ギンリョウソウ
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#79 [向日葵]
「あのね椿……、美嘉の前では無理しなくていいんだから。もちろん越の前だってさ……。なんの為の友達だと思ってんの?」

美嘉は軽く頬を膨らませる。
そんな美嘉に椿はそっと笑った。

その気遣いが嬉しい。
だから美嘉達には何も言う事は出来ない。しない。
そう言う人がいるから頑張れる自分がいる。
例えつまらないと言われようと……くじけない。

「ありがとうございます……」

それだけ言うと、美嘉は満足そうに歯を見せて笑った。

⏰:08/06/23 00:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#80 [向日葵]
※訂正

>>74

×美嘉要
○美嘉は要

⏰:08/06/23 00:43 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#81 [向日葵]
美嘉が持ってきたお弁当を受け取り、食べようとした時だった。

勢いよく保健室の扉が開いた。

驚いた2人はその方を見る。
そこに立っていたのは、要だった。

要は椿の姿を見つけると、土足厳禁だと言うのに靴のまま近づいてくる。

敵対心もあらわに、椿の前に立ちはだかる。

「何よ。まだなんかある訳?」

「心配しなくても君にじゃないよ。僕は椿と話がしたいんだ」

⏰:08/06/26 00:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#82 [向日葵]
椿が微かに体をぴくりと動かせたのを美嘉は視界の隅で認めた。
だから尚更ここをのく訳にはいかないと要を睨みつける。

「これ以上椿をいじめないで……。病人にまで手を出す気?」

「僕はそこまで鬼じゃない」

「どうだか……」

らちがあかないと思ったのか、要は美嘉の後ろにいる椿を見る。
要に見つめらるた椿はハッとする。

「椿、僕と話をしてくれるね?」

⏰:08/06/26 00:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#83 [向日葵]
「ちょっとアンタね……っ」

「美嘉ちゃん」

美嘉は振り返り椿を見る。
彼女は、未だ白い顔をしているにも関わらず、にっこりと完璧に微笑んでいた。

「大丈夫ですから、少し外で待っていてもらえますか?」

美嘉は少し躊躇った。
いくら椿の願いと言えど要が椿をいじめないと言うことはない。
それでも、椿の言う事に従ったのは、椿の事が大切が故だった。

渋々保健室から出て行く。

美嘉が出て行ったと同時に、要はまた近づいた。

「……君は馬鹿か」

⏰:08/06/26 00:27 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#84 [向日葵]
いきなりの暴言に、椿の笑顔はなくなり、驚いた顔が要の目にうつる。

「どうして倒れるまでこの炎天下にいる……。日陰に隠れることくらい出来ただろうっ!それに日傘の事だって、僕がぶん取ったと言えばいいじゃないか!」

椿は瞬きを繰り返した後、また静かに微笑んだ。

「葵さまは悪くないですよ……」

「……!別に……そう言う事を言ってるんじゃない……」

「私は葵さまのおっしゃる通り、つまらない奴なのです……」

⏰:08/06/26 00:31 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#85 [向日葵]
要が再び彼女をみれぱ、椿は窓の外をまぶしそうに見ていた。

「つまらないと、承知だからこそ、何か証明したかったんです。せめてこれぐらいの暑さや日光に堪える事の出来る体ならば、つまらないながら何か出来るんではないかって……」

彼女は自分の手元に視線を落とす。
うつ向くので、綺麗な黒い髪の毛が彼女の顔を隠す。要からは見えない。
椿の顔は悔しさで歪んでいた。

「日傘なんて……無くても元気な人は元気ですもの……」

⏰:08/06/26 00:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#86 [向日葵]
椿が泣いているのではと思った要は、彼女の両肩を持って強制的に顔を上げさせた。

突然の事に椿は驚いていたが、泣いてはいなかった。
要はそれに何故かホッとする。

「ごめんなさい……愚痴になってしまいましたね……」

椿は薄く笑う。
しかし要は、こんな時にまで笑って欲しくなかった。
……こんな時?
彼女が倒れたというだけだ……。
自分はそれを、気にしているのか?

⏰:08/06/30 00:24 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#87 [向日葵]
そんな事を思いながら、口を開く。

「笑うな」

吐息のように、椿は「え……」と言った。

「笑いたくない時は笑わなくていい。無理に笑えなんて言わないから。悲しかったら悲しい顔をしてもいいんだ。怒りたかったら、怒ればいいんだ……」

父や美嘉意外にそう言った人は要が初めてだ。
しかし彼は父達とはまた違う立場の人で、尚且つ彼自身を好きになるように仕向けようとしている。

なのに、上辺だけの筈なのに、どうしてそんな真剣な言葉を伝えてくるのだろう。

⏰:08/06/30 00:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#88 [向日葵]
椿は戸惑う。

どうすればいいのか分からない。
そうか、分からないから、この人の前では今まで笑って済ませていたんだ。

彼の巧みな言葉に惑わされてはいけない。

要が自分の事を心配するのは、あくまで利用する為なのだから。

そう胸に刻んだ椿は一度瞬きしてから、やはり微笑んだ。

「悲しい事も、怒る事も、私はありません。幸せなんです。だから笑うのです」

「――っ!だから、そういうんじゃ……っ!」

肩を掴んでいた手に力が入る。

⏰:08/06/30 00:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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