ギンリョウソウ
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#452 [向日葵]
ハッとした椿は小さく首を横に振って、気を取り直す。

下へ向かい、玄関へと向かう。

「ハイ……。あ……っ!」

「こんにちわ。椿さま」

そこにいたのは、要の従者である大久保だった。
いつもの優しげな笑みを浮かべ、椿に深々お辞儀をする。

「どうなさったんですか?」

「要さまに忘れ物を届けに参りました」

「そうですか……。あ、どうぞ中へ」

「失礼します」と言った大久保は中へと入っていく。

⏰:08/09/17 00:54 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#453 [向日葵]
「大久保さん、忘れ物とは……?」

「お仕事用の携帯電話と、あとは……ちょっとしたアドバイスを」

意味深に微笑む。
友のように接する事を許されてる彼は、要にとって本当に良き理解者なのだろう。

椿はハッと思い出す。

「大久保さん、この間はありがとうございました」

「この間……?……あぁ、いえ。解決なさいましたか?」

椿は少し顔を赤らめて柔らかく微笑むと、小さく頷いた。
大久保もにっこり笑う。

⏰:08/09/17 00:57 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#454 [向日葵]
そして思い出したようにクスクス笑い出す。

「だからですね……」

「え?」

「解決なさったのは、椿さまが悩んでいらっしゃった夜ですよね?」

「その通りですが、それが……何か……?」

大久保はまたクスクス笑い出す。
椿はそのそばで首を傾ける。

「すいません。要さまがあまりに分かりやすい態度だったもので」

「要さま?」

「帰って来た要さまは、それは穏やかな表情をしておりまして、椿さまの事をお訊きしましたら、嬉しそうに微笑んでご婚約の事をお話して下さいました」

⏰:08/09/17 01:03 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#455 [向日葵]
「あ……」

椿はまた赤くなりうつむく。
椿の手にある指輪の小さな輝きに目を細めながら、大久保は言う。

「要さまを、お願い致しします。椿さま」

その言葉に、責任感を感じた椿は神妙に頷く。

「何をお願いなんだ?」

要が姿を見せる。
大久保は楽しそうに笑う。

「内緒です。僕と椿さまの。ね?」

同意を求められ、慌てて頷く椿に、要は眉を寄せて不機嫌になる。

⏰:08/09/17 01:07 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#456 [向日葵]
ツカツカ歩いていくと、椿の腕を引っ張り、自分の腕で包む。

その姿に大久保はまた笑う。

「誰も取りはしませんよ要さま」

「取りはしなくてもお気に入りするだろう」

「大事な婚約者さまをそんな玩具扱いされてはなりませんよ」

一方的に要だけが火花を散らす。
しばらくそうして、3人はリビングへと向かった。

お茶を4人で飲んだ後、ふぅと満足のため息をついた美嘉は椿に言った。

「今度は2人で散歩に行ってきたら?後片付けは美嘉がやっとくからさ」

⏰:08/09/19 02:04 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#457 [向日葵]
「でも……」

「そうか、椿、行こう」

立ち上がった要は椿の腕を楽しそうに引く。
立ち上がるしかない椿は手を繋がれて要に導かれるままに進んでいく。

「あ、あの、要さま……っ、美嘉ちゃんに片付けを押し付けるのはっ」

「本人がいいって言ってるんだ。今は婚約者との時間を楽しみたい」

笑顔でそう言われてはもう何も言えない。

繋いでる手から胸の内へとキュウッとした苦しさが起こる。

⏰:08/09/19 02:10 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#458 [向日葵]
美嘉と行った湖とは逆の、林の中へと進んで行った。
歩を進める度、葉がパキパキと割れる。

上を見上げればぽっかり空いた木と木の間から青空が見える。

「いい所だよね、ここ。僕は気に入ったよ」

「私も好きです。一番四季を感じれる場所ですから……」

「そう……。ところで、さっき大久保と何を話してたの?」

椿は瞬きを繰り返す。
要が真っ直ぐに見つめてくる。

要をよろしくと言われ、自分は迷いも何もなく頷いた。
今思えば、躊躇いもなくそうした自分が気恥ずかしかった。

⏰:08/09/19 02:15 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#459 [向日葵]
椿は唇を少し噛んで赤くなりながらうつむく。
そんな椿に痺れを切らした要は繋いでる手をぐいっと引っ張って顔を近づける。

「言えないの?僕に隠し事するんだ?君は」

明らかに苛立っている。
もしかして散歩に出たのはこうして問い詰める為だったのだろうか?
大久保や美嘉が止めないから要は問い詰め放題だ。

しかし椿は表情にこそ出さなかったがムッとした。

要だって人の事は言えない。

「か……要さまこそ……教えて下さいません……」

ギリギリ聞こえるくらいの小さな声で椿は反抗する。

⏰:08/09/19 02:20 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#460 [向日葵]
その言葉に要は怪訝な表情をする。

「僕は何も隠しちゃいないよ」

「……み、美嘉ちゃんと何か話してたじゃないですか……」

「あぁ……。あれ?…………。いいじゃないか。君には関係ない」

関係ない。
そう突き放されて、椿の胸の鋭い痛みが走る。

しかしおかしいと椿は思う。
椿が関係ないのなら何故椿は聞いちゃいけない?

やっぱり隠しているではないか。
そう思うから、更に反発心はつのるばかり。

⏰:08/09/19 02:24 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#461 [向日葵]
「なら……私と大久保さんの話も、要さまには関係がありません……」

要は眉間に寄せていたシワを更に深くし、目元を険しくさせる。

「なんだそれ……。僕は将来君の夫になるんだ!妻の事を全て知る権利があるっ!」

屁理屈にしか聞こえない。

これには椿もさすがに眉を寄せる。

「夫婦になるのでしたら、平等であるべきだと思います……っ」

「亭主関白と言う言葉が日本古来からあるのを知ってるだろ。それなら平等ではなく、妻は控えめであるべきだ」

⏰:08/09/19 02:31 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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