愛の在り処
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#4 [果樹]
目覚ましの音で目が覚めた。
ベッドを降りて暗い部屋に日が差し込むようにカーテンを開けると、眩い太陽が目に入る。
「おはよう。お父さん、お母さん」
机に立掛けてある写真に挨拶をして、私は部屋を出た。
キッチンに行って冷蔵庫を開け、麦茶を取り出す。
:08/06/04 21:51
:P902iS
:☆☆☆
#5 [果樹]
グラスに注いでゴクッと一口飲むと、渇いていた喉が潤う。
私は麦茶を冷蔵庫に戻し、グラスはそのままにしてまた部屋に戻る。
シーンと静まり返った家の中には私の足音がするだけ。
カチャっとドアを開けて、中に入り、学校に行く支度をする。
鞄を持ち、鏡で最終チェックをして、最後に写真の前に行く。
:08/06/04 21:52
:P902iS
:☆☆☆
#6 [果樹]
「行ってきます」
それだけ言って私は家に鍵をかけて、学校に向かう。
はぁと溜め息をついて重たい足を引きずるように学校に向けて動かすと、前から手を繋いだ親子が歩いてきた。
「ママー。今日はマナちゃんと遊ぶのー」
「そっかぁ。仲良くね?」
:08/06/04 21:54
:P902iS
:☆☆☆
#7 [果樹]
「うん!」
楽しそうな会話。
いいなぁ。
ああいう仲の良い親子の姿を見るのは好きだ。
心がふっと軽くなる気がするから。
:08/06/04 21:54
:P902iS
:☆☆☆
#8 [果樹]
「愛実ー!」
後ろから名前を呼ばれて振り向くと一哉が走ってくるのが見えた。
私の元まで来た一哉は、あんなに走ったのに息一つ切らせずに、「おはよう」と言った。
「おはよ」と私も返し私たちは歩き出す。
一哉は横でずっと喋っていたが、私は適当に相槌をうったり、たまに笑ったりするだけで、学校までの道のりを歩いた。
:08/06/04 21:57
:P902iS
:☆☆☆
#9 [果樹]
「愛実ー!一哉くーん!」
後ろから呼ばれたので振り向くと、里奈が小走りで手を振りながら走ってきた。
「おはよ里奈」
「おはよ。一哉くんも」
笑って返すと、里奈もにぱっと笑って返してくれた。
一哉の方に目線を移しまたにぱっと笑う里奈。
:08/06/06 00:54
:P902iS
:☆☆☆
#10 [果樹]
「おっす。じゃあ俺行くな」
「うん」
手を上げて里奈に挨拶してから、私の方を見て手を振って、一哉は校舎の方に走っていった。
私は頷いて一哉の背中を見送った。
「くーっ相変わらずかっこいい!朝から見せつけてくれますねー」
「そんなんじゃないよ・・・」
にやにやと笑いながら言う里奈に、私は口元だけで笑みを作って校舎に歩みを進めた。
:08/06/06 00:56
:P902iS
:☆☆☆
#11 [果樹]
私は一哉と付き合っている。
でも別に好きなわけじゃない。
いや、好きか嫌いかって聞かれたら好きな方。
だけど別に“愛して”ないし“大好き”でもない。
「付き合って」っていわれたから付き合っている。
ただそれだけ。
:08/06/06 21:16
:P902iS
:☆☆☆
#12 [果樹]
そもそもあたしは、“本物の恋愛”をしたことがない。
“好き”って感情もいまいちよくわからない。
わからないことだらけな私の心。
辞書を引いてもきっと私の望む答えは載っていないんだろうな・・・。
――――――――・・・・
「愛実ー今日お前んち行っていい?」
:08/06/06 21:17
:P902iS
:☆☆☆
#13 [果樹]
昼休み、里奈とご飯を食べてる時に一哉が教室にきて、いきなり言った。
「いいよ」
私は作った笑顔でそれに答える。
「じゃあ放課後迎えに来るな」と言って一哉は自分の教室に戻っていった。
「一哉くんて愛実にゾッコンだよね」
ゾッコン・・・。
:08/06/07 02:12
:P902iS
:☆☆☆
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