ギンリョウソウ
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#623 [向日葵]
「僕の目は節穴じゃない。君の調子の悪さなんてお見通しなんだ。いつか君から言ってくれると待っていたんだ」
だって……。
「そうやって、支えあって、夫婦になるんだろ?なのに、僕は未だ一方通行な気分だよ」
だって……言ってしまったら……。
「……でも、君にも譲れないものがあるだろうから、しつこい干渉は、避けるよ」
少し悲しそうに眉を寄せた要は、椿からすっと離れた。
椿は急いで体を起こす。
「ちが……っ、要さま!」
呼ぶと同時に、部屋の扉は閉められた。
:09/02/22 12:55
:SO906i
:☆☆☆
#624 [向日葵]
重く響く音に、椿の胸は痛んだ。
違う……。
言わなかったのは、前のような無理をしてるんじゃなく……。
ただ…………。
今、そう思ってるような事すら言えなかったと言うことは、結局前と同じようなものなのだろうか。
椿はどうしていいかわからなくて、掛布団を握り締めた。
―――――――…………
「要ぇーっ!!」
「またか……」と要は頭をガクンと落とす。
式の事がだいぶ決まり、要は一段落してるとこだった。
:09/02/22 13:01
:SO906i
:☆☆☆
#625 [向日葵]
:09/02/22 13:03
:SO906i
:☆☆☆
#626 [向日葵]
「君はノックというものを知らないの?」
「美嘉は別にアンタを敬う気なんかないもの」
そういう問題か?と半ば呆れながら要は頬杖をつく。
要が座っていたソファの向かい側に美嘉も座る。
「椿の様子が更に変になってる。アンタまたなんかやらかしたの?」
「椿の事意外に用事はないのか君は」
「アンタに用事って何よ」
そう言われては、要も見つからないので「まぁそうか」と息を吐く。
:09/03/08 17:09
:SO906i
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#627 [向日葵]
「椿を問い詰めたんだよ。疲れているんだろ、何故隠すんだとね」
そこまで言うと、美嘉が渋い顔をして見てきたので、要もなんだと目で応じる。
「まさかその時にいやらしぃー事してやいないでしょうね」
「どういう流れでそんな事をしなくちゃならない……」
「アンタの事だから変なスイッチ入ったんじゃないかと思って。なんて言うの、ホラ、怒りに任せて的なね」
休ますようにと押し倒しはしたが、あの時にそういう他意はなかったので、要はふと浮かんだ光景をすぐに消した。
:09/03/08 17:19
:SO906i
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#628 [向日葵]
「あるはずない。僕はそんな獣じゃないから」
どうだか、と美嘉は背もたれに体を預ける。
「で、椿はなんて言ったの?」
「何も言わなかった。だからそれからは僕も何も問い詰めちゃいない」
「そう……」
美嘉もなんらかの形で問い詰めようとしたのだろうか。
それが敵わなかったから要ならと来たのかもしれない。
敵視していた美嘉が自分を頼りにしてくれているのが、こんな時だが要は嬉しくもあった。
「で、今椿は?」
「ドレスでいい感じのが見つかって、今は休んでる」
:09/03/08 17:26
:SO906i
:☆☆☆
#629 [向日葵]
なら、と要は席を立った。
あれからあまり話せていないし、今度は感情的にならず、冷静に話そう。
そうした方が、椿もゆっくりと話し出すかもしれない。
そう思って、扉に近づこうとした時、ノックをする音が聞こえた。
椿かもと自ら扉を開けた要だが、目の前にいたのはメイドだった。いきなり開いた扉に驚き、目を見開いている。
「ああ……、何か?」
「あ、ハイ!」
ぼんやりしていたメイドは要の声を聞くと急いで来た理由を話し出した。
「椿さまが、倒れてしまいました……っ!」
:09/03/08 17:31
:SO906i
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#630 [向日葵]
――――――――…………
体が重い……。
鉛のようだってこの事を言うんだろうなと、暗闇の中で椿は思った。
―僕は一方通行な気分だよ
ああ……また要さまを怒らせた……。
一方通行だなんて、そんな事ないのに……。
私はただ……。
意識が朦朧としている中で、椿は必死に手を伸ばす。
何かを掴もうと。
しかし当然掴める筈もなく、手は空をかく。
なのに、ふと手に暖かさが宿った。
とても安心する。
これは……?
:09/03/08 17:39
:SO906i
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#631 [向日葵]
そう思った時、闇の中に小さな光が見えた。
――――――――…………
光が戻れば、ここが何かが分かった。
ふかふかのベッドの上。
手を握っているのは……。
「椿……」
その声に、椿はゆっくりと目を開く。
「要さま……」
周りを見ると、美嘉と何人かのメイドがいた。
「良かった……」
ホッとしたように、要は何度も優しく頭を撫でる。
それが心地よくて、椿は目を細める。
:09/03/08 17:44
:SO906i
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#632 [向日葵]
「では、私どもは何か飲み物を持って参ります」
「あ、美嘉も手伝います」
そう言ってメイドと美嘉は出て行った。
部屋を静けさが包む。
要も椿も、お互いの顔を見つめあったままだ。
何から話そうか、お互いがお互い悩んでいた。
「……。……式は、もうちょっと先にする?」
「え…………」
急な要の言葉に、椿は驚いた。
要は前から考えていたらしく、淡々と話し出す。
「思えば、僕が勝手に決めて進めていた。君の意見なんか聞いてなかった。その勝手で君がこんな状態になってしまったなら、式はまた今度に……」
と、話の途中なのに、椿は布団を頭まですっぽりとかぶった。
その行動に、要は目を丸くさせる。
「つ、椿?」
:09/03/08 17:53
:SO906i
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