・・悪魔なキミ・・
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#661 [みい]

「…父さん、元気?」
「ああ。大阪に単身赴任してるけど、今はこっちに戻ってきてる。…会うか?」


淕はちょっと考えたあと、


「…いいや。今更会っても、照れ臭いだけだし」


と苦笑を含めた声で親父との再会を断った。


「母親は、どうしてる?」

⏰:08/08/26 00:43 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


#662 [みい]

こんな言い方をしたが、俺が気になっているのは淕のことだ。淕は、今でもあの狂った実母と一緒に暮らしているのだろうか。


「そんなの、とっくにどっかの施設にぶち込んでやったよ」
「…そうか」


ほっとしたのもつかの間、今度は淕は一人で大丈夫だろうかという不安に襲われる。


俺が口を開きかけた瞬間だった。

⏰:08/08/26 00:43 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


#663 [みい]

「言っとくけど、別に寂しくなんかないから」


淕の言葉が俺の口をつぐませる。


「一人も、なかなか気軽でいいもんだよ。働いてるから金だってどうにかなるし」


いつの間にこいつはこんなに大人になっていたんだろう。
俺達双子は、昔とは立場が逆転してしまったたらしい。


「…そうか」

⏰:08/08/26 00:44 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


#664 [みい]

「…うん。じゃ、俺そろそろ行くわ」
「…淕!」



俺を見ないまま病室を出て行こうとする淕を引き止める。


本能のままにそうしたのだが、次の言葉が出てこない。なぜだか、口が勝手に動いたのだ。


淕は、言葉を選びながら沈黙してしまった俺を振り返る。

⏰:08/08/26 00:45 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


#665 [みい]

「…兄さん」


口下手な俺より先に、淕が口を開いた。
俺が呼び止めたのに。気まずいながらも淕に顔を向ける。


「…また、来てもいいかな?」


何を言われるか予想していたわけでもないが、それでもやはりその言葉は想定外で、思わず目を見開く。


「……ああ」

⏰:08/08/26 00:46 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


#666 [みい]

なんとかそれだけ言うと、淕はにかっと笑い、病室を出ていった。


…眩しい笑顔。



「…馬鹿が」


淕はまたここへ来てくれるのだろうか。


そう思うとやけに嬉しくて、柄にもなく一人でにやけてしまった表情を隠すように、片手で顔を覆った。

⏰:08/08/26 00:47 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


#667 [みい]







・・・・・・・・・・・・・・・
Story10〜弱気。
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⏰:08/08/26 00:50 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


#668 [みい]

淕はあれ以来、よく俺の病室にやって来る。


「でさ、そん時浩二が…」


内容はたわいもないこと。仲間の話だったり、バイトの話だったり。

それでも動けなくて退屈な俺には、有り難いことこの上ない。


「失礼しまーす…」
「おっ、柚ちゃんだーあ!」

⏰:08/08/26 00:51 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


#669 [みい]

柚は学校が終わると、必ずと言っていいほど見舞いに来てくれる。


「淕も来てたんだあ!」
「おうよ!」


そして、この二人もいつの間にか打ち解け、三人で喋ることが出来るようになった。


三人でいると、柚が学校での出来事を話し、淕がそれに対して相槌を打ち、俺は静かに聞いている、という役回り。

⏰:08/08/26 00:51 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


#670 [みい]

そんなことをしているうちに外は暗くなる。


「…あ、もうこんな時間!そろそろ帰らないと…」


…俺が一番嫌な瞬間。


「送ってったげるよ!」
「毎回ごめんね、淕」


柚は女だし、一人で帰すより淕が送ったほうが安全に決まってる。

⏰:08/08/26 00:52 📱:SH905i 🆔:fijO4rPk


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