ギンリョウソウ
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#585 [向日葵]
とりあえず買い物をしに向かう。
雑貨屋さんなどはやっぱり人が多くて、選びたくてもゆっくり選ぶ事が出来ない。
要はどんな物が好きだろう……。
ふとそんな事を思えば、要の事が頭から離れたくなくなった。
我が儘を言って、きっとあきられた。
それがショックで仕方がない。
それでも……。
写真たてを何気に持っていた椿の手に、滴がぽたりと落ちる。
我が儘を言ってしまう程、会いたい。
溢れ出す気持ちが、コントロールする事が出来ない。
:09/01/30 00:58
:SO906i
:☆☆☆
#586 [向日葵]
あきれられてももう何でもいい。
何か、要と繋がる為にしたい。
そう思った椿は、メールをしようと携帯を開いた。
と、同時に、携帯が鳴り出す。
驚いた椿は思わず手から携帯を落としそうになってしまった。
ちゃんと持って、安堵のため息を吐いてからディスプレイを見て、椿は息が詰まりそうだった。
「も……っ、もしもし」
{椿、今君どこにいるの?}
要だった。
いても立ってもいられず、美嘉たちに慌てて事情を言った椿は、美嘉たちの返事もそこそこに走り出す。
:09/01/30 01:04
:SO906i
:☆☆☆
#587 [向日葵]
白い白い、綿のような雪が舞いはじめていた。
いつも以上に息は白く、寒い空気が喉を刺激する。
咳き込みそうになるのもお構いなしに、椿は走る。
「今、駅前のデパートで、今から、帰ります……っ」
{急がなくても、僕も移動中だよ。だから椿、無理して走ったら体に触る……}
「いいんです……っ!」
息を弾ませて喋る椿に、受話器の向こうで要はハッとした。
「体なんて、気にしてる場合じゃないのです……っ」
そんな椿をいとおしく思い、要はそっと笑う。
:09/01/30 01:08
:SO906i
:☆☆☆
#588 [向日葵]
{分かった……。僕も出来るだけ早く行くよ}
そう言って、電話を切った。
椿は自分の足を出来るだけ早く動かす。
早く、早くと……。
―――――――――…………
自分の家に帰ってきた椿は、門の鉄格子を握って息を整える。
鉄格子は冷たい筈だが、最早そんな感覚すらないぐらい椿の手の方が冷たくなっていた。
心臓がうるさい。
走ったせいでもあるが、それ以上に会えると言う喜びが大きい。
ちゃんとじっとしていないと、周りから怪しまれるのに、そわそわして、そこらを行ったり来たりしてしまう。
:09/01/30 01:13
:SO906i
:☆☆☆
#589 [向日葵]
椿は要に会った時の事を考える。
まずは、おかえりなさいと言おう。
それから寒いから家に入ってもらって、ゆっくりと話をしようー
もしかしたら要宅でやるパーティーに要も行けるかもしれない。
そしたらもっといっぱい一緒にいれるかもしれない。
と、携帯が鳴った。
「も、もしもし椿です」
{分かってるよ}
笑ってる彼の声が近くに感じる。
もうすぐ会えると分かってるせいだろうか。
「今、どの……」
「どのあたりですか」と訊ねようとした時、椿は何かに包まれた。
「君のそばだよ」
:09/01/30 01:18
:SO906i
:☆☆☆
#590 [向日葵]
右から受話器ごしの要の声。
そして左からは……。
後ろから抱き締められてるから、腕だけしか分からない。
それでも、ちゃんとここにいると実感できるが、夢のようだとも感じる。
思わず携帯を落としてしまう。
「要……さま……」
ゆっくりと振り返れば、大好きな人がそこにいて、柔らかく微笑んでいた。
「ただいま。寒いね今日は」
少しだけしか、会っていなかったかのような会話。
だからか余計に苦しくて、椿は要に抱きつく。
:09/01/30 01:22
:SO906i
:☆☆☆
#591 [向日葵]
さっき考えてた事なんて、まったく意味がなかった。
ただ彼を感じたくて、無我夢中で彼の胸に頬を寄せ、腕にありったけの力を込める。
「嬉しいな。こんな歓迎の仕方をされるだなんて」
椿は何も言わない。
「椿、顔をよく見せてよ」
椿は首を横に振った。
要はおかしそうに笑った。
「泣いてるのが恥ずかしい?」
言われて、彼女の肩がピクリと反応する。
要は椿の頬に手を触れて、上を向かす。
:09/01/30 01:27
:SO906i
:☆☆☆
#592 [向日葵]
上を向いた椿の瞳と頬は濡れ、顔は寒さと泣いてる為によるもので淡く赤くなっていた。
要が目を細めて笑みを深くすると、椿の目から更に涙が流れた。
それは止まる事を知らない。
瞬きをする度、彼女の目から、またいくつも滴が流れる。
要はそれを指で拭う。
「かな……め……さま……」
「会いたがってくれて嬉しい。僕も、会いたかったから」
その言葉に、寄せていた眉を少し緩めた椿の表情は、彼が意外な事を言ったとでも言うようだった。
「あきれて……ないのですか……?」
「あきれる?どうして」
:09/01/30 01:32
:SO906i
:☆☆☆
#593 [向日葵]
>>589×ゆっくり話をしようー
○ゆっくり話をしよう。
:09/01/30 01:47
:SO906i
:☆☆☆
#594 [向日葵]
「あ……あんな、わがままを言ってしまったから……」
「わがまま?」
要はまだ分からないのか眉を寄せる。
椿は恥ずかしくて、ほんの少しだけ要から距離をおく。
「あ……会いたいって……言ってしまったこと……」
あまりに恥ずかしくて、椿は顔を両手で隠した。
一方、要はなんだか信じられない気持ちで椿を見つめていた。
椿がそこまで自分を想ってくれているのが、どこか夢のようだからだ。
それでも、すぐにそんな彼女にいとおしさを感じて、柔らかく微笑む。
:09/02/05 01:12
:SO906i
:☆☆☆
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