・・悪魔なキミ・・
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#537 [みい]
震える拳を握りしめ、精神を落ち着かせて耳をすます。
やけに響く声と、鉄骨が倒れるような音…
…!あそこかっ…!
『ま、あの女が大事なら、急いだほうがいいぜ。じゃーな』
甲高い笑い声と共に電話が切れると同時に、俺は一目散に駆け出した。
:08/08/04 23:18
:SH905i
:obrxLMmQ
#538 [みい]
どうかっ…、どうか、間に合ってくれ…!
柚…っ!
………………………………
――*柚稀Side*――
私は薄暗く、だだっ広い倉庫の中でひたすら逃げ回っていた。
「やめてよっ!来ないでったら…!」
:08/08/04 23:20
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#539 [みい]
「お嬢ちゃーん、そろそろ鬼ごっこは終わりにしねえ〜?」
巨体率いる7、8人の集団が、壁で行き止まりになってしまった私ににじり寄ってきた。
「来ないでったら!」
息を切らしながらそこら辺に転がっているものを手当たり次第に投げ付けるが、そんなの何の効果もない。
淕が遠くの壁にもたれたまま、こっちを見て笑っているのが目に入った。
:08/08/04 23:21
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#540 [みい]
…悪魔だ。あの人こそ、正真正銘の悪魔…。
そんなことを考えながら、最後の鉄屑を投げた時だった。
ガシャーン!!
派手な音と共に、倉庫の扉が開く。逆光で顔は見えないけど、あの人影は……
「柚稀はどこだ」
蓮だ…。蓮が、来てくれた…。
:08/08/04 23:36
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#541 [みい]
蓮はつかつかと倉庫の中に足を踏み入れてゆく。
淕が蓮の前に立ちはだかった。
「久々だね、兄さん」
「…ああ」
双子の兄弟の…十数年ぶりの、再会。同じ顔でも全く異なる表情。淕はにやにやと笑い、かたや蓮は無表情。
感動も糞もない。私はよくわからないけど、何故かすごく悲しくなった。
:08/08/04 23:43
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#542 [みい]
「…柚っ!!」
静まった空間に、途端に蓮の声が響いた。
どうやら、奥にいた私の存在に気付いたらしい。叫びすぎて声が掠れてしまった私は、口パクで大丈夫、と繰り返した。
「ってめえ…!」
逃げ回ったせいで散々乱れた私の着衣や、転んでできた擦り傷を見遣ると、蓮は淕の胸倉につかみ掛かる。
:08/08/04 23:44
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#543 [みい]
淕がその弾みでよろけると、
「おい、うちの淕に何してくれてんだよ」
さっきまで私を追いかけ回していた連中が、そう言いながらいつのまにか蓮達の横に立っていた。
「つーか何!?マジ超そっくり〜!ウケんだけど!」
「淕〜、こいつが例のお兄様かよ〜?」
「兄弟でいがみ合うなんて、皮肉だねえ〜♪」
:08/08/04 23:45
:SH905i
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#544 [みい]
「だろ!?俺もこないだ会った時さ、一瞬淕が制服コスプレしてんのかと思ったし!」
様々な冷やかしの声が上がる中、淕が、
「…黙れ」
と一言命令すると、一気にその場が静まり返った。
「兄さん、元気だった?」
胸倉を掴まれたまま、淕が口を開く。
:08/08/04 23:48
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#545 [みい]
「……」
蓮は答えず、淕を睨みつけるだけだ。
「…俺は元気だったよ、お蔭さまでね」
淕は皮肉混じりにそう言うと、力が緩んだ蓮の腕を振り払う。
「小学校では母子家庭で、しかもその母親がアル中ってことでいじめられて、中学入った頃から荒れ始めて…」
:08/08/04 23:49
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#546 [みい]
「高校にも行かずにふらふらしてる俺に比べて、兄さんなんて今は高校生してるんだもんね。偉いねえ〜」
わざとらしく溜息をつき、蓮を見る淕。
「…何が目的だ」
蓮は淕のことは見ず、私のほうを見ながら淕に問う。
淕も同じ様にこちらをちらっと見遣ったあと、
「…まあ、とりあえず…」
:08/08/04 23:50
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