ギンリョウソウ
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#75 [向日葵]
要はその場で立ちすくむ。

椿は要に、本気で笑いかけていたかと考える。
その完璧な笑顔の仮面に惑わされ、自分がどれだけ彼女を苦しめたかとうろたえる。

その仮面の下に、どれだけの辛さを隠していたのだろう。

いや、こんな事気にしなくてもいい。
自分の目的は彼女ではない。彼女の会社だ。
だから……どうでもいい……。

そう思うのに、要の視線は、たった今美嘉が向かった方へと向いていている。

⏰:08/06/23 00:15 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#76 [向日葵]
椿と自分は似ているのかもしれない。

要も沢山のものを見て見ぬフリをした。
慕ってくる者の裏にある思惑や沢山の恨みの念。
自分の中にある、孤独な感情……。
全ては世界にのし上がる為と捨ててきて、利用した。

椿はそんな自分に似ている。
しかし彼女の場合はもっと綺麗な感情で、そこには“自分の為”だなんて勝手な思いはなく、“人の為”に全てを見て見ぬフリをしている。

きっと、要の事もそうなのだろう……。

⏰:08/06/23 00:20 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#77 [向日葵]
自分を押し殺して、“人の為”に何もかもを捨てるのは、どれだけの勇気や思いがあるだろう……。

要はため息をついた。

ダメだな……椿の事を考えたら気になって仕方ないじゃないか……。

要は歩き出した。

*******************

ヒヤリとした何かが額に当てられたのを感じ、椿は目をゆっくりと開けた。

「美嘉……ちゃん……」

「良かった……気がついた?」

⏰:08/06/23 00:24 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#78 [向日葵]
小さく頷く。

そうか、自分は倒れたのかと思えば、嫌な気持ちでいっぱいになった。
掛け布団から自分の細く白い手を出し見つめる。

頼りない体……。いっそのこと無くなってしまえばいいのに……。
これくらいの暑さにも堪えれないなんて情けなすぎる。

「保健の先生がここでご飯食べていいって言ってるの。食べれる?」

「はい……。ありがとうございます……」

微かな力に頼って体を起こす。
どうやら今は職員も昼休みなので保健室には美嘉と椿しかいないらしい。

⏰:08/06/23 00:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#79 [向日葵]
「あのね椿……、美嘉の前では無理しなくていいんだから。もちろん越の前だってさ……。なんの為の友達だと思ってんの?」

美嘉は軽く頬を膨らませる。
そんな美嘉に椿はそっと笑った。

その気遣いが嬉しい。
だから美嘉達には何も言う事は出来ない。しない。
そう言う人がいるから頑張れる自分がいる。
例えつまらないと言われようと……くじけない。

「ありがとうございます……」

それだけ言うと、美嘉は満足そうに歯を見せて笑った。

⏰:08/06/23 00:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#80 [向日葵]
※訂正

>>74

×美嘉要
○美嘉は要

⏰:08/06/23 00:43 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#81 [向日葵]
美嘉が持ってきたお弁当を受け取り、食べようとした時だった。

勢いよく保健室の扉が開いた。

驚いた2人はその方を見る。
そこに立っていたのは、要だった。

要は椿の姿を見つけると、土足厳禁だと言うのに靴のまま近づいてくる。

敵対心もあらわに、椿の前に立ちはだかる。

「何よ。まだなんかある訳?」

「心配しなくても君にじゃないよ。僕は椿と話がしたいんだ」

⏰:08/06/26 00:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#82 [向日葵]
椿が微かに体をぴくりと動かせたのを美嘉は視界の隅で認めた。
だから尚更ここをのく訳にはいかないと要を睨みつける。

「これ以上椿をいじめないで……。病人にまで手を出す気?」

「僕はそこまで鬼じゃない」

「どうだか……」

らちがあかないと思ったのか、要は美嘉の後ろにいる椿を見る。
要に見つめらるた椿はハッとする。

「椿、僕と話をしてくれるね?」

⏰:08/06/26 00:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#83 [向日葵]
「ちょっとアンタね……っ」

「美嘉ちゃん」

美嘉は振り返り椿を見る。
彼女は、未だ白い顔をしているにも関わらず、にっこりと完璧に微笑んでいた。

「大丈夫ですから、少し外で待っていてもらえますか?」

美嘉は少し躊躇った。
いくら椿の願いと言えど要が椿をいじめないと言うことはない。
それでも、椿の言う事に従ったのは、椿の事が大切が故だった。

渋々保健室から出て行く。

美嘉が出て行ったと同時に、要はまた近づいた。

「……君は馬鹿か」

⏰:08/06/26 00:27 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#84 [向日葵]
いきなりの暴言に、椿の笑顔はなくなり、驚いた顔が要の目にうつる。

「どうして倒れるまでこの炎天下にいる……。日陰に隠れることくらい出来ただろうっ!それに日傘の事だって、僕がぶん取ったと言えばいいじゃないか!」

椿は瞬きを繰り返した後、また静かに微笑んだ。

「葵さまは悪くないですよ……」

「……!別に……そう言う事を言ってるんじゃない……」

「私は葵さまのおっしゃる通り、つまらない奴なのです……」

⏰:08/06/26 00:31 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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