君の壊れる音がする           リメイク版
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#18 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

時計の針が動く音と、外から聞こえてくる、蝉の鳴き声だけが、嫌に大きく保健室に響いていた。

無言のまま俺を見つめるカレン。異様だった。

嫌な汗が額から頬へと伝った。

何も訊いてこないことに違和感を覚えた。

⏰:08/06/24 23:53 📱:L704i 🆔:A1qigEc6


#19 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]


「渉ちゃん、お腹空いてるよね? お弁当食べない?」


カレンは膝上に置かれた手さげ鞄をぽんぽんと叩いた。

やはり手さげ鞄の中身は弁当だったらしい。

⏰:08/06/25 00:45 📱:L704i 🆔:mKA36d8s


#20 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]


「あ、ああ、食べる」


俺がそう言うと、カレンは手さげ鞄から二人分の弁当箱を取り出し、さっと蓋を開けて俺に差し出した。

食欲をそそる香りが辺りに立ち込める。

⏰:08/06/25 01:33 📱:L704i 🆔:mKA36d8s


#21 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]


「ありがと」


弁当を受け取ると同時に、カレンの無理矢理つくったような、ぎこちない笑顔が目についた。

その姿は、まるで親に叱られる前の怯えた子供のようだった。

俺は辛抱たまらず、カレンに「おいこら」と怒鳴りつけた。

⏰:08/06/25 22:28 📱:L704i 🆔:mKA36d8s


#22 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]


「なにビクついてんだよ。そんなつまんねぇ顔ばっかしてると焼いて食うぞ」


「え」


カレンは酷く面食らったようだった。

目をぱっちりと開け、こちらに澄んだ瞳を真っ直ぐに向けている。

⏰:08/06/26 00:05 📱:L704i 🆔:T22ultoA


#23 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

しばらくすると、カレンは口ごもりながらつぶやき始めた。


「だって、あんなに近くにいたのに、渉ちゃんが階段から落ちるのを止めることができなかったんだもん……。ぼくのせいだ……。ごめん。ごめんね、渉ちゃん……」

⏰:08/06/26 00:09 📱:L704i 🆔:T22ultoA


#24 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

カレンは大きな瞳から次々とこぼれ落ちる涙を手でぬぐった。

俺は首を傾げる。


「それだけ?」


念のために訊いてみた。

⏰:08/06/26 00:11 📱:L704i 🆔:T22ultoA


#25 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]


「え? それだけ……」


俺はため息を吐いた。心配して損した。

先ほどまで葛藤していたのが馬鹿みたいに思える。

結局、俺を《背後から突き落とした人間》なんて存在しなかったということだ。

俺は、ただ階段から足を踏み外して転げ落ちただけということだったのである。

⏰:08/06/26 00:14 📱:L704i 🆔:T22ultoA


#26 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]


「渉ちゃんは大会前の大切な体なのに……。ぼく、マネージャー失格だよ……」


カレンはうなだれた。


「だから、どこも痛くないって言ってるだろ。大丈夫だよ。それに、なんで俺がドジって階段から落ちたのがお前のせいになるんだ?」

⏰:08/06/26 01:34 📱:L704i 🆔:T22ultoA


#27 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]


「でも……」


カレンが《良くないこと》を胸に抱えていると、俺まで調子が狂ってしまう。

不安で胸が裂けてしまいそうになる。

⏰:08/06/26 01:36 📱:L704i 🆔:T22ultoA


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