこには真っ白な天井と清潔感を漂わせる純白のカーテンがひらりひらりと風に揺れていた。

⏰:08/04/11 21:39 📱:F905i 🆔:ylE0ZPrI


#33 [紫陽花]
「また、やっちゃった…」

体育の授業で陽乃と一緒にプールへ入り、とりあえず体を水に慣らしたところまでは鮮明に記憶があり思い出すことができる。

けれど10分ほどたった頃からだろうか急に体が鉛のように重くなり瞼さえも開けておくのが億劫に感じ、最後に見えたのは陽乃の青ざめた顔。

⏰:08/04/11 21:40 📱:F905i 🆔:ylE0ZPrI


#34 [紫陽花]
また心配かけてしまった……。
保健室のベッドの上で小さく寝返りをうち、自己嫌悪に入る。白く清潔なシーツたちとは裏腹に私の心は暗く自分の不甲斐なさにため息がでる。

なんでこんなにプールが苦手なのだろう。

⏰:08/04/11 21:43 📱:F905i 🆔:ylE0ZPrI


#35 [紫陽花]
それに、私の悩みはプールだけではない。あの奇妙な夢のこともある。
「さっさと陽乃に相談していればよかったなぁ…」


そう思いながらも清潔感漂うこの部屋の静寂が私の瞼を落とさせるのには、そう時間はかからなかった。

⏰:08/04/11 21:43 📱:F905i 🆔:ylE0ZPrI


#36 [紫陽花]
感想版
読んでる方がもしいたら
ぜひ感想ください!!(゚∀゚)

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3531/

⏰:08/04/11 21:48 📱:F905i 🆔:ylE0ZPrI


#37 [紫陽花]
――――――――………

―――――………


「陽乃!!おはよう」
「おはよう柚紀ちゃん。あのね聞いてよ〜」

季節は夏を早々と迎えもう、少し哀愁を帯びた風の吹く秋へと変化していた。

⏰:08/04/13 09:11 📱:F905i 🆔:SVHYHgLM


#38 [紫陽花]
陽乃とは毎朝一緒に学校へ行っているし今までと変わらず、いたって普通の生活を送っていた。

ある一点をのぞいては。

あの奇妙な夢のことだ。
最近、前以上に夢見が悪く寝汗も秋だと言うのに尋常じゃないほどかいている。

⏰:08/04/13 10:30 📱:F905i 🆔:SVHYHgLM


#39 [紫陽花]
そんな憂鬱な秋の日、事件は起こった。いや、螺旋階段のような終わりの見えない事件は始まったのだ…。



_

⏰:08/04/14 21:14 📱:F905i 🆔:ygl5UK7Q


#40 [紫陽花]
「おはよ〜みんな!!」
陽乃は朝から元気で、みんなに声をかける。

「おはよ陽乃、柚紀。ねえ、ちょっとこれ見て…」

クラスの友人である香奈は私たちを見るなり声のトーンを一つ落として、ある一点に視線を当てた。
私と陽乃も視線をおって教室を見回してみる。


「……花瓶?」

⏰:08/04/14 21:15 📱:F905i 🆔:ygl5UK7Q


#41 [紫陽花]
クラスの窓側の席に白く質素な百合の花が飾ってあった。


確かあの席に座っていたのは美化委員の里山君のはず。
里山君は私と幼稚園からの腐れ縁で、幼稚園から高校までずっと同じ学校だった。

⏰:08/04/14 21:16 📱:F905i 🆔:ygl5UK7Q


#42 [紫陽花]
里山君はクラスの中で私以上におとなしい人。
いや、目立たないと言った方が正しいのかもしれない。

彼の風貌からは髪が短くすっきりとしていて制服はきちんと着こし、もとからであろう小麦色の肌がいかにもスポーツマンのようなイメージを連想させる。

⏰:08/04/15 21:18 📱:F905i 🆔:ZHIiLkac


#43 [紫陽花]
ただ、そんな彼はイメージとは似つかわしくなく、いつも隅っこで他人の目を気にするようにおどおどと本を読んでいた。

⏰:08/04/15 21:18 📱:F905i 🆔:ZHIiLkac


#44 [紫陽花]
「里山君がどうかしたの?」

机に花瓶。誰が考えたって理由は一つしかない。けれどその悪い予感を振り払うように祈る気持ちで私は香奈に問う。



だがその祈りは空の向こうにいるであろう神様には届かなかった。

⏰:08/04/15 21:19 📱:F905i 🆔:ZHIiLkac


#45 [紫陽花]
「里山君が…亡くなっ……たんだって………」

言葉をなくした。

いや、頭の中に言葉が渦巻いて私の国語能力では言葉にできなかった。

⏰:08/04/15 21:20 📱:F905i 🆔:ZHIiLkac


#46 [紫陽花]
里山君ガ死ンダ?
幼稚園カラ友達ダッタンダヨ?

ヤッパリ、ソンナ気ガシテタ

デモ、ナンデ?
ナンデ?

ナンデ?

ナンデ?

⏰:08/04/15 21:21 📱:F905i 🆔:ZHIiLkac


#47 [紫陽花]
「なんで里山君亡くなったの?病気?事故?それとも…」

私の疑問を口に出すより早く陽乃が口を開いた。陽乃の冷静さに少し驚いたが私も香奈の答えを待つ。

だが香奈は下を向いたまま首を振るだけ。

「まさか…」

⏰:08/04/15 21:21 📱:F905i 🆔:ZHIiLkac


#48 [紫陽花]
香奈は顔を上げた。
目には涙を浮かべ、


「里山君殺されたの…」


今にも消え入りそうな声で呟いた。香奈の目には大粒の涙。けれど彼女は自分が担任から聞いた里山君の最後の姿を話していく。

⏰:08/04/16 22:55 📱:F905i 🆔:7Jb0hacc


#49 [紫陽花]
香奈の話はこうだった。

その日里山君は塾に行っていたのだが、あまりにも帰りが遅いので彼の母が心配し警察に捜索願を出したということ。

無事里山君は見つかったが、その時点で彼はもう死んでいたらしい。

里山君の殺され方は首を強く絞められたための窒息死。人とは思えないほどの握力で彼の息をするための細い管は締め付けられ頭を支える首の骨も折られていたらしいのだ。

⏰:08/04/16 22:55 📱:F905i 🆔:7Jb0hacc


#50 [紫陽花]
「ひどい…。いったい誰が…」

「今警察が通り魔の犯行ってことで調査してるらしいの。でも…早く犯人捕まえないと里山君成仏できないよ!!!」


香奈は半ば叫ぶように声を荒げた。そう、香奈は里山君のことだ好きだったから。

⏰:08/04/18 00:24 📱:F905i 🆔:WisuNr4Q


#51 [紫陽花]
「香奈……」

私だって大切な人を亡くす悲しみと辛さはよくわかる。

涙は枯れると言うことを知らないかのように制御不能で零れ落ち、体は重力に逆らうことを止め崩れ落ちる。

声をかけてほしい。
ほっといてほしい。

慰めてほしい。
同情しないで。

心の中ではそう叫ぶが、喉のあたりまで来て嗚咽へと変わる。

⏰:08/04/18 00:25 📱:F905i 🆔:WisuNr4Q


#52 [紫陽花]
その日先生がお焼香やお葬式について説明していたが、私は泣きじゃくっていた香奈と殺された里山君の事をぼんやりと考えていた。

⏰:08/04/18 00:26 📱:F905i 🆔:WisuNr4Q


#53 [紫陽花]
感想板
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3531/

⏰:08/04/18 00:29 📱:F905i 🆔:WisuNr4Q


#54 [紫陽花]
――――――………

―――――……



ここはやっぱりいつもの夢の中だろうか?辺りを見回しても闇ばかり。むしろ自分が今、目を開けていて物を見ようとしているのかを疑いたくなるような闇。自分の目が何を映しているのか分からない。

⏰:08/04/19 20:31 📱:F905i 🆔:a5Sf4KpM


#55 [紫陽花]
だが頭は冴えており、やっぱりこれは夢だろうと確信している自分がいる。

とは言え、光という目に見える確かなものが無いせいか、これは夢なのだと分かっていても鳥肌が立つ。





「タスけッ………てッ…!!マ……て……くれッ!!!」

⏰:08/04/20 16:27 📱:F905i 🆔:2A42QSR2


#56 [紫陽花]
そして、またいつもの声がする。否、音という情報だ。

どうせこの後、じめじめするような気持ちの悪い寝汗とともに目が覚めるのだろう。そう思い、自分が夢から覚めるのをしばらく待ってみる。

けれど一向に暗闇は続き音も送られ続ける。ふとあることに気付いた。


『あれ……?この声どっかで聞いたことがあるような……』

⏰:08/04/20 16:28 📱:F905i 🆔:2A42QSR2


#57 [紫陽花]
――――――――………

――――――………

目を開けると朝の白く透き通るような光りが窓から差し込んでいた。


私はベッドから上半身だけを起こし右手を額に当てる。
寝汗もさることながら、今日は頭痛も私の体をベッドから出させるのを億劫にさせていた。

⏰:08/04/20 16:29 📱:F905i 🆔:2A42QSR2


#58 [紫陽花]
歯痒い。


だが、いつまでもこうやって気を沈ませているわけにはいかない。

体を起こし私は学校へ行く準備を始めた。

⏰:08/04/20 16:29 📱:F905i 🆔:2A42QSR2


#59 [紫陽花]
――――――………

―――――……

里山君が死んでから一週間。

最初はみんな里山君の死を悔やみ、うつむいた日々を送っていたが最近では以前と同じように、たわいのない会話で笑顔をこぼせるようになっていた。

それは私も同じ。

⏰:08/04/22 22:01 📱:F905i 🆔:U1RFsk56


#60 [紫陽花]
幼稚園からの中である里山君を忘れたわけではないが、私の住むこの町、いや私の世界は何ら変わらず回っていた。


だが、まだ里山君を殺した犯人は見つかっておらず香奈だけは落胆した日々を送っているようだった。

⏰:08/04/22 22:02 📱:F905i 🆔:U1RFsk56


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