愛の在り処
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#174 [果樹]
「モアは慶が好き?」

ミャーン

モアの鳴き声はなんだか肯定しているように聞こえた。

「ふふっそっか。明日は来るといいね」

私はモアを抱き締めて眠りについた。

⏰:08/11/21 04:13 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#175 [果樹]
――――・・・

それから慶はぱったりと家にこなくなった。

学校で話しかけてもかわされ、電話をしても忙しいからと切られた。

心当たりが何もないまま1週間が過ぎ、また1週間が過ぎた。

そして慶は教育実習期間を終えて学校を去っていった。

⏰:08/11/21 04:13 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#176 [果樹]
――――・・・

家に帰った私はソファでモアを抱き締めながら話しかける。

「ごめんねモア。もう慶は来ないんだ・・」

ニャーン

「ごはん。たくさん残ってるから冷凍しなきゃね」

ンニャー

⏰:08/11/21 16:33 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#177 [果樹]
冷蔵庫には慶がいつ来てもいいようにと少し多めに作ったごはんがところ狭しと並んでいた。

「たくさん遊んで貰えてよかったね」

ニャン

「でも少し寂しくなっちゃったね・・」

私の言葉はシーンとした部屋の中で嫌になるくらい響いた。

⏰:08/11/21 16:33 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#178 [果樹]
――――・・・

最近まなちゃんの元気がない。
学校に来ても溜め息ばっか。
原因はなんとなくわかる。


「はぁ・・・」

ほらまた溜め息。

「まーなちゃんっ」

無視ですか・・・。

⏰:08/11/21 16:34 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#179 [果樹]
笑顔がみたくて笑いかけてほしくて声をかけてもまなちゃんは一回も俺に笑ってくれたことはない。

イッチーにはあんな笑顔で笑うのに・・・。

転校してきたその日に俺はまなちゃんを好きになった。

無愛想で言葉がきつくて、なのに綺麗でどこか弱そうで俺はまなちゃんに惹かれていた。

⏰:08/11/21 16:45 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#180 [果樹]
俺がぼけーっとまなちゃんを見ているとガタンとまなちゃんが席を立つ。

「あれ?どこ行くの?」

「・・・帰る」

「え!?な、なんで?」

驚いて目を丸くする俺にまなちゃんは

「つまんないから」

と言ってスタスタと教室を出ていってしまった。

⏰:08/11/21 16:46 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#181 [果樹]
俺はその後ろ姿を口を開けて見ていた。

――――・・・

私の生活は元に戻るだけ。
ただそれだけ。
慶が来る前の生活に・・・。

なのに胸にぽっかりと穴が空いたような空虚感はなんなんだろう。

⏰:08/11/22 23:59 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#182 [果樹]
ぼーっと歩いているとモアを拾った道、そして初めて慶と会った道に出た。

あの時の慶の笑顔が頭から離れない。


二度目に会ったのはその次の日。
警戒心のない少年のような無邪気な笑顔だった。


三度目は学校に教育実習生として来た慶に会った。

⏰:08/11/22 23:59 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#183 [果樹]
驚いたけど優しい笑顔は変わってなかった。


一緒にご飯を食べてモアと遊んで慶が笑っていたあの日々がなんだか懐かしくて・・・。

私は慶との思い出を振り払うように走って家に帰った。

――――・・・

慶が学校を去ってから一週間が過ぎ。
一ヶ月が過ぎ。
二ヶ月が過ぎていった。

⏰:08/11/23 00:00 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


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