愛の在り処
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#91 [果樹]
いきなり強い力で肩を掴まれた私は驚いて思わず足が止まる。

私の肩を掴んで足を止めたのは今私の目の前で息を切らしている男。

「待ってって言ったのに・・・」

ハァハァと荒い息を整えながら男は私を見る。

長身で端正な顔立ちの黒髪の男。

こいつは間違いなく昨日あの子猫を拾った時に私に飼ってくれと頼み込んだ男だ。

⏰:08/07/01 20:27 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#92 [果樹]
記憶が合致したところでまた男を見ると男はにこりと私を見ながら笑っている。

「なに?」

「あ、いや・・。君が目の前を通りすぎたから思わず走って追い掛けちゃった」

そんなことで追い掛けてきたのか。

と男を冷ややかな目で見るが男は相変わらずにこにこと笑っている。

⏰:08/07/08 00:14 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#93 [果樹]
「昨日の子猫いいこにしてる?」

「まぁね」

素気なく答えても男は笑顔を絶やさずに私に歩調を合わせるように歩く。

「そっか。ところで何処に行くの?」

「ホームセンター」

「何しに?」

「猫のトイレ買いに」

⏰:08/07/08 00:14 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#94 [果樹]
「俺も付き合っていい?」

「は?」

なんつった?

「俺も行きたい」

男の目はらんらんと輝いていて何故か拒否できなかった。

「はぁ・・・来れば?」

溜め息をついてから言うと男は「やった」と小さくガッツポーズをした。

⏰:08/07/08 00:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#95 [果樹]
男の名前は一ノ瀬 慶 (イチノセ ケイ)

最近このあたりに引っ越してきたらしい。

その前までは海外暮らしの帰国子女だという。

男、いや慧はホームセンターに着くまでずっとそんな話をしていた。


――――――――・・・・・


「そーいえばさ、あの猫ちゃんの名前なんてつけたの?」

⏰:08/07/10 07:03 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#96 [果樹]
慧→慶です
ミスってすみません

⏰:08/07/10 07:04 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#97 []
続きが気になります
更新頑張って下さい

⏰:08/07/11 15:30 📱:SH903i 🆔:JVfCN4qM


#98 [果樹]
さんへのお礼は感想板にて

⏰:08/09/09 17:18 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#99 [果樹]
猫砂を選んでる途中、慶が唐突に聞いてきた。

「ないよ」

「え?」

私は横で驚く慶を尻目にたんたんと言葉を繋ぐ。

「だから無いの。名前無し」

そう、私はまだあの子猫に名前をつけていない。

理由はなんて付けたらいいかわからないから。

⏰:08/09/09 17:19 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#100 [果樹]
「じゃあ俺がつけてもいい?」

「へ?」

慶の言葉に思わず変な声が出た。

「名前。俺がつけたい」

「・・・いいよ」

少しの沈黙の後、私はつけてくれるならそれでいいやと思って承諾した。

⏰:08/09/09 17:19 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


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