ギンリョウソウ
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#21 [向日葵]
ちなみに佐々木とはメイドの名前である。
「君がそう言うなら言う事を聞こう。明日また来させてもらうよ。ではね」
爽やかな笑みを浮かべ、あっさりと要は帰ってしまった。
そんな要にメイドである佐々木は戸惑い、椿を見るが、何も気にしてないように優しく佐々木に言った。
「佐々木さんも、ね……」
「では、またお時間になりましたら、夕食とお薬を運ばせて頂きます」
メイドは頭を下げてから、出ていく際に部屋の明かりを消した。
:08/06/06 00:06
:SO903i
:☆☆☆
#22 [向日葵]
ベッドに身を沈め、天井を見つめながら椿は1人考える。
こんな、お荷物の自分を婚約者扱いしてくれるのは嬉しい。
優しくだってしてくれるし、こうやって顔も見に来てくれる。
でも彼は心配してるような言葉を椿に向けながらも、その言葉に込もっている気持ちは空っぽのような気がしてならない。
彼の目的は……?
椿は思い当たっている事がある。
だがそれが本当なのかどうか、彼女にはまだ分からないのだった。
―――――――――……
:08/06/06 00:11
:SO903i
:☆☆☆
#23 [向日葵]
「椿、今日椿ん家寄っていい?」
学校で掃除をしている時、美嘉が言った。
椿は箒で床を掃く手を止めて、頷く。
「ハイ。ちょうど今、綺麗な薔薇が咲いているので、是非美嘉ちゃんに見てもらいたいです……」
「本当?椿ん家はいつも綺麗にしてるからなー。椿ん家の庭すっごい好き!」
無邪気に笑う美嘉を見て、どこかホッとする椿。
こんな風に、美嘉はいつも椿に優しさと元気をくれる。
椿は自分にはもったいないとさえ感じる。
:08/06/06 00:16
:SO903i
:☆☆☆
#24 [向日葵]
だから美嘉が何かで悲しんだりしたら、自分が元気を与える事が出来ればいいなと考える。
「あ、越」
美嘉が越を呼び止める。
「今日椿ん家行くんだけど行かない?」
越は一瞬パッと表情を明るくさせるが、しばらく考えてから「あ!」と声をあげた。
「ごめん!今日はお米の特売あるから帰る!」
と言うなりカバンを掴んで、猛スピードで教室から出て行ってしまった。
その姿を見てから、椿と美嘉は顔を合わせる。
:08/06/07 20:11
:SO903i
:☆☆☆
#25 [向日葵]
「越ちゃんも大変ですね……」
「ある意味あの子が母親代わりみたいなとこあるからね」
最近彼女の家に変化があったのか、忙しく動き回るもか楽しそうに毎日を過ごしている。
そんな越に、椿は拍手したい気分だった。
自分は恵まれていると思えば尚更に……。
「じゃそろそろ行こっか」
・・・・・・・・・・・・・・・・
いつも通り、まっすぐ自宅へ帰る。
扉を開ければやはり大勢のメイド達が椿だけでなく美嘉にも挨拶をする。
:08/06/07 20:15
:SO903i
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#26 [向日葵]
それも昔から知ってるので、美嘉はカラカラ笑って「たっだいまー」と気軽に返事をする。
「お嬢様」
1人のメイドが椿を呼ぶ。
「要さまが来てらっしゃいます。お仕事を持ち込んでらっしゃいますので、お嬢様の挨拶はそれを済んでからの方がいいかと思われたんですが、ご本人はいつでも……とおっしゃってました」
今日も来たのかと椿はぼんやり思った。
しかし仕事をしているなら別に早く挨拶に行かなくてもいいだろう。
こちらだって、美嘉がいるのだし。
:08/06/07 20:19
:SO903i
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#27 [向日葵]
「わかりました……。ありがとうございます」
しばらくの間は庭にいようと思い、自室に美嘉とカバンを置きに行ってからまた外へと出た。
きちんと切り揃えられている植え込みや、青々とした芝生はいつみても美嘉に「すごい」と言わせるのであった。
「こちらです」
薔薇が咲いている場所に美嘉を案内する。
たどり着いた場所には、様々な形、色をした薔薇が無数に咲いていた。
その周りを、2人は歩く。
:08/06/07 20:23
:SO903i
:☆☆☆
#28 [向日葵]
「婚約者、本当にいたんだ。なんか信じられないや。いい人?」
「ええ、もちろんです。だって私なんかの婚約者になって下さるんですもの」
心底そう思ってるらしく、椿は笑顔で美嘉にそう告げる。
しかし美嘉は、椿をじっと見つめると、蔦が絡まったアーチの下で足を止めた。
「椿……美嘉は椿みたいな令嬢のしきたりとかは分からないけど、椿が嫌なら嫌って言っていいと思うよ。」
椿は首を傾げてから、小さく頷きほのかに微笑む。
:08/06/07 23:56
:SO903i
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#29 [向日葵]
嫌だなんて思ってない。
美嘉や父のように心配してくれる人がいるのは、どれだけ有難い事かと彼女は思う。
要も悪い人ではない。
もしかしたら今日来たのだって昨日熱を出したから心配してくれたのかもしれないのだ。
そう感じれば、嫌だなんて失礼な事を言う筈がないのだ。
美嘉はまだ気にしたように椿を見るが、彼女は微笑み続けているのでそれ以上は何も言わなかった。
ただ、そんな彼女だからこそ、ひそかにしらない所で、その小さな胸を痛めているのではないかと思えば、美嘉は悲しくなったのだった。
:08/06/08 00:01
:SO903i
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#30 [向日葵]
庭を歩き回り、疲れただろうと美嘉に言い、椿は休憩を取るため部屋へと戻ってきた。
メイドがお茶を運ぶと言ったが、自分ですると言い、今から取りにいく。
出来る事はなるべくしておきたいのだ。
椿1人では重たいティーセットを持てないと思い、美嘉もついてくる。
「あ、セイロンだ。美嘉これ好きなんだー」
「そうだと思って用意してもらったんです」
ほのぼのと会話しながら部屋へ戻る途中、ある部屋の扉が少しだけ開いていたのに気づく。
:08/06/08 00:06
:SO903i
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