ギンリョウソウ
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#840 [○○&◆.x/9qDRof2]
老人は山菜採りが趣味で、よく山に登っていた。
農民であるために、なかなか早くは仕事が終わらず、大体山に登るのは日が没してからの方が多かった。
その日もいつものように鎌を片手に籠を背負い、熊などに備えて知り合いから譲り受けた太刀を腰に携(たずさ)えた。
:22/10/03 22:01
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#841 [○○&◆.x/9qDRof2]
出掛けるに当たって、今日はどの山に行こうかと考える。同じ山ばかりではその山の山菜を取り付くしてしまうし、何より楽しみが薄れる。そこで老人は考えついた。
:22/10/03 22:01
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#842 [○○&◆.x/9qDRof2]
ちと遠いが、あの山なら良い山菜がよく採れるじゃろうて…
多少山を登らなければならないが、以前に山菜が山ほどなっている場所を見つけたのであった。そうと決まれば早速そこに向かった。
:22/10/03 22:01
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#843 [○○&◆.x/9qDRof2]
草木を掻き分けて森を進む。今年齢七十七を迎える老人には厳しいものがあった。しかし、それが山菜のためとなると、それすら楽しみに変わる。手の鎌を頼りに歩を進めていった。山の中腹辺りまで来ただろうか。もうそろそろ目的地が見えてくると心躍(おど)らされた時、頭上から声が下りてきた。
:22/10/03 22:01
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#844 [○○&◆.x/9qDRof2]
「ここを通りたいか…」
低い男のような声であった。はて、誰ぞおるのか。
老人は小さく呟くと頭上を見上げた。しかし暗い木々が不気味に風に靡(なび)いてるだけで、人の姿は見当たらない。空耳かえ…。
:22/10/03 22:02
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#845 [○○&◆.x/9qDRof2]
老人は正面に顔を戻すと、溜め息を一つ吐いて再び歩を進める。するとどうしたことか、また同じ声がする。これはもはや空耳ではない。老人は急に恐ろしくなった。夜に森なんぞに入ったもんじゃから鬼に出くわしたのやも知れん…。
:22/10/03 22:02
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#846 [○○&◆.x/9qDRof2]
もしくは夜道で良く見えなんだから、道を反れて鬼の巣窟に迷い込んでしまったか…。老人は山に入ったことを後悔した。これでは山菜採りどころではない。
:22/10/03 22:02
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#847 [○○&◆.x/9qDRof2]
引き返そうとすると、また声が問う。ここを通りたいか…。進もうとすれば、またまた声が問う。これは答えねば帰して貰えぬやも知れぬ。そう考えた老人は震える声で答えた。
通りたい。
声はすぐに返ってきた。
通らせない。
:22/10/03 22:02
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#848 [○○&◆.x/9qDRof2]
老人は絶望に打ちひしがれて尚も問う。俺を帰らしてはくれぬのか。帰らして欲しいのか。帰りたいとも。
帰らしてやらぬ。老人はそこで不思議に思った。ある考えを思い付いた老人は声の主に再び問いた。
:22/10/03 22:02
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#849 [○○&◆.x/9qDRof2]
この先には何があるのか。
何があると思う。山菜じゃ。何もない。老人は確信した。ここぞとばかりに最後の質問をする。
やはり帰してくれぬのかのぅ。
帰して欲しいか。
:22/10/03 22:03
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