ギンリョウソウ
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#497 [向日葵]
ふわりと椿の瞼にキスを落とす。

椿は恥ずかしそうに口をキュッと結ぶと、素直にゆっくりと頷いた。

「要さま、椿さま、どうぞお部屋へ」

椿を先に部屋に通した大久保は、要を振り返る。

「下手に隠し事をなさいますと、こういう事が起こってしまうと反省いたしましたか?」

大久保の目は真剣だった。
彼は要の友人のような存在。
それは要が決めた事だ。

だから大久保は、さっきまで何が起きていたかを大体予想し、要の心配をすると共に叱っている。

⏰:08/10/07 00:27 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#498 [向日葵]
もう少し、椿を大切にするようにと。

「……あぁ。もうこりごりだ……」

それを聞いて、大久保はにこりと笑い、要も部屋へと通した。

――――――――…………

その晩、やはりというか、椿が熱を出してしまった。
つきっきりで看病したいと、美嘉に部屋を交代してもらい、要は椿が寝ているベッドの近くに椅子を持ってきて座った。

顔がほのかに紅潮している。
さっき熱を計れば39度近かった。
暑くはないだろうか。

「…………さ……い」

⏰:08/10/07 00:32 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#499 [向日葵]
潤み、うつろに開いた目で椿は要を見つめる。

聞き取りにくいし、椿もしゃべるのがキツイだろうと要は少し椿の方へと乗り出す。

「ん?何?」

「ごめん……な……さい。せっかくの、旅行なのに……こんな……」

「椿のせいじゃないよ。大丈夫だから。言ったでしょ?今は自分の体を心配してって」

優しく髪を撫でれば、心地よいのか椿の目はとろんとする。
疲れてるだろうから眠たいのかもしれない。
要は椿の手を怪我に響かないように慎重に握る。

⏰:08/10/07 00:37 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#500 [向日葵]
「僕はずっとここにいるから、安心して眠るといいよ」

「で……も……」

もう少し乗り出して、椿の額にキスを落とす。

「いいから……」

安心させるように微笑めば、椿はゆっくりと目を瞑った。
しばらくすると穏やかな寝息が聞こえてきたので、要はそこでようやくホッとした。

この頃失態続きだな……。

椅子の背もたれにもたれながらため息をつく。

大久保に怒られてしまうのも無理はない。

⏰:08/10/07 00:48 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#501 [向日葵]
うなされないか注意深く椿を見た要は、するりと彼女の手を離し部屋を出ていく。

階段を降りた所で、お風呂上がりの美嘉に会った。

「あれ、看病は?」

「用事があるからちょっと外へ出かけてくるよ」

「ちょっと待って。椿なんか元気なさそうだった。……なんで?」

要は眉を寄せる。
言ってしまえば、自分に対する美嘉の信用がまた薄れる。
あんな目に合わせたから、もう2度と椿に近づくなと言われてもおかしくはないだろう。

しかし彼女は椿の友達。
知る権利はある。

⏰:08/10/13 00:36 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#502 [向日葵]
「僕の一方的な嫉妬で彼女を傷つけた。それに椿は秘密にしていた事も気づきだしてる。詰め寄られて焦って、気持ちが少しすれ違った……」

怒られる。
そう思いながらも美嘉の顔を見ていたが、彼女は表情1つ変えず話を聞いて頷いていた。
あまりに普通すぎて、要は何か裏でもあるのかと勘ぐってしまう。

「分かった。教えてくれてありがとう」

行こうとするから、思わず要は美嘉を呼び止める。

「ぼ、僕を、怒らないのか……?」

「は?怒られたいの?アンタマゾ?」

⏰:08/10/13 00:42 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#503 [向日葵]
「や、あの……えぇ……?」

美嘉は要をじっと見る。
まるでこちらが間違ってるいるように感じるから、要は困ったように頭をかく。

「椿を傷つけて、怒るかと……」

「あのね……美嘉は本来そんなに怒りっぽくないの。怒らせるのはアンタが椿にヒドイ事するから」

それ以外にも怒ってる気がした要だが、今は黙っておこうと口をキュッと結ぶ。

「椿と要は婚約を交わした、言わば夫婦みたいなものなの。相手に嫉妬して喧嘩するなんてきっと当たり前よ。それを美嘉がとやかく言っても仕方のない事じゃない」

⏰:08/10/13 00:50 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#504 [向日葵]
感想板が新しくなりました
よければいらして下さいヾ(≧∀≦)ノシ

bbs1.ryne.jp/r.php/novel/3992/

⏰:08/10/13 10:24 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#505 [向日葵]
それだけあっさりと言うと、美嘉はリビングへと消えていった。
美嘉のそんな気持ちに感謝し、要は外へと出た。

数時間前の雨もなんのその。
雲間からは三日月が冴えざえと辺りを照らし、雨が降ったあとの冷たい空気は気持ち良く感じる。
穏やかな風に身を任せていれば、揺れる草がしゃらしゃらと音を奏でているのが聞こえる。

そんな空気をしばらく楽しんだ要は歩き出す。

彼が向かうのは湖だ。
そこへ、椿が落としたと言う指輪を探しにいく。

あれじゃないと、彼女は納得しないように思った。
だから探し出す。
もしかしたら湖のほとりにでも落ちているかもしれないからだ。

⏰:08/10/15 00:56 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#506 [向日葵]
湖につけば、水面に映し出された月が綺麗でぼんやりと眺めたくなるが、それが目的ではないと、持っていた携帯のライトで足元を探してみる。

こんな風に、光をあてれば光って見つかりそうなのだが……。

「やっぱり無いか……?」

呟いた次の瞬間、少し強めの風が吹いた。
寒さとその強さに目を瞑った要は、再び目を開けた時驚く。

数メートル離れた所に、誰かがいる。
青白い肌、闇にも似た黒く長い髪。
口元には微笑みをたたえている。それは、要がよく知る人物だ。

「椿……?」

⏰:08/10/15 01:01 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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