ギンリョウソウ
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#436 [向日葵]
花びらが無くなった花はポイッと可哀想なくらい簡単に捨てられる。
「この頃読んだ漫画であったの。その名も子宝占い」
「子宝占い?」
「まぁ見ててよ」
美嘉は花びら全部を片方の手に乗せ握る。
そして手の甲を上へ向けて指をゆっくりと開く。
何枚か、草びれた花びらが草の上へ落ちていく。
掌をまた上へ向ければ、花びらが2枚ついていた。
「これが、美嘉が将来産む子供の数。2枚だから、美嘉は2人っ」
:08/09/14 02:03
:SO906i
:☆☆☆
#437 [向日葵]
「へぇー……」
美嘉はまたその辺から花を引っこ抜いて椿に差し出す。
「はい椿も」
「あ、はい……」
美嘉と同じようにして、椿は掌を開く。
花びらがまた落ち、掌を見て、椿と美嘉は驚く。
「あ、あれ……?」
美嘉は少しうろたえる。
椿の掌には、花びらは1枚もついていなかったのだ。
椿は掌を見たまま固まる。
「だ、大丈夫!たかが漫画に書いてたネタだし、本当に当たる訳じゃないよっ!」
:08/09/14 02:07
:SO906i
:☆☆☆
#438 [向日葵]
椿は「そうですね」と弱々しく微笑む。
“たかが漫画に書いてた占い”
そう思っていても、自分の弱い体を考えれば、その占いが実は当たっているのではないかと椿は不安だった。
子供は出来ない?
それとも、椿が会えなくなる……?
しかし、美嘉も悪気があったのではないし、楽しませようとさせてくれだと分かるから、気にしないようにする。
せっかく久々の、平和な日常なのだから……。
―――――――――…………
:08/09/14 02:11
:SO906i
:☆☆☆
#439 [向日葵]
しばらく散歩をした椿と美嘉は、そろそろ帰ろうかと別荘へ帰ってきた。
美嘉はお茶でもしようとお湯を沸かす。
椿は「ならば」と要を起こしに2階へと向かう。
要の部屋前へ来て、寝ているとはいえノックもせずに入るのは失礼だと思い、静かにノックをする。
「要さま……?失礼します……」
そろりとドアを開ければ、爽やかな風が入る。
入って直ぐのベッドには要はいない。
少し歩けば、窓の近くにある椅子に、片足をあげてそれに頬杖するように要が寝ていた。
:08/09/14 02:16
:SO906i
:☆☆☆
#440 [向日葵]
開け放した窓から入る風が、要の髪と膝に置いている読みかけの本をペラペラとめくる。
ギシギシ軋む床のせいで、要が起きないようにゆっくり近づいた椿は、要を覗き込む。
じっと見つめれば見つめる程、吸い込まれるように椿の顔が近づく。
その時、僅かに笑うように息が漏れる音が聞こえた。
「……そんなに近くで見なくてもいいよ」
「え……?」
目をパチリと開けた要と目が合う。
潤んだ彼の瞳に自分が映っているとぼんやりと思った椿を、笑みを含んだ要の目が見つめ返す。
:08/09/14 02:22
:SO906i
:☆☆☆
#441 [向日葵]
「君はときどき大胆だね。首に君の髪が当たってこそばいんだけど?」
まだなんだかぼんやりしている椿は目線を下にする。
ボタンを何個か外し、ネクタイを緩めたそのカッターから綺麗な鎖骨と首筋が見える。
それが目に入れば、椿は今自分がどれ程近くにいるかが分かり、飛びのく。
「あっ!ご、ごめんなさ……っ!私っ……」
動揺しすぎて足がからまる。
椿は思いきり床に倒れた。
「ちょ、大丈夫?」
要は椿を抱き起こす。
腕にある怪我を気にしながら優しく。
:08/09/14 02:29
:SO906i
:☆☆☆
#442 [向日葵]
「あの、私、お茶するので起こしに来ただけなんですっ」
顔を真っ赤にして言うものだから、要は笑う。
「分かってるよ。椿がそんな邪な気持ち持ってない事くらい。……ん?なんか手に草がついてるけど?」
要は椿の草がついてる手を持ち上げ、指でつまみ上げる。
ほんの小さな草が掌についていた。
「あぁ……多分美嘉ちゃんと子宝占いをした時」
「子宝占い?」
椿の言葉を遮り、要が声をあげる。
:08/09/14 02:34
:SO906i
:☆☆☆
#443 [向日葵]
椿はハッと気づいて両手で口を隠す。
「ちがっ、違うんですっ!えと、美嘉ちゃんが、あの……っ!」
こんな密着した状態の時にこんな話は恥ずかしすぎる。
そう思った椿は急いで離れようとする。
すると要が椿の耳元に唇を近づけ、触れるか触れないかの位置で囁く。
「椿……少し気が早いんじゃない……?」
椿の顔は更に赤くなる。
もう涙目だ。
「違うんです……っ!だから……っ!」
「ねぇ何の音ー?」
:08/09/14 02:39
:SO906i
:☆☆☆
#444 [向日葵]
ノックも無しに美嘉が入ってくる。
咄嗟に離れる事が出来なかった2人はそのまま美嘉の方を見る。
美嘉も2人を見る。
しばらくそのまま固まる。
しかし徐々に美嘉の顔は険しくなっていく。
それもその筈。
今の状態はどう見ても要が椿を襲おうとしているように見えるのだから。
椿は涙目で顔を真っ赤にして要を押し返そうと彼の胸辺りに手を当てているし、彼は彼で椿を抱え、顔を近づけている。
その顔が状況が状況なだけに色っぽくもいやらしく美嘉には見えるのものだから美嘉の顔に険しさが増す。
:08/09/14 02:45
:SO906i
:☆☆☆
#445 [向日葵]
「あ……んた……ねぇ……」
「美嘉、違う。いや、違わないんだけど違う」
要は椿をパッと離し手を突き出して否定をする。
が、そんなのが美嘉に通用する訳もなく、美嘉は目をこれでもかという程つり上げて要を睨む。
「この……万年発情男――――っ!!」
椿は咄嗟にサッと避ける。
美嘉は要に飛びかかり髪を引っ張る。
要が「痛い」と連呼し許しを請うが、「問答無用」と美嘉は要を痛めつける。
その隙に椿は部屋を出ていく。
廊下に出て、要と美嘉の喧騒を聞きながら肺が空になるまで息を吐いた。
:08/09/14 02:51
:SO906i
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