君の壊れる音がする           リメイク版
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#21 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]


「ありがと」


弁当を受け取ると同時に、カレンの無理矢理つくったような、ぎこちない笑顔が目についた。

その姿は、まるで親に叱られる前の怯えた子供のようだった。

俺は辛抱たまらず、カレンに「おいこら」と怒鳴りつけた。

⏰:08/06/25 22:28 📱:L704i 🆔:mKA36d8s


#22 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]


「なにビクついてんだよ。そんなつまんねぇ顔ばっかしてると焼いて食うぞ」


「え」


カレンは酷く面食らったようだった。

目をぱっちりと開け、こちらに澄んだ瞳を真っ直ぐに向けている。

⏰:08/06/26 00:05 📱:L704i 🆔:T22ultoA


#23 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

しばらくすると、カレンは口ごもりながらつぶやき始めた。


「だって、あんなに近くにいたのに、渉ちゃんが階段から落ちるのを止めることができなかったんだもん……。ぼくのせいだ……。ごめん。ごめんね、渉ちゃん……」

⏰:08/06/26 00:09 📱:L704i 🆔:T22ultoA


#24 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

カレンは大きな瞳から次々とこぼれ落ちる涙を手でぬぐった。

俺は首を傾げる。


「それだけ?」


念のために訊いてみた。

⏰:08/06/26 00:11 📱:L704i 🆔:T22ultoA


#25 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]


「え? それだけ……」


俺はため息を吐いた。心配して損した。

先ほどまで葛藤していたのが馬鹿みたいに思える。

結局、俺を《背後から突き落とした人間》なんて存在しなかったということだ。

俺は、ただ階段から足を踏み外して転げ落ちただけということだったのである。

⏰:08/06/26 00:14 📱:L704i 🆔:T22ultoA


#26 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]


「渉ちゃんは大会前の大切な体なのに……。ぼく、マネージャー失格だよ……」


カレンはうなだれた。


「だから、どこも痛くないって言ってるだろ。大丈夫だよ。それに、なんで俺がドジって階段から落ちたのがお前のせいになるんだ?」

⏰:08/06/26 01:34 📱:L704i 🆔:T22ultoA


#27 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]


「でも……」


カレンが《良くないこと》を胸に抱えていると、俺まで調子が狂ってしまう。

不安で胸が裂けてしまいそうになる。

⏰:08/06/26 01:36 📱:L704i 🆔:T22ultoA


#28 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

カレンは俺の太陽なのだ。

いつも明るく、そして幸せであって欲しい。


…ああ、もう。


俺はうつむいたカレンの頭に手を置き、乱暴に髪を引っかきまわした。

⏰:08/06/26 01:37 📱:L704i 🆔:T22ultoA


#29 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]


「え、ちょっと、なにするの渉ちゃん、うにゃーっ」


続けてカレンの異様に柔らかい頬を左右に引っ張る。

⏰:08/06/27 00:11 📱:L704i 🆔:J9MtnFPE


#30 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]


「はにしゅるの! いれれ、いらいよー!」


「馬鹿。落ち込むなんてお前らしくないんだよ。悪いと思ってんなら笑ってみせろ!」

⏰:08/06/27 22:28 📱:L704i 🆔:J9MtnFPE


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