ギンリョウソウ
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#79 [向日葵]
「あのね椿……、美嘉の前では無理しなくていいんだから。もちろん越の前だってさ……。なんの為の友達だと思ってんの?」
美嘉は軽く頬を膨らませる。
そんな美嘉に椿はそっと笑った。
その気遣いが嬉しい。
だから美嘉達には何も言う事は出来ない。しない。
そう言う人がいるから頑張れる自分がいる。
例えつまらないと言われようと……くじけない。
「ありがとうございます……」
それだけ言うと、美嘉は満足そうに歯を見せて笑った。
:08/06/23 00:33
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#80 [向日葵]
:08/06/23 00:43
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#81 [向日葵]
美嘉が持ってきたお弁当を受け取り、食べようとした時だった。
勢いよく保健室の扉が開いた。
驚いた2人はその方を見る。
そこに立っていたのは、要だった。
要は椿の姿を見つけると、土足厳禁だと言うのに靴のまま近づいてくる。
敵対心もあらわに、椿の前に立ちはだかる。
「何よ。まだなんかある訳?」
「心配しなくても君にじゃないよ。僕は椿と話がしたいんだ」
:08/06/26 00:18
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#82 [向日葵]
椿が微かに体をぴくりと動かせたのを美嘉は視界の隅で認めた。
だから尚更ここをのく訳にはいかないと要を睨みつける。
「これ以上椿をいじめないで……。病人にまで手を出す気?」
「僕はそこまで鬼じゃない」
「どうだか……」
らちがあかないと思ったのか、要は美嘉の後ろにいる椿を見る。
要に見つめらるた椿はハッとする。
「椿、僕と話をしてくれるね?」
:08/06/26 00:22
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#83 [向日葵]
「ちょっとアンタね……っ」
「美嘉ちゃん」
美嘉は振り返り椿を見る。
彼女は、未だ白い顔をしているにも関わらず、にっこりと完璧に微笑んでいた。
「大丈夫ですから、少し外で待っていてもらえますか?」
美嘉は少し躊躇った。
いくら椿の願いと言えど要が椿をいじめないと言うことはない。
それでも、椿の言う事に従ったのは、椿の事が大切が故だった。
渋々保健室から出て行く。
美嘉が出て行ったと同時に、要はまた近づいた。
「……君は馬鹿か」
:08/06/26 00:27
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#84 [向日葵]
いきなりの暴言に、椿の笑顔はなくなり、驚いた顔が要の目にうつる。
「どうして倒れるまでこの炎天下にいる……。日陰に隠れることくらい出来ただろうっ!それに日傘の事だって、僕がぶん取ったと言えばいいじゃないか!」
椿は瞬きを繰り返した後、また静かに微笑んだ。
「葵さまは悪くないですよ……」
「……!別に……そう言う事を言ってるんじゃない……」
「私は葵さまのおっしゃる通り、つまらない奴なのです……」
:08/06/26 00:31
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#85 [向日葵]
要が再び彼女をみれぱ、椿は窓の外をまぶしそうに見ていた。
「つまらないと、承知だからこそ、何か証明したかったんです。せめてこれぐらいの暑さや日光に堪える事の出来る体ならば、つまらないながら何か出来るんではないかって……」
彼女は自分の手元に視線を落とす。
うつ向くので、綺麗な黒い髪の毛が彼女の顔を隠す。要からは見えない。
椿の顔は悔しさで歪んでいた。
「日傘なんて……無くても元気な人は元気ですもの……」
:08/06/26 00:35
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#86 [向日葵]
椿が泣いているのではと思った要は、彼女の両肩を持って強制的に顔を上げさせた。
突然の事に椿は驚いていたが、泣いてはいなかった。
要はそれに何故かホッとする。
「ごめんなさい……愚痴になってしまいましたね……」
椿は薄く笑う。
しかし要は、こんな時にまで笑って欲しくなかった。
……こんな時?
彼女が倒れたというだけだ……。
自分はそれを、気にしているのか?
:08/06/30 00:24
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#87 [向日葵]
そんな事を思いながら、口を開く。
「笑うな」
吐息のように、椿は「え……」と言った。
「笑いたくない時は笑わなくていい。無理に笑えなんて言わないから。悲しかったら悲しい顔をしてもいいんだ。怒りたかったら、怒ればいいんだ……」
父や美嘉意外にそう言った人は要が初めてだ。
しかし彼は父達とはまた違う立場の人で、尚且つ彼自身を好きになるように仕向けようとしている。
なのに、上辺だけの筈なのに、どうしてそんな真剣な言葉を伝えてくるのだろう。
:08/06/30 00:29
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#88 [向日葵]
椿は戸惑う。
どうすればいいのか分からない。
そうか、分からないから、この人の前では今まで笑って済ませていたんだ。
彼の巧みな言葉に惑わされてはいけない。
要が自分の事を心配するのは、あくまで利用する為なのだから。
そう胸に刻んだ椿は一度瞬きしてから、やはり微笑んだ。
「悲しい事も、怒る事も、私はありません。幸せなんです。だから笑うのです」
「――っ!だから、そういうんじゃ……っ!」
肩を掴んでいた手に力が入る。
:08/06/30 00:35
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