カスミソウ。
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#21 [みや]
『…うん!』

来てくれるのは確かだし!

そう思ってカスミソウを抱えながら車にはしる。

後ろを一度振り返り

『ばいばい!』

と手を振ると、少し笑って手をふりかえしてくれた。

…―そんなあなたが

  やっぱり

    大好きです。

⏰:08/05/05 09:34 📱:W53T 🆔:☆☆☆


#22 [みや]
次の週―

巧次君が言っていた通りおばあさんが畑にいた。

『おばあさん!!』

私は嬉しくて走って畑まで言った。

おばあさんは私に気付くとすごく嬉しそうな顔をしてくれた。

ゆっくり桑を隅に降ろすとこちらに向かって来た。

「おーおー、久し振りだねぇ」

おばあさんの優しい笑顔が一か月ぶりに見れた。

『はい!大丈夫なんですか??』

⏰:08/05/05 13:14 📱:W53T 🆔:☆☆☆


#23 [みや]
嬉しくて飛び付きそうになったけど…やめたんだ。

笑顔は一か月前のまま。

なのに…おばあさんはすごく痩せた様に思えた。

動作も前より遅く、喋り方も少し遅くなっていた。

「あー…大丈夫だよ。少し心臓に負担がかかっていたみたいだから薬をもらってきたんだよ」

そう言って私の右手を握って

心配かけてごめんね

と、言った。

⏰:08/05/05 13:16 📱:W53T 🆔:☆☆☆


#24 [みや]
『ううん!元気そうでよかった』

そう言っておばあさんの手を握り返してあげた。



………―嘘。

本当は元気そうには見えなかった。

握ってくれた手も弱々しくて。

でもおばあさんの笑顔に私はすごく安心したんだ。

『でも、心臓は一番大切なんだからあんまり無理しちゃだめだよ』

ほらっとお花屋さんの所まで連れて行き、椅子に座らせた。

⏰:08/05/05 13:20 📱:W53T 🆔:☆☆☆


#25 [みや]
おばあさんの横で花達が静かに揺れた。

…カスミソウも。

みんな嬉しそうに揺れている。

やっぱりみんなにはおばあさんが必要なんだね。

自然に笑みがこぼれた。

「なのかちゃん、巧次には会ったのかい?」

あ…。そういえば今日見当たらないな?

『うん!逢ったよ♪おばあさんが言っていた通りの人でした』

そう言ってニコッとしてあげれば、おばあさんはそうだねぇと嬉しそうに頷いた。

⏰:08/05/05 13:23 📱:W53T 🆔:☆☆☆


#26 [みや]
『あ、カスミソウも頂きました♪お金は直接渡そうかと思って今日持ってきました』

バックの中をあさって、茶色の紙封筒を出す。

「なのかちゃん、あれは私からの御礼だからいいんだよ」

え?

『御礼…?』

「これからも毎週来ておくれ。カスミソウが咲く季節は毎週。そうしたら帰りにカスミソウをあげるからね」

『本当ですか!?』


…でも、嬉しいけど…何で?

⏰:08/05/05 13:27 📱:W53T 🆔:☆☆☆


#27 [みや]
「花もなのかちゃんにもらってもらえたら、最高だよ」

今までで一番キレイで…悲しい笑顔だった。

しばらくその笑顔を見つめていると誰かに頭を殴られた。

『いった!』

「何ぼけっとしてんだよ、さっさと畑耕せ」

後ろを振り向いたら
いつの間にかいた

巧次君。

『叩かなくても呼んでくれれば分かるよ!』

「るせぇ。お前の頭が叩きやすい所にあったんだよ」

そう言うとふんっと畑の方に行ってしまった。

⏰:08/05/05 16:45 📱:W53T 🆔:☆☆☆


#28 [みや]
「ごめんね、なのかちゃん。いつもはあんなじゃないんだけどねぇ」

おばあさんは難しそうな顔をしながら私の頭を撫でてくれた。

いや、おばあさん?

巧次君は、いつもあんなですけど?

苦笑いしながらおばあさんに御礼をいって、肥料を担いだ。

『おばあさん、まだ退院したばっかなんだからそこでお花と待っててね』

悪いねぇと呟いたおばあさんに笑い掛け、巧次君の所に走って行った。

⏰:08/05/05 16:54 📱:W53T 🆔:☆☆☆


#29 [みや]
「おせぇよ」

私を睨みつけてくる巧次君。

そんな顔もかっこいいと思ってしまう私は相当なバカ女だと思う。

『うるさいなぁ…』


カスミソウの元に向かうと花達の向こう側に一人の女の子が立っていた。

年齢は、多分私と一緒くらい。

服装は可愛らしいとゆーか…今の子達が着ないような白いワンピース。

…………可愛い。


まるで。

カスミソウの中でも一際目立つ―…

 “カスミソウ”


彼女は一瞬で私の第2の“憧れ”になった。

⏰:08/05/05 17:09 📱:W53T 🆔:☆☆☆


#30 [みや]
「おい、なの…」

巧次君も彼女に気付いたらしく、私を呼ぶ声が止まった。

私は振り返らなかったが巧次君がいつの間にか隣りにきていた。


 「こんにちわ」

彼女は言った。

すごく綺麗で

それでいて優しくて

可愛くて

透き通った声だった。
彼女の名前は、“倉本 亜夏葉(クラモト アゲハ)”
これがあなが導いてくれた三つ目の出会い。

おばあさん
巧次君
あげはちゃん

…出会わせてくれてありがとう。

⏰:08/05/06 09:04 📱:W53T 🆔:☆☆☆


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