ギンリョウソウ
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#595 [向日葵]
「そんな可愛いわがままなら、もっと言ってよ」
椿は少しだけ顔をあげる。
「なんでも言ってよ。誰にも言えない君の本音や弱音は、僕が全部受け止めたいんだ」
離れて分かった事が、椿も要もたくさんあった。
離れなきゃわからないなんて、まだまだ未熟かもしれない。
だからこそ、誓わなきゃいけない事がある。お互い、共に成長していく為に。
「君が僕を支えてくれて、そばにいてくれるなら、僕も支えて君を守るよ。何もかもから」
「要……さま……」
椿は目を見開く。
:09/02/05 01:18
:SO906i
:☆☆☆
#596 [向日葵]
「それにね、嬉しいんだ。椿がそうやって僕を想ってくれる事が。少なくとも、僕だけがって訳じゃないってことでしょ?」
また椿の顔が一段と赤くなる。
要はうつむこうとした椿の顔を包んで、上を向かす。
「会いたいって言えたなら、言えるよね?」
「え……?」
「僕が好きって」
「え……ええっ!?」
すごく驚いた椿の顔を初めて見た要は、おかしそうに笑う。
そんな要をよそに、いきなり「告白してみろ」と言われた椿は、ただうろたえるばかり。
:09/02/05 01:22
:SO906i
:☆☆☆
#597 [向日葵]
後ずさろうとする椿を逃がさないように、要は椿の背中に腕をまわす。
幸いこんなにも寒いし、クリスマスというイベントのおかげもあって、人通りがないのが救いだ。
てなければ椿は今の状態ですでにうろたえていただろう。
「ほら、早く」
真っ赤な椿に、要は意地悪な顔つきで笑う。
「は……はい……っ!」
胸の前でギュッと手を握り合わせて、少しの緊張に小刻みに震える。
深呼吸を何度も繰り返して、目をギュッと瞑る。
「……お、お慕い、して……います……」
:09/02/05 01:28
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:☆☆☆
#598 [向日葵]
しばらくの間の後、要が椿の方に頭を置いた。
ギュッと瞑っていた目をそろりと片目ずつ開けた椿は、要を見る。
「要さま……」
名前を呼べば、要は頭を小刻みに震えさせた。
そして段々と、クククと笑い出す。
「お慕い……。そうだよね、丁寧な物言いする君が、好きだとか愛してるだなんて言わないんだよね……」
何がツボだったかはわからないが、要は大声で笑うのを抑えるかのように喉の奥でずっと笑う。
椿は精一杯の気持ちを精一杯伝えて笑われているのに、まったく嫌な気分はしなかった。
:09/02/05 01:34
:SO906i
:☆☆☆
#599 [向日葵]
穏やかに要をみつめる。
そして改めて思う。
この人を好きになって、本当に良かった。
椿の視線に気づき、ひとしきり笑い終えた要は微笑む。
また椿の顔を手のひらで包んで、顔を近づければ、何をされるか分かった椿は視線を泳がせながら戸惑う。
「人はいないし、大丈夫だよ?」
「は……はい……」
要の行動を制御するのはおそらく無理なのだろうと思った椿は素直に返事する。
うつむきがちな椿は、また目をギュッと瞑る。
顔が近づく気配を感じれば、体が緊張でまた固まる。
:09/02/05 01:40
:SO906i
:☆☆☆
#600 [向日葵]
久しぶりの優しいキスは、ホワイトクリスマスをよりロマンチックにするものだった。
―――――――――…………
「そういえば、もういいの?」
椿がいなくなってしばらくして、越と美嘉は一緒に帰っていた。
「何が?」
越の問いに、美嘉は首を傾げる。
「あんなに前は反対してたじゃない。椿と婚約者さんのこと」
美嘉は肩をすくめ、ため息を吐く。
息はとても白い。
息と同じくらい白い雪が、地面に積もって、先程からさくさくと音を奏でる。
:09/02/05 01:46
:SO906i
:☆☆☆
#601 [向日葵]
「いいのよ。結局美嘉も、アイツを上部だけで判断してた未熟者だもの」
彼は最初、最低な理由で椿に近づき、たくさん傷つけた。
でも彼を知っていけばいく程、椿に対する想いや、彼の辛く重い過去を理解出来た。
「何より、椿が幸せで、あんなに居ても立ってもいられないぐらいアイツが好きなら、美嘉はそれでいいよ」
美嘉の言葉に、越は柔らかく微笑む。
T字路で、バイバイと言い合った美嘉と越は、別々に道を進んだ。
何歩か進むと、後ろから肩を叩かれた。
:09/02/05 01:53
:SO906i
:☆☆☆
#602 [向日葵]
「あっ!」
「お久しぶりです」
立っていたのは、要の従者、大久保だった。
小さな紙袋を片手に持っている。
「どうしたんですか?」
「近くに今日のパーティーの買い出しを。皆さん手が離せないものですから、私が」
にっこり笑って、大久保は美嘉と歩き出す。
もしかしたら、さっきの会話は聞かれた?
一度、彼に弱音というか、本音を語ってしまったとは言え、なんだか気恥ずかしかった。
:09/02/05 01:57
:SO906i
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#603 [向日葵]
「美嘉さまがお友達で、椿さまはきっと嬉しいんでしょうね」
目を細めて優しく笑う。
やっぱり聞かれてた……。
しかし、からかってる訳じゃなく、心から思ってるみたいだったから、美嘉は普通に照れてしまう。
「パ、パーティーですよね!美嘉も手伝いますっ!」
突然、美嘉は要の家へと走り出す。
「み、美嘉さま!?」
大久保も走り出す。
美嘉は走りながら手を顔に当てる。
どうしてこんなに熱い?
:09/02/05 02:01
:SO906i
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#604 [向日葵]
パニックを起こして、更に早く走るから、大久保は驚きながらも必死に美嘉を追わなければならないはめになった。
ロマンチックなホワイトクリスマス。
クリスマスと言う特別なイベントに、何かを期待したりするのも、悪くないかもしれない。
:09/02/05 02:03
:SO906i
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