月の裏側
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#365 [我輩は匿名である]
「百合を泣かすなんて、どんな男だよってムカついてた反面…俺から離れて行くかもしんねーって、いつもビビってたんだ」
また煙草に手が伸びた。
落ち着け、俺。
美優を妊娠して、産まれてからは、百合と美優の前でほとんど吸わなかったのに…やべぇな。
我慢できねぇ。
つい、煙草に頼ってしまう。
:08/09/19 12:15
:PC
:./.2cs2Y
#366 [我輩は匿名である]
「でも百合はあいつにガツンと言ってくれてさぁ。未練はないってちゃんと言ってくれて…あぁ、大丈夫なんだなってやっと安心できた」
スーっと俺の息を吐く音がリビング中に響き渡った。
:08/09/19 12:16
:PC
:./.2cs2Y
#367 [我輩は匿名である]
「あれから、あいつとは何度か遊んだりもした。百合の話をあえて出したりしてさ。でも最近じゃなかなか会えないな。百合がこんな事言い出すまで、思い出してやるのも忘れてたわ」
俺は笑った。
だけど百合はクスリとも笑わずに涙を流しながら俺を見ている。
:08/09/19 12:16
:PC
:./.2cs2Y
#368 [我輩は匿名である]
「あの日から安心して百合と付き合ってきて、結婚して子供もできて…ずーっと幸せに過ごせるんだと思ってた。だけどここ最近、また不安でさ」
あの日と同じ。
またあいつに泣かされる百合。
幼なじみのあいつを憎んでしまう。
:08/09/19 12:16
:PC
:./.2cs2Y
#369 [我輩は匿名である]
「やーっと理由わかった。悩んでたんだな、あいつの事で」
「未練はないの。なのに夢に出てくるなんて…自分が許せないよ。ミナトと美優にもどんな態度でいればいいのかわかんない」
:08/09/19 12:17
:PC
:./.2cs2Y
#370 [我輩は匿名である]
煙草を消して、テーブルの上に右の手のひらを開いて置いた。
「百合ちゃん」
百合は俺の手に自分の右手を乗せた。
俺はギュッと握ってやる。
:08/09/19 12:17
:PC
:./.2cs2Y
#371 [我輩は匿名である]
「いつもごめんね。家事と育児任せっきりで。きっと疲れてんだよ。俺は、百合があいつの夢を見たからって百合を責めたりしない。ちゃんと話してくれて嬉しいし」
本当は強がりなんだ。
責めたりなんかしないけど…本音としては腹が立ってた。
何であいつの夢なんか、って。
:08/09/19 12:18
:PC
:./.2cs2Y
#372 [我輩は匿名である]
「会いたいなら、会いなよ。俺は大丈夫だから。怒ったりしないもん。百合も…ヨースケのことも」
百合の手は小さくて冷たい。
その名前を出した途端、急に力強く俺の手を握り返して来た。
同時に大粒の涙が溢れ出した。
:08/09/19 12:18
:PC
:./.2cs2Y
#373 [我輩は匿名である]
「…会わないし、会う必要もない」
百合は首を横にふる。
「でもさ…」
「ミナトは優しすぎるよ。もっと叱っていいから、私のこと。嫁失格だって怒鳴っていいよ」
そんなこと、できるわけない。
百合を泣かせたくないし傷つけたくないんだから。
:08/09/19 12:18
:PC
:./.2cs2Y
#374 [我輩は匿名である]
俺も首を横にふる。
「最低な女だって叱りなよ。ミナトはいつも私に叱られてばかりじゃん。たまには…私の事叱ってよ…最低だよ私…」
もう限界だったと思う。
百合が壊れてきた。
「叱らないし叱りたくもない。もう今日は寝よう」
:08/09/19 12:19
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:./.2cs2Y
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