月の裏側
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#390 [我輩は匿名である]
いつも綺麗に結ってもらっている髪の毛も今日は降ろしたまま。

美優の髪も結ったことがないんだ。

「ぱぱ、おなかすいたー」

「パパも。コンビニでパン買おうね」

「まま、あさごはん、つくってくれなかったのぉ?」

「うん。時間がなかったんだって」

「ふーん」

⏰:08/09/22 18:35 📱:PC 🆔:NBujLwf2


#391 [我輩は匿名である]
美優は、車の中で遊ぶ人形を取ってくると言い、子供部屋に走っていった。

その間、俺は懐かしい人に電話をかけた。

「…はーい」

「ごめん、寝てた?」

「夜勤明けで今から寝るとこー。どしたの、こんな時間に」

「ごめんな。あのさ…百合行ってない?」

⏰:08/09/22 18:36 📱:PC 🆔:NBujLwf2


#392 [我輩は匿名である]
夜勤明けだと言ってるのに、百合がいるわけない。

だけど、百合が家事や育児でわからないことがあると1番に駆け寄っていたのがこいつ、真子だった。

「来てないけど…何かあったの?」

真子の声色が変わった。

「いなくなったんだ。百合から何か相談とかされてなかった?」

「うそ…何も聞いてないけど。喧嘩でもした?」

⏰:08/09/22 18:43 📱:PC 🆔:NBujLwf2


#393 [我輩は匿名である]
「いや、喧嘩じゃなくて。百合、ヨースケのことで悩んでたみたいだから」

「ヨースケって…なんでそんな懐かしい名前出てくるわけ?」

「知るか!俺だって知りてーよ!どこ行ったんだよ、百合…」

苛立ちから真子を責めてしまった

真子に怒鳴ったって百合が見つかるってわけじゃねーのに。

⏰:08/09/22 18:44 📱:PC 🆔:NBujLwf2


#394 [我輩は匿名である]
「とにかく落ち着きな。美優は?」

「家にいる。一人で出てったんだ」

「もしかしたらフラっと買い物から帰ってく‥」

「んなわけねーだろ!こんな時間に。メールだって来たんだよ。心配するな、ごめん…って。何だよコレ!意味わかんねーし」

溜め息が零れる

⏰:08/09/22 18:45 📱:PC 🆔:NBujLwf2


#395 [我輩は匿名である]
俺とは違い、真子は冷静だった

「実家に連絡は?」

「…まだ」

「じゃあ実家かもしんない。実家じゃなかったら…ヨースケのとこ」

真子の遠慮しがちな最後の言葉を聞いて、頭が痛くなった。

「とりあえず探してみる。悪かったな、寝てるのに」

「ううん…ミナト、大丈夫?」

「もう崩壊寸前」

⏰:08/09/22 18:46 📱:PC 🆔:NBujLwf2


#396 [我輩は匿名である]
「がんばりな。ミナトには美優がいるんだから。逃げ出しちゃだめだよ」

「あぁ…」

「なんかあったらすぐ電話して。私も行くから」

「わかった。じゃあ」

電話を切って、後ろを振り向くと、怯えた顔の美優がいた。

⏰:08/09/22 18:46 📱:PC 🆔:NBujLwf2


#397 [我輩は匿名である]
「美優、支度できた?」

「ぱぱ、こわいよ」

「え?」

「なにおこってんの?」

「別に何も」

真子に怒鳴ってしまった時、きっと美優は聞いていたんだ。

普段の俺は、美優に怒鳴ったこともなければ大声を出すこともない。

⏰:08/09/22 18:47 📱:PC 🆔:NBujLwf2


#398 [我輩は匿名である]
だからさっきの俺が別人のように怖かったのだろう。

「美優、ごめん。びっくりしちゃったな」

しゃがんで美優に目線の高さに合わせた

「みゆにも、おっきなこえ、だすの?」

「出さないよ。美優にもママにも出さない。ごめんね」

「ほんと?」

「ほんと。もう支度できた?行ける?」

「うん」

「じゃあ行こっか」

⏰:08/09/22 18:47 📱:PC 🆔:NBujLwf2


#399 [我輩は匿名である]
美優にも許してもらい、俺らは家を出た。

コンビニでパンとジュースを買い、簡単な朝ご飯を済ませた。

車内は陽気な子供のうた。

美優は楽しそうに歌っている。

向かうはヨースケの家。

何も連絡を入れなかった。

⏰:08/09/22 18:48 📱:PC 🆔:NBujLwf2


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