・・悪魔なキミ・・
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#592 [みい]

蓮…無事だった…。


そう心の中で繰り返すだけで、自然と涙がこぼれる。


「柚さん、早く病室行ってあげましょう?」


にこっと笑う銀次さんに涙を拭いて頷くと、私達は蓮の病室へ向かった。


………………………………


「柚稀ちゃん!?」

⏰:08/08/10 00:58 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#593 [みい]

病室までの廊下を急いでいると、向こうから歩いてきた夫婦に声を掛けられる。


「おばさん…、おじ、さん……」


それは蓮の両親だった。


「柚稀ちゃん…恐かったわね、もう大丈夫よ」


おばさんが涙ぐみながら私の頭を撫でる。


「私の…私のせいで、すみません…っ」

⏰:08/08/10 00:59 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#594 [みい]

「いやだ、柚稀ちゃんのせいなんかじゃないわよ!」
「近頃は変な連中が多いからな」


おばさんに続いておじさんが発した言葉に、私は胸が痛んだ。


おじさん…、あなたの、息子なんだよ…?蓮を襲ったのは…。


「もうぴんぴんしちゃって、すっかり元気なのよ」


顔出しに行ってあげて、とおばさんに促され、私達は再び足を動かす速度を速めた。

⏰:08/08/10 01:00 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#595 [みい]

………………………………

「…ここっす」


601号室。看護婦さんの字で「染谷蓮」と書かれたプレートがはめられている。


「じゃあ俺はここで」
「ま、待って…」


踵を返した銀次さんを呼び止めた。なんだか、二人では会いづらい…。


「俺、邪魔じゃないすかね?」

⏰:08/08/10 01:01 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#596 [みい]

困ったように聞く彼に、私は少し罪悪感を覚えた。


「邪魔なんかじゃ…。面倒臭いこと頼んでごめんなさい」


私が謝ると、銀次さんは焦ったようにいやいや、と首を振る。


「…じゃ、入りますよ?」


ドアに手をかける銀次さんの後ろに隠れるようにして、病室に入った。

⏰:08/08/10 01:02 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#597 [みい]

「失礼します」
「…誰?」

個室のベッドの上に…蓮がいる。外を見つめているようで、私達のほうを見ないままだ。


「……れ、ん?」


上擦る声を振り絞って呼びかけると、蓮はゆっくりとこちらを向いた。


「…よお、ばかゆず」


そう言ってニヤつく蓮の姿が、涙でよく見えない。

⏰:08/08/10 01:03 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#598 [みい]

「ふえっ…蓮…?ほんとに蓮…?」「俺以外に誰だっつんだよ」


意地悪な笑顔も、憎まれ口も、ほんのちょっとだけ優しい目も…蓮だ。蓮が、ここにいる。


「…っ、蓮〜っ!」


私は全力で蓮のベッドまで駆け寄ると、思い切り蓮に抱き着いた。


「大声出すな、傷口に響く」


キツイ文句とは裏腹に、蓮は私の頭を優しく撫でてくれる。

⏰:08/08/10 01:04 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#599 [みい]

蓮が、生きてる。生きて、こうして私を抱き留めてくれている。


それを実感するだけで次から次へと涙は溢れ、私の頬を濡らした。



「ところで、そいつ誰?」


蓮にそう聞かれるまで、失礼なことに私はすっかり銀次さんの存在を忘れていた。


銀次さんの前で蓮に抱き着いたことがとても恥ずかしく感じられ、私は咄嗟に蓮から離れる。

⏰:08/08/10 01:04 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#600 [みい]

「銀次さん。私をここまで連れてきてくれて、ずっと一緒にいてくれたの」


銀次さんには感謝の一言に尽きる。彼がいなかったら、きっと私は取り乱して、収拾がつかない状態になっていただろう。


私に紹介されぺこりと頭を下げた銀次さんを、蓮は興味なさそうにふーん、と見遣り、


「こいつが世話になったな。…悪いけど出てけ」

⏰:08/08/10 01:06 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


#601 [みい]

と感謝の言葉と同時にまさかの邪魔物扱い。


「蓮!なんてこと…」
「いやいやいいんすよ、柚さん」


蓮への非難の言葉を、苦笑した銀次さんが遮る。


じゃ、お大事にと笑顔で再び頭を下げ、銀次さんは病室を後にした。


「なんでそんなひどいこと言うの!?」

⏰:08/08/10 01:07 📱:SH905i 🆔:stLV/.GY


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