月の裏側
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#322 [我輩は匿名である]
頭を4発殴られた。

だけど、それで百合が許してくれるなら何発だって殴られてもいい。

俺は百合がいないとダメなんだ。

百合しかいないんだ。

本当にごめん。

⏰:08/09/14 20:57 📱:PC 🆔:kf/llK9E


#323 [我輩は匿名である]
付き合って7年目。

俺の仕事が忙しくて旅行に行けなかった。

19歳の冬、初めてボードに行った旅行から、毎年冬にはどこかに旅行していた。

だけど、今年ばっかりは連休が取れなくて、百合は不機嫌そうだった。

お詫びに来年は海外に行く約束をした。

すると百合は簡単に許したくれた。

⏰:08/09/14 20:58 📱:PC 🆔:kf/llK9E


#324 [我輩は匿名である]
だけど、その翌年、俺らは旅行に行けなくなった。

俺、百合、共に26歳。

小さな命を授かったんだ。

⏰:08/09/14 20:58 📱:PC 🆔:kf/llK9E


#325 [我輩は匿名である]
「赤ちゃんできたの」

「…ブッ!…マ…ジで…すか?」

百合が照れながらそう言った時、俺は食べていたコロッケを吹き出したっけ。

嬉しくて嬉しくて、泣くのを我慢したせいで鼻の奥が痛かった。

「生んでもいいよね?」

⏰:08/09/14 21:01 📱:PC 🆔:kf/llK9E


#326 [我輩は匿名である]
答えは1つしかないじゃんね。

「俺と百合の子供…」

「うん」

「産んでください。よろしくお願いします」

「はい」

百合は笑った。

もう母親の顔だった。

「百合」

「ん?あ、ご飯おかわり?」

そう言って立ち上がった百合の手を掴んで言った。

「結婚しよう」

⏰:08/09/14 21:01 📱:PC 🆔:kf/llK9E


#327 [我輩は匿名である]
百合は、さっきより何倍もの可愛い笑顔で「はい」と言った。

数日後に百合の両親に、妊娠と結婚の報告に行った。

「順番が逆だ!もっと早くに籍を入れとかんから、こんなことになる!」

そう言ってお父さんに叱られた二人。

「まぁまぁいいじゃないの。私たちに孫ができるのよ?おめでたいじゃない」

お母さんは喜んでくれた

⏰:08/09/14 21:02 📱:PC 🆔:kf/llK9E


#328 [我輩は匿名である]
「百合さんを幸せにします」

こんなありきたりの言葉しか言えない俺だけど、最後にはお父さんも許してくれた。

なんだかんだ言って、お父さんが1番喜んでくれていたらしい。

名前を考えたり、ベビーグッズを探したり…。

両親に愛されながら育った百合が羨ましかった

⏰:08/09/14 21:02 📱:PC 🆔:kf/llK9E


#329 [我輩は匿名である]
俺の両親は、「そうか」「よかったわね、おめでとう」と軽い返事だった。

結婚や孫ができることになっても無関心なのか。

こんな両親にはなりたくない。

そう決めた。

⏰:08/09/14 21:03 📱:PC 🆔:kf/llK9E


#330 [我輩は匿名である]
その翌年、元気な女の子が生まれた。

俺は泣いた。

27歳にして、周りの目も気にせずに泣いた。

百合はそんな俺を見て笑ってた。

⏰:08/09/14 21:03 📱:PC 🆔:kf/llK9E


#331 [我輩は匿名である]
画数とかバランスとか、結局は関係なく俺ら2人の名前をとって「美優」と、素晴らしい名前を付けてくれたお父さん。

お父さんも病室で孫の顔を見て泣いた。

「美優、おじいちゃんだよー。泣き虫だね」

百合はまた笑ってた。

「可愛い子だな。じいちゃんに目元が似てるなぁ!」

⏰:08/09/18 14:38 📱:PC 🆔:D6L4N7VY


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