月の裏側
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#332 [我輩は匿名である]
お父さんは美優を抱きながら目尻を下げっぱなしていた。
小さいけれど大きな命。
その誕生によって誰もが幸せになる。
俺が生まれたとき、親父やお袋も喜んでくれたのかな。
:08/09/18 14:38
:PC
:D6L4N7VY
#333 [我輩は匿名である]
百合と美優が退院し、仕事から家に帰る楽しみができた。
つい数週間前までは家に帰っても百合は入院して、ひとりぼっちだった。
この年になってもひとりぼっちは寂しくて…。
だから今、家族3人で過ごしているなんて「幸せ」以上の言葉があったら教えて欲しいくらいだ。
:08/09/18 14:39
:PC
:D6L4N7VY
#334 [我輩は匿名である]
28歳になった。
結婚して2年だが、付き合い始めて、なんと10年がたったのだ。
美優も1歳になり、百合は専業主婦として頑張ってくれている。
守るものが2つある。
仕事は前にも増して頑張った。
:08/09/18 14:39
:PC
:D6L4N7VY
#335 [我輩は匿名である]
29歳。
三十路1歩手前。
このまま親子3人、のらりくらり生きていくんだと思っていた。
だけど違った。
結婚3年目の真実は、頭を抱える物だった。
:08/09/18 14:40
:PC
:D6L4N7VY
#336 [我輩は匿名である]
「ぱぱ〜」
「ん?」
「ままとみゆ、どっちがすき?」
仕事が休みの俺に美優は甘えてくる。
「どっちも好き」
「えぇ〜。ままは、みゆが1ばんすきって、いってたよ」
「パパは?」
「2ばんめだって」
:08/09/18 14:40
:PC
:D6L4N7VY
#337 [我輩は匿名である]
「パパ、美優に負けたの?ショックー」
「キャハハハッ」
ムンクの叫びみたいな顔をしてやると美優は可愛い顔で笑った。
幸せ。
娘の笑顔見てると仕事の疲れなんて吹っ飛ぶな。
:08/09/18 14:40
:PC
:D6L4N7VY
#338 [我輩は匿名である]
「おなかすいたー」
「ん、パパも。ママまだ起きて来ないね」
時刻は朝の9時。
いつも8時には朝食を済ませる3人なのに、今日は百合がまだ起きて来ない。
:08/09/18 14:41
:PC
:D6L4N7VY
#339 [我輩は匿名である]
「パパが起こしてくるから美優テレビ見ててお利口にしててねー」
「はーい」
寝室に行き、布団に丸まっている百合に声をかけた。
「百合」
「…んんっ」
:08/09/18 14:41
:PC
:D6L4N7VY
#340 [我輩は匿名である]
「どうしたの?熱でもある?」
「…んー。何時?」
「9時。美優お腹すいたって」
百合はバッと起き上がったが、どこか力の入っていない顔。
「ごめんね。今から急いで作るよ」
「体調悪いなら無理しなくていいよ?」
「平気。寝坊してごめんね」
:08/09/18 14:42
:PC
:D6L4N7VY
#341 [我輩は匿名である]
百合は覚束ない足取りでリビングに向かう。
俺も後ろから追い掛けると美優が嬉しそうに百合に縋り付いている最中だった。
「おはよう!」
「おはよ。お腹空いた?ごめんね、すぐ作るから待ってて」
「うんっ」
:08/09/18 14:42
:PC
:D6L4N7VY
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