ギンリョウソウ
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#603 [向日葵]
「美嘉さまがお友達で、椿さまはきっと嬉しいんでしょうね」

目を細めて優しく笑う。

やっぱり聞かれてた……。

しかし、からかってる訳じゃなく、心から思ってるみたいだったから、美嘉は普通に照れてしまう。

「パ、パーティーですよね!美嘉も手伝いますっ!」

突然、美嘉は要の家へと走り出す。

「み、美嘉さま!?」

大久保も走り出す。

美嘉は走りながら手を顔に当てる。
どうしてこんなに熱い?

⏰:09/02/05 02:01 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#604 [向日葵]
パニックを起こして、更に早く走るから、大久保は驚きながらも必死に美嘉を追わなければならないはめになった。

ロマンチックなホワイトクリスマス。
クリスマスと言う特別なイベントに、何かを期待したりするのも、悪くないかもしれない。

⏰:09/02/05 02:03 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#605 [向日葵]
[第14話]

話は翌年の6月になる。

要と椿の誕生日も終わり、はれて二人は18歳になった。
が、二人には誕生日よりもビックイベントが待っていた。

「椿、やっぱり結婚式はジューンブライドがいいよね。梅雨だけど毎日雨って訳じゃないから、僕はいいと思うんだけど」

「けっこんしき……?」

要と椿はいつものように椿の家の庭を散歩していた。
紫外線はよくないからと要に言われた椿は、日傘を要と相合い傘のようにしてさしている。

「まさか、忘れてた?」

⏰:09/02/05 02:10 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#606 [向日葵]
忘れていたと言うよりは抜けていた。

「やっぱり盛大にしたいなー。心配しなくても、椿のドレスやアクセサリーは、僕がデザインするからね」

「ジ、ジューンブライドって……っ。あと何週間しかないですよ!?」

只今5月半ば。

「6月中にすればいいんだよ。大安の日をちゃんと選んでね。式場でなんかしなくても、僕の家を使えばいいしね。堅苦しい式は望んでないからね」

いきなり心の準備そこそこに言われた椿は、頭がごちゃごちゃになりそうだった。

⏰:09/02/05 02:15 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#607 [向日葵]
「だから椿、これから忙しくなるよ」

にっこり笑った要は、とても楽しそうで、嬉しそうだった。

―――――――――……

そしてここからが6月の話。
今は6月始め。式は月末の27日に決まった。

5月に要がにっこり言ったとおり、椿は毎日忙しく過ごしていた。
今でも目が回りそうな程……。

そんな椿が今やっているのは、披露宴での衣装選びだった。

要が何十着も用意するから、椿はより似合うものをとさっきから着せ替え人形のように着たり脱いだりを繰り返している。

⏰:09/02/05 02:20 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#608 [向日葵]
「椿さまは淡いお色がお似合いですね」

「お肌が白いですものね」

「ピンク色か……オレンジ色でもいいですわね」

口々に、着替えを手伝うメイドが言う。
それに若干引きつりながらの笑顔を返して、椿はそっとため息を吐いた。

要との結婚に不満がある訳ではない。
ただここまで次々と準備をしていくと、疲れてなんだか気が滅入ってくる。

結婚式なんて、しなくていいんじゃないかと思ってしまうくらい……。

⏰:09/02/15 00:53 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#609 [向日葵]
そう思ってしまって、椿は急いで首を横に振り、マイナス思考を振り払う。

「あ、あの……」

次のドレスを用意しようとするメイド達に、椿は声をかける。

「要さまに、ご用があるので、行ってもよろしいでしょうか?」

「はい。いってらっしゃいませ。ではその間にお茶を用意して参ります」

今度はちゃんと笑顔を返してから、椿は部屋を後にした。

要は別室で仕事と並行させながら式の準備をしていた。
服は既に決まったらしく、椿のドレスが決まる間に、飾りつけの指示や、来客リストを作っているらしい。

⏰:09/02/15 00:58 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#610 [向日葵]
要がいる部屋にたどり着き、ノックをすれば、中から返事が帰ってきた。

「失礼します」

「ん?ああ、椿か。どうかした?」

仕事用の椅子ではなく、机に座って、何かの資料を見ていた要は、椿に気づくと彼女の元まで足を運ぶ。

「え、ええと……、要さまは、何色がお好きでしょうか……。ドレスが多すぎて、決まらないんです……」

そんな事、自分でさっさと決めろと言われてしまうだろうか?

言ってしまってから、椿は不安になった。

⏰:09/02/15 01:02 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#611 [向日葵]
「そうなの?じゃあ、僕も一緒に選ぼうか?」

ただでさえ忙しい要に、そんな事までさせてしまうのが悪い気がしてきた椿は首を横に振った。

「い、いえ、いいんです……」

何故か落ち込んだように首をうなだれる椿に困惑した要は、長く綺麗な椿の黒髪を避けて、髪とは対照的な白い頬にそっと触れる。

温かな手に、ゆっくりと顔を上げた椿を、心配そうに覗き込む。

「疲れてない?ここのところ、ずっと忙しくしてたから、ロクに休んでないんじゃないの?」

「……大丈夫です。ちょっと、戸惑ってるだけで、疲れては……」

⏰:09/02/15 01:08 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


#612 [向日葵]
「疲れたなら疲れたって言って。椿が倒れる方が、僕は嫌なんだからね」

頭を優しく撫でられる。
それだけで、疲れた心が癒される。ふんわりと温かくなる。

「本当に、大丈夫です。要さまのお姿を見て、元気になりました」

不意の椿の言葉に、要は少し顔を赤くした。
照れ隠しのように、撫でていた手に力をいれて、椿の髪を乱す。

――――――――…………

ある日の午後。
式準備で忙しい要宅に、二つの影があった。

「で、美嘉たちが?」

美嘉と越だ。
大久保が、要に頼まれて呼んだのだ。

⏰:09/02/15 01:15 📱:SO906i 🆔:☆☆☆


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