・・悪魔なキミ・・
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#579 [みい]
沢山のバイクが私達の目の前で止まり、ぞろぞろと人が降りて近付いてくる。
「どこのどいつだおめえら。今から集会なんだよ、退け」
頭(カシラ)のような人が私達に向かって言い放つ。
淕は怪訝そうに舌打ちをした。
先程まで蓮を袋だたきにしていた連中は指示を待つように淕の顔色を窺っている。
:08/08/10 00:44
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#580 [みい]
「…なんだ、フクロか。狡い手使いやがって。おい、大丈夫か兄ちゃんよ」
頭が蓮を仰向けにした瞬間、
「いやあっ!」
「…!」
私は蓮のあまりにひどい姿に思わず悲鳴を上げた。
その時、なぜか頭も同じ様に息を飲んだのがわかった。
「矢野さん、どーしたんすか?」
:08/08/10 00:45
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#581 [みい]
…矢野?矢野って、まさか…。
「…俺のダチだ。おい、早くこいつ病院に連れてけ」
手下らしき人ははいっ!と返事をすると、もう力のない蓮をバイクの後部座席に座らせ、走っていった。
「…おい。てめえらをしきってんのはどいつだ」
「…俺だけど?」
頭の質問に淕が私を放し、声を上げる。
:08/08/10 00:46
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#582 [みい]
頭に近付いていく淕。
私は、目を凝らして頭の姿を見た。
いつもはゴムで縛ってある前髪が、今は下ろしてある。
教室での人懐こそうな笑顔なんて全く感じさせない、険しい表情。
そして、私のよく知る調子のよさそうな声の代わりに、低く相手を威嚇するような声色。
全てが普段と真逆だけど…あなたはもしかして…矢野君?
:08/08/10 00:48
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#583 [みい]
「…は?お前…」
淕の姿を目の当たりにした頭は、眉を寄せる。
「あんたのお友達の片割れだけど?」
淕は少し戸惑った様子の頭を見て、楽しそうに笑った。
「ふーん…そっか、そりゃ初耳だな」
頭がそう言い、辺りを見回した瞬間、私と目が合う。
:08/08/10 00:49
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#584 [みい]
「柚ちゃんっ!?」
私の姿を見て、声を上げる頭。
ああ、やっぱしあの矢野君だったんだ。あの、うちのクラスのお調子者の矢野君…。
「なんで、こんなところに…?」
「こっちの台詞だから!銀次、柚ちゃんも病院に…!早く!」
銀次と呼ばれた男の人が、淕から力ずくで私を取り上げた。
「大丈夫すか?」
:08/08/10 00:50
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#585 [みい]
銀次さんの問い掛けに、私は小さく首を縦に振った。
「すぐ着くんで、しっかり捕まってて下さい」
銀次さんは私を蓮のときと同じように後部座席に座らせる。
「矢野君…」
私が矢野君のほうを振り向くと、
「後は任せて。柚ちゃんは蓮の傍にいてあげな。ね?」
:08/08/10 00:50
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#586 [みい]
矢野君はそう言ってウインクをした。
「…うん…!」
私が返事をすると同時に、バイクが走り出す。
蓮…、蓮…!
どうか、どうか無事でいて…
あなたに何かあったら、私は…
私は……
:08/08/10 00:51
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#587 [みい]
…………………………
「…大丈夫っすよ」
「……」
私と銀次さんが病院に着いた時、蓮は既に手術室の中だった。
病院特有の暗い廊下に備わった、長いベンチに二人で腰掛ける。
「こんなに自分のこと思ってくれてる人がいるんすもん、そう簡単には逝けるはずないっす」
銀次さんは私に気を遣ってくれているのか、ひたすら私を励まそうとしてくれている。
:08/08/10 00:52
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#588 [みい]
「私がとろいから…逃げられなくてっ…、それで蓮が…っ」
そう。元はといえば私が逃げ損ねたせいで、蓮は無抵抗を余儀なくされ、殴り続けられたのだ。
「私のっ、私のせいでっ…」
「自分を責めちゃ駄目っす。蓮さんだってそんなこと思ってないすよ」
涙でぐちゃぐちゃになった顔を両手で覆うと、背中に温かい手の平の感触が生まれた。
:08/08/10 00:53
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