ギンリョウソウ
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#108 [向日葵]
「つまんない……。僕は一旦帰るよ」
「あ、じゃあお見送りを……」
「いい。他の奴にうっとりしてる君に見送られたくなんかないねっ」
ズカズカと進んで行き、乱暴にドアを閉めた。
椿は片目を瞑ってそれをやり過ごす。
そして椿はまた写真に目を落とした。
本当に憧れだ。
物腰が柔らかく、優しく、頭の機転がいい聖史は、椿の良き兄的存在。
久しぶりに会いたいな、などと思えば、こんな自分の浮わついた心が要を不機嫌にさせたのかと少し落ち込む。
:08/07/14 00:30
:SO906i
:☆☆☆
#109 [向日葵]
自分は、要を怒らせてばかりだ。
それなのに、要は自分を気遣う一面を見せてくれたりもする。
体育祭の事は例え要の作戦だとしても、さっきのような突然の事態に作戦として素早く助ける事はきっと出来ない。
そんな所が、少しずつ椿の要に対する警戒心を解きつつあるのであった。
――――――――……
おかしい。
と要は帰っている車の中で思っていた。
前にせよ今にせよ、何故か椿にドンドンハマっているのでは?と感じる自分がいる。
:08/07/14 00:35
:SO906i
:☆☆☆
#110 [向日葵]
心を開いてくれない彼女にイライラしたり、自分以外の誰かをときめいた目線で見ていれば妬きもちを妬いたり……。
好きに慣れそうにないと思ったのに、彼女の何が自分を惹き付けるのだろうか……。
「大久保」
年若い運転手の従者に声をかける。
「ハイ」
「お前は椿嬢をどう思う?」
「椿さまですか……」
「客観的に見て彼女は可愛い部類なのか?」
モデルを見慣れている彼にはあと1歩椿のどの部分が可愛いのかを見抜けていない。
:08/07/14 00:40
:SO906i
:☆☆☆
#111 [向日葵]
「私は可愛いらしいと思いますよ。儚げで綺麗で……まるで桜のようじゃありませんか」
「フッ……桜か……。僕はギンリョウソウだと思うけどね……」
「ギンリョウソウ……ですか……?」
どうやら従者はギンリョウソウを知らないらしい。
それならそれでいいと、要は腕を組んで目を瞑る。
白く、ひかえめな存在である椿。
彼女こそ、ひっそりと小さく咲くギンリョウソウと称するにあった少女だ。
ただ、ギンリョウソウなどと名前も知られていたい花に例えるのはきっと失礼だろうと要は分かっていた。
それでも、従者が言うような桜などのポピュラーな名前の花は、彼には思いつかないのであった
:08/07/14 00:46
:SO906i
:☆☆☆
#112 [向日葵]
「要さま。一旦帰ると申しますが、帰ってからはもう外には行かない方がいいかと思われます」
「なんで?」
「天気がこれから雷雨になりますし、風も強まるみたいです。何かあっては大変ですから」
「んー……」
ん?
そう言えば、今日野々垣社長はあの屋敷にはいないのではなかったか?
確か店舗の視察で、先週から関西の方へ行っているとか……。
椿は……大丈夫なのだろうか……。
ハッとして首を振る。
:08/07/14 00:51
:SO906i
:☆☆☆
#113 [向日葵]
:08/07/14 00:57
:SO906i
:☆☆☆
#114 [向日葵]
>>110誤]好きに慣れそう
正]好きになれそう
間違いばかりですいません

:08/07/14 01:01
:SO906i
:☆☆☆
#115 [向日葵]
>>111誤]知られていたい
正]知られていない
本当にすいません


:08/07/14 01:03
:SO906i
:☆☆☆
#116 [向日葵]
どうして椿の心配をしなくちゃならないんだ。
しかも彼女には、他の心配してくれる人が沢山いる。
自分が心配する必要なんてないのだ。
地面に大きな水たまりが出来はじめる。
要を乗せた車は、その水たまりに勢いよくタイヤを沈ませ、酷くならない内に、家へと帰って行った。
―――――――……
「お嬢様、今よろしいですか?」
アルバムをまた元の位置に戻し、自分の部屋に戻ったばかりだった椿は、自らドアを開ける。
立っていたのは、メイドの中でもよく自分を世話してくれる佐々木だった。
:08/07/15 01:43
:SO906i
:☆☆☆
#117 [向日葵]
「どうかなさいました……?」
「それが、旦那さまがこの天気のせいで今日は帰れないとおっしゃってるそうです」
「まぁ……」
椿は窓に目をやる。
さっきよりも雨は勢いを増し、ザーッと耳障りな音が響いている。
「大丈夫でしょうか……」
「椿さまには心配しないようにと伝言を預かっています。ですから大丈夫ですよ」
佐々木はにこりと笑う。
それにつられて、椿も微笑んだ。
「そうですね……。無事に帰ってくるよう待っていましょう……」
:08/07/15 01:48
:SO906i
:☆☆☆
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