ギンリョウソウ
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#430 [向日葵]
[私はそんないやらしい考えは……っ]

[いやらしいって、まるで僕がそうみたいじゃないかっ!]

些細なケンカは嫌いだ。
だから椿は余計に混乱する。

[そんな事思った事はないです……っ!要さまは素敵な紳士だと思い……]

ここまで言って、自分が恥ずかしい事を言っている事に気づいた椿は顔を背けて顔を赤らめる。

それには要もなんとなく黙ってしまい、恥ずかしい居心地の悪さを2人して感じる羽目になった。

[……とにかく……]

しばらくして、要が咳払いを軽くすると口を開いた。

⏰:08/09/07 03:24 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#431 [向日葵]
[行くならば、しっかり用意をしておいてくれ]

そうして美嘉に言えば、2つ返事で行くと言った。
美嘉は越も連れて行こうと言う。

それには椿も賛成だった。

近頃の彼女は、前よりもぼんやりし何より悲しそうだった。
どうやら原因は彼女の大切な人である柴にあるらしかった。

心配した椿と美嘉は、誘ってみると、越も行くと行った。

ここから今日の話になる。

駅についてコンビニでお菓子でも買おうと言っていると、例の彼が越を迎えに来てあっという間に連れ去ってしまったのだ。

⏰:08/09/07 03:30 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#432 [向日葵]
3人は驚きのあまりそこでしばらく立ち尽くす。
やがて動けるようになっても夢ごごちのようにフワフワしていた。

――――――――…………

「しかし彼女に彼氏がいたんだね」

買った水を飲みながら要が言う。
椿は首を傾げる。

「まだ恋人って訳ではないらしいのです。大切な人とは思ってるらしいですが……」

「まるでアンタ達みたいね」

ポテトチップスの袋をパーティー開けしながら美嘉が言う。

⏰:08/09/07 03:36 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#433 [向日葵]
「失礼な。僕たちは恋人だし、恋人同士以上に婚約者だ」

要は椿の肩を引き寄せ、前に贈ったお互いの指にはまった指輪を見せる。

「椿、迷惑なら今のうちに断りな」

「まだ言うか君は」

でも椿は美嘉のその言葉が、前と違って本気ではなく、茶化しているだけだと思えば嬉しくて密かに笑う。

窓の外を見れば、過ぎ行く景色が心を躍らせた。
いい天気だし別荘の周りは自然に溢れている。

きっといい思い出になるだろう。

⏰:08/09/07 03:41 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#434 [向日葵]
―――――――――…………

ついた別荘は2階建ての大きな建物だった。

中は木目調で、自然の暖かさがある造りになっている。

「ねえねえ椿、湖に行こうよ!キラキラ綺麗だよ!」

少し離れた所にあるのだ。

「行っておいで。僕は少し寝るよ」

と要は2階へ続く階段へ行く。
どうやら休みを貰う為、切り詰めて仕事をし疲れているらしかった。

「何かありましたら、電話してくださいね」

手を振りながら要は2階へと姿を消して行った。

⏰:08/09/07 03:47 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#435 [向日葵]
椿は美嘉と共に湖の近くまで歩いて行く。
周りに紅葉ももうすぐ終わる木が沢山あり、枯れ葉の茶色ささえ、なんだか愛おしく思える。

「椿、昔よくやったよね、これ」

一輪の花を、美嘉がブチリと雑に引っこ抜く。

「花占いですね」

「ちょっとやってみない?」

「でも何について占うんです?」

「私がやりたいのはまた違う花占いなの」

そう言って美嘉は花びらを1枚1枚今度は丁寧に取る。

⏰:08/09/14 01:57 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#436 [向日葵]
花びらが無くなった花はポイッと可哀想なくらい簡単に捨てられる。

「この頃読んだ漫画であったの。その名も子宝占い」

「子宝占い?」

「まぁ見ててよ」

美嘉は花びら全部を片方の手に乗せ握る。
そして手の甲を上へ向けて指をゆっくりと開く。
何枚か、草びれた花びらが草の上へ落ちていく。

掌をまた上へ向ければ、花びらが2枚ついていた。

「これが、美嘉が将来産む子供の数。2枚だから、美嘉は2人っ」

⏰:08/09/14 02:03 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#437 [向日葵]
「へぇー……」

美嘉はまたその辺から花を引っこ抜いて椿に差し出す。

「はい椿も」

「あ、はい……」

美嘉と同じようにして、椿は掌を開く。
花びらがまた落ち、掌を見て、椿と美嘉は驚く。

「あ、あれ……?」

美嘉は少しうろたえる。

椿の掌には、花びらは1枚もついていなかったのだ。

椿は掌を見たまま固まる。

「だ、大丈夫!たかが漫画に書いてたネタだし、本当に当たる訳じゃないよっ!」

⏰:08/09/14 02:07 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#438 [向日葵]
椿は「そうですね」と弱々しく微笑む。

“たかが漫画に書いてた占い”

そう思っていても、自分の弱い体を考えれば、その占いが実は当たっているのではないかと椿は不安だった。

子供は出来ない?
それとも、椿が会えなくなる……?

しかし、美嘉も悪気があったのではないし、楽しませようとさせてくれだと分かるから、気にしないようにする。

せっかく久々の、平和な日常なのだから……。

―――――――――…………

⏰:08/09/14 02:11 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#439 [向日葵]
しばらく散歩をした椿と美嘉は、そろそろ帰ろうかと別荘へ帰ってきた。

美嘉はお茶でもしようとお湯を沸かす。
椿は「ならば」と要を起こしに2階へと向かう。

要の部屋前へ来て、寝ているとはいえノックもせずに入るのは失礼だと思い、静かにノックをする。

「要さま……?失礼します……」

そろりとドアを開ければ、爽やかな風が入る。
入って直ぐのベッドには要はいない。

少し歩けば、窓の近くにある椅子に、片足をあげてそれに頬杖するように要が寝ていた。

⏰:08/09/14 02:16 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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