愛の在り処
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#151 [果樹]
「学校で使ってる丁寧口調だとこっちが疲れる」
「あれじゃなきゃいろいろ面倒くさいんだよ」
私の言葉に慶は困った顔で答える。
そのまま私が何も言わないと慶はふぅと軽く息をはく。
「わかった。武藤さんの前では丁寧口調はやめるよ」
:08/11/16 16:52 :P902iS :☆☆☆
#152 [果樹]
「武藤さんじゃなくて愛実でいい」
「はい」
私の言葉に慶はまるで参りましたとでもいうように膝に手を置いて頭を下げる。
「ふふっ」
私はそんな姿に笑いが溢れ慶もつられて笑いだす。
:08/11/16 16:54 :P902iS :☆☆☆
#153 [果樹]
――――・・・
「今日はありがとう」
正面玄関まで送って行くと慶に笑顔でお礼を言われた。
「約束だったから」
「え?」
「また会わせるって約束だったから」
:08/11/16 16:56 :P902iS :☆☆☆
#154 [果樹]
そう。約束だった。
慶に二度目にあった時。
またモアに会いたいって慶が言った時、私はいいよと言った。
私は約束を果たしただけのこと。
それでも慶は「ありがとう」と言って帰って行った。
:08/11/16 16:57 :P902iS :☆☆☆
#155 [果樹]
――――・・・
それから慶はちょくちょく家に遊びに来るようになった。
ある日、私は前から疑問に思っていたことを慶に聞いてみた。
「ねぇ、どうしてそんなに猫が好きなのに飼えないの?」
すると慶は少し悲しそうな顔をしながら答えた。
:08/11/17 13:30 :P902iS :☆☆☆
#156 [果樹]
「俺の弟が昔猫に引っ掛かれて以来猫が怖くて触れないんだよ。だから俺がどんなに好きでも飼えないんだ」
「そう・・だったんだ・・。猫恐怖症治るといいね」
そう言うと慶は笑って「ありがとう」と言った。
なんであんな優しい笑顔ができるのだろうと慶を見てると不思議になる。
:08/11/17 13:30 :P902iS :☆☆☆
#157 [果樹]
心が優しい人は笑顔も優しくなる。
いつかどこかで誰かが行っていた。
慶を見ているとそれが本当な気がする。
あたしにはあんな温かい優しい笑顔はできない。
――――・・・
「まーなちゃんっ」
学校に来るといつものように逞が近付いてきた。
:08/11/17 13:31 :P902iS :☆☆☆
#158 [果樹]
「うるさい逞」
「まだ何にも言ってないよ!?」
一喝すると逞は悲しそうな顔をする。
なんでこうも顔で気持ちが表せるのか不思議でしょうがない。
「そんなことより俺昨日見ちゃったんだ」
「へぇーよかったね」
:08/11/17 13:32 :P902iS :☆☆☆
#159 [果樹]
逞がうざいくらい楽しそうに言うのを私は軽くあしらう。
「だから最後まで聞いてって」
またしょぼんとなる逞。
「まなちゃんイッチーと付き合ってんの?」
「は?」
唐突にそんなおかしなことを言われて私は思わず反応してしまう。
:08/11/17 13:33 :P902iS :☆☆☆
#160 [果樹]
「だって昨日まなちゃんの家から出てくるイッチーみちゃったんだもん」
しれっと言うものだから私は慌てて、逞を教室から引きずり出す。
「ちょっ逞こっち来て!」
――――・・・
「その話誰にも言ってないよね!?」
:08/11/18 06:33 :P902iS :☆☆☆
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