ギンリョウソウ
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#844 [○○&◆.x/9qDRof2]
「ここを通りたいか…」

低い男のような声であった。はて、誰ぞおるのか。
老人は小さく呟くと頭上を見上げた。しかし暗い木々が不気味に風に靡(なび)いてるだけで、人の姿は見当たらない。空耳かえ…。

⏰:22/10/03 22:02 📱:Android 🆔:☆☆☆


#845 [○○&◆.x/9qDRof2]
老人は正面に顔を戻すと、溜め息を一つ吐いて再び歩を進める。するとどうしたことか、また同じ声がする。これはもはや空耳ではない。老人は急に恐ろしくなった。夜に森なんぞに入ったもんじゃから鬼に出くわしたのやも知れん…。

⏰:22/10/03 22:02 📱:Android 🆔:☆☆☆


#846 [○○&◆.x/9qDRof2]
もしくは夜道で良く見えなんだから、道を反れて鬼の巣窟に迷い込んでしまったか…。老人は山に入ったことを後悔した。これでは山菜採りどころではない。

⏰:22/10/03 22:02 📱:Android 🆔:☆☆☆


#847 [○○&◆.x/9qDRof2]
引き返そうとすると、また声が問う。ここを通りたいか…。進もうとすれば、またまた声が問う。これは答えねば帰して貰えぬやも知れぬ。そう考えた老人は震える声で答えた。

通りたい。

声はすぐに返ってきた。

通らせない。

⏰:22/10/03 22:02 📱:Android 🆔:☆☆☆


#848 [○○&◆.x/9qDRof2]
老人は絶望に打ちひしがれて尚も問う。俺を帰らしてはくれぬのか。帰らして欲しいのか。帰りたいとも。
帰らしてやらぬ。老人はそこで不思議に思った。ある考えを思い付いた老人は声の主に再び問いた。

⏰:22/10/03 22:02 📱:Android 🆔:☆☆☆


#849 [○○&◆.x/9qDRof2]
この先には何があるのか。
何があると思う。山菜じゃ。何もない。老人は確信した。ここぞとばかりに最後の質問をする。

やはり帰してくれぬのかのぅ。
帰して欲しいか。

⏰:22/10/03 22:03 📱:Android 🆔:☆☆☆


#850 [○○&◆.x/9qDRof2]
声の主が答えるとしばらくの沈黙の後、老人が返す。

いや、帰りとうない。
ならば帰れ。

あっさり承諾を得た老人は足早に山を下りていった。

.......そういう話であった。

⏰:22/10/03 22:03 📱:Android 🆔:☆☆☆


#851 [○○&◆.x/9qDRof2]
さて。男はどのくらい歩いたのであろうか。山の中腹に差し掛かった辺りであった。不意に頭上から声が降り注がれた。

「ここを通りたいか…」

男は落ち着いた口調で答えた。

通りたくない。

⏰:22/10/03 22:03 📱:Android 🆔:☆☆☆


#852 [○○&◆.x/9qDRof2]
声の主の答えが返ってくる。

ならば通れ。

声の主が言い終えるとすぐに男は問い掛ける。

俺を喰らうか。
喰らって欲しいのか。
喰らって欲しいさ。
喰らわぬ。

⏰:22/10/03 22:03 📱:Android 🆔:☆☆☆


#853 [○○&◆.x/9qDRof2]
男は会話を楽しんでいるようにさえ伺えた。
口元に微笑を浮かべつつ、男はゆっくりと最後の質問のために口を開く。

 俺の.......使い魔にならぬか。

 男は依然として微笑を含めたまま、静かに次の言葉を待った。

⏰:22/10/03 22:04 📱:Android 🆔:☆☆☆


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