愛の在り処
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#11 [果樹]
私は一哉と付き合っている。
でも別に好きなわけじゃない。
いや、好きか嫌いかって聞かれたら好きな方。
だけど別に“愛して”ないし“大好き”でもない。
「付き合って」っていわれたから付き合っている。
ただそれだけ。
:08/06/06 21:16 :P902iS :☆☆☆
#12 [果樹]
そもそもあたしは、“本物の恋愛”をしたことがない。
“好き”って感情もいまいちよくわからない。
わからないことだらけな私の心。
辞書を引いてもきっと私の望む答えは載っていないんだろうな・・・。
――――――――・・・・
「愛実ー今日お前んち行っていい?」
:08/06/06 21:17 :P902iS :☆☆☆
#13 [果樹]
昼休み、里奈とご飯を食べてる時に一哉が教室にきて、いきなり言った。
「いいよ」
私は作った笑顔でそれに答える。
「じゃあ放課後迎えに来るな」と言って一哉は自分の教室に戻っていった。
「一哉くんて愛実にゾッコンだよね」
ゾッコン・・・。
:08/06/07 02:12 :P902iS :☆☆☆
#14 [果樹]
今時そんな言葉は使わないと思うんだけど、と心の中で里奈にツッコミをいれる。
「そんなことないと思うけど?」
お弁当の中のウインナーをフォークで刺して、口に運びながら私は言う。
「いーや。あるね!てゆうか愛実は淡白すぎる」
そんな私に里奈はフォークの切っ先を向けながら言う。
:08/06/07 02:13 :P902iS :☆☆☆
#15 [果樹]
「性格だもん。しょうがないじゃん」
もぐもぐとウインナーを食べながらいうと里奈はふぅと少し溜め息を吐く。
「まぁ愛実のそゆとこ好きだけどね」
里奈はパンをかじりながらにやりと笑って言う。
“好き”か・・・。
里奈の言葉を口の中で繰り返す。
:08/06/07 02:13 :P902iS :☆☆☆
#16 [果樹]
友達としての“好き”ならわかる。
あたしも里奈は好きだ。
でも恋愛は違う。
好きという言葉の重さが違う。
「どうかした?」
「なんでもない」
里奈の言葉で思考の世界から現実に戻ってきた私は、頭の中にあった考えを払拭するように、フォークで卵焼きを刺した。
:08/06/09 23:51 :P902iS :☆☆☆
#17 [果樹]
放課後―――・・・
「おじゃましまーす」
玄関で靴を脱ぎ、一哉はまるで我が家同然にズカズカと家の中に入っていく。
はぁと溜め息をついて靴を並べてから私も一哉の後に続く。
「相変わらず何もないなー愛実の家は」
:08/06/12 00:45 :P902iS :☆☆☆
#18 [果樹]
一哉はリビングをぐるぐる歩き回る。
「このへんにこーさ、でっかい8人掛けぐらいのソファでも置けばいーのに」
「邪魔だから」
部屋の角に立って手でその大きさを表して言う一哉に一喝して私はキッチンに入る。
「今日はコーヒーにする?それとも紅茶?」
:08/06/12 00:45 :P902iS :☆☆☆
#19 [果樹]
マグカップを手に取り一哉に訪ねると一哉がキッチンに入ってきた。
「そんなことよりさ」
いきなり後ろから一哉に抱き締められた。
「部屋行かね?」
「部屋行かなくてもベッドならそこにあるけど」
鼻先を髪に埋めながら言う一哉に私はリビングにあるソファを指して言う。
:08/06/12 00:46 :P902iS :☆☆☆
#20 [果樹]
うちのソファはベッドみたいに広くて充分寝れるくらいの3人掛けだからだ。
「ちっがーうよ愛実ちゃん!雰囲気が違うの!」
「はいはい。分かったわよ」
私の言葉に対し一哉が力説してきたので軽くあしらって私たちは部屋に行く。
――――――――・・・・
「愛実・・・」
:08/06/12 00:47 :P902iS :☆☆☆
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