月の裏側
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#200 [我輩は匿名である]
「あんた男を本気で好きになった事ないだろ」

「あるわけないじゃん!男なんてヤルだけしか考えてないのに、好きになるだけ無駄!」

「無駄?」

「うん。ヤリたいときにヤレる相手がいればいいよ。友達の話聞いてる限りじゃ彼氏なんかウザいしダルい」

⏰:08/08/18 14:38 📱:PC 🆔:F35161xY


#201 [我輩は匿名である]
「ふーん。ロクな友達いないんだな」

「え?」

「ダルさだって幸せになんだよ、本気で好きになった恋人っつーのは」

「…」

女は驚いた顔をしていた

「あんた何歳?」

「15」

「高1?」

「ううん、中3」

⏰:08/08/18 14:39 📱:PC 🆔:F35161xY


#202 [我輩は匿名である]
最近のガキはマセてんなー。

デレデレになってる野郎達と、このチビ女の友達が楽しそうに会話してるのを見ながら、俺は腰を降ろしてタバコを吸った

チビ女も俺の隣にチョコンと座る

「俺もあんたぐらいの時は女なんてヤルだけの生き物だと思ってたよー」

「…」

女は黙って俺に耳を傾ける

⏰:08/08/18 14:40 📱:PC 🆔:F35161xY


#203 [我輩は匿名である]
「付き合うって何?って感じで…毎日違う女と寝た」

俺は続けた

「高校入って3年なるまで女にダラしなかったけど、半年前に美人なクラスメイトと付き合ったの」

「今の彼女?」

「そ。最近はヤリモクだったけど…あ、ヤリ目的って事ね?」

「わかってるよ」

女は笑った

まだまだ幼い笑顔だ

⏰:08/08/18 14:41 📱:PC 🆔:F35161xY


#204 [我輩は匿名である]
「うん、ヤリモクだったのよ。でもねー彼女が当時好きだった男と破局して、衝撃受けたの」

「どんな?」

「興味ある?」

「ある」

なんだ。

口では偉そうなこと言っといて、本当は迷い子なんじゃん。

こんな真剣に食いつくなんてさ、こいつも過去に色々あったんだろうな。

⏰:08/08/18 14:41 📱:PC 🆔:F35161xY


#205 [我輩は匿名である]
「失恋で落ち込んでたから慰めたかったけど、恋愛したことない俺に心配されたくない!とか図星つかれてさ。まぁ軽くショックだよな」

「で?」

「恋愛って人をこんなに変わらせるんだなーって衝撃受けちゃって。普段すっげー強気の彼女が泣いてるからさ」

「へー」

⏰:08/08/18 14:42 📱:PC 🆔:F35161xY


#206 [我輩は匿名である]
「その時から他の女には感じないもん感じ始めて、何日か後にキスしちゃったんだよ。元カレでうじうじしてる彼女見てるとヤリモクなんかじゃなくて、救ってやりてーなって…」

短くなったタバコを地面で消した。

⏰:08/08/18 14:43 📱:PC 🆔:F35161xY


#207 [我輩は匿名である]
「彼女は、これ以上優しくするな、とか言うし…でも優しくせずにいられないっつーか。恋なんてした事ないから、どうすればいいかわかんなくてテンパってさぁ」

「結局どうなったの?」

「ヤリチンだったから信用されないかもだけど、俺は彼女が好きだって事頑張って伝えたの。あれ?んー…今考えると、ちゃんと伝わってたのかな?あれ」

⏰:08/08/18 14:45 📱:PC 🆔:F35161xY


#208 [我輩は匿名である]
「彼女になったんだから伝わったんじゃない?」

「だよな」

「あんたの話聞いたけど、やっぱよくわかんない。恋人必要?」

「必要。恋愛してよかったって思うもん」

「どうすれば恋愛できる?」

「んー、自分に素直になることじゃねぇの?俺もよくわかんねーわ。恋愛なんて、よし!するぞ!って思ってするようなもんじゃないから。自然と好きになるもんだよ」

⏰:08/08/18 14:46 📱:PC 🆔:F35161xY


#209 [我輩は匿名である]
「自然とねぇ…。好きってどんな感じ?胸苦しい?」

「苦しいよー。雷に打たれたみたいにビリビリドキドキ〜みたいな」

俺が笑うと女も笑った

「雷かぁ」

あぁ、こいつ好きな奴いるのかも。って思った

「好きなら強がってないで素直になれよ。こんな風に逆ナンとかしてねーで、更正しろ」

⏰:08/08/18 14:47 📱:PC 🆔:F35161xY


#210 [我輩は匿名である]
「そう…だね」

「恋愛や恋人なんてウザくてダルい方が楽しめる。山あり谷ありでないと人生もつまんねーだろ」

「…うん」

⏰:08/08/18 14:47 📱:PC 🆔:F35161xY


#211 [我輩は匿名である]
「好きな人がいるから逆ナンとかしない!っつって離れていくような友達なら、必要ないよ」

俺は女の友達たちをアゴでさした

女はコクッと頷いた。

⏰:08/08/18 14:47 📱:PC 🆔:F35161xY


#212 [我輩は匿名である]
「お前なら変われる。恋愛できる。だから頑張れよ、な?」

「うん。あんたの話、聞けてよかった」

「そ?」

「こんな話聞かせてくれる人、今までいなかったもん」

「俺もいなかったけど今の彼女に学んだのー」

「ありがとね。あんたに会えてよかった」

「授業料10万円なりー」

「バーカ」

⏰:08/08/18 14:48 📱:PC 🆔:F35161xY


#213 [我輩は匿名である]
まさか俺が、他人にこんな話を聞かせる事ができるなんて思ってなかった。

やっぱすげーわ。

恋も、愛も、百合も。

女は笑って帰ってった。

名前も知らないチビな中3。

周りに合わせて大人ぶって、恋愛感情に嘘ついて…なんでこういう子が増えてくんだろ。

⏰:08/08/18 14:49 📱:PC 🆔:F35161xY


#214 [我輩は匿名である]
俺は…きっと寂しがりだから、人一倍。

いつも家には誰もいなくて、両親にも兄弟にも…あまり甘えた記憶がない。

そんな寂しさをSEXで埋める事しか知らなかった俺は無知で愚かだ。

百合に出会えて本当によかった。

SEXの意味もわかったんだ。

恋ってすげーな、まじで。

⏰:08/08/18 14:50 📱:PC 🆔:F35161xY


#215 [みんみ]
共感というか、胸が苦しくなりました。
好きな人に好きって伝える勇気はどうやって学ぶんでしょうね…(笑)

23歳大学生です、今すごく悩んでいます…。

⏰:08/08/18 22:19 📱:SH904i 🆔:mhpNGmzU


#216 [我輩は匿名である]
悩んでんなら恋愛板で相談すれば?イタチでしょw

⏰:08/08/19 07:44 📱:N903i 🆔:D.ourndw


#217 [我輩は匿名である]
〜〜〜〜〜〜〜
みんみさん

勇気ですかぁ…?
私はどんどん伝えていくタイプなので
どんなアドバイスをすればいいのか答えかねますが…

周りの友達の実体験話や恋愛ソングなどで勇気付けられたって人も少なくないはずです。

でも、恋愛方法は十人十色なので自分のペースでしてもらいたいですけどね。

素敵な恋愛してください。

〜〜〜〜〜〜〜

⏰:08/08/19 15:08 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#218 [我輩は匿名である]
・・・

「おめでとっ」

「ありがとー。お祝いのチューして」

「それは嫌だけど、でもおめでとう」

俺も大学が決まった。

百合と同じところには行けないけど地元から通える場所。

近いっちゃあ、近いかな。

でも会えなくなる時間が増えるだろう。

けど、俺らはきっと大丈夫。

⏰:08/08/19 15:11 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#219 [我輩は匿名である]
「なんで?百合最近チューしてくんねぇよな」

「そうかな?」

「まさか…浮気!?」

「あんたみたいな手がかかる彼氏がいるのに浮気する暇なんかないっつーの」

「じゃあ何でさー」

「車の中なんかでできるわけないでしょ!前見て運転してよ、若葉野郎!」

⏰:08/08/19 15:11 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#220 [我輩は匿名である]
免許を取った俺。

ドライブデートしほうだい。

車内キスって憧れなのに…百合は全く同意してくれない。

やっぱ野外だから?

でも一応二人っきりだし。

⏰:08/08/19 15:12 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#221 [我輩は匿名である]
百合は外に出ると強気な女になる。

でも家では甘えん坊。

見事なツンデレ。

まじ可愛いんだよ、これが。

⏰:08/08/19 15:12 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#222 [我輩は匿名である]
服買ったり映画見に行ったり。

手は繋ぐけど絶対イチャついてくれないとこが、またイイんだよ。

家に帰る楽しみができんじゃん?

早く家につきたくて俺はアクセルを強く踏んだ。

⏰:08/08/19 15:13 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#223 [我輩は匿名である]
夕日を眩しそうな目で睨む百合。

あーぁ、なんでこんな美人な訳?

我慢できなくなりそ。

ラブホ入ろっかなー

「今日はミナトん家にしよっか」

小さく笑ってタイミングよく百合が言った。

「了解」

俺の心読んでたみたいにナイスタイミング。

ラブホの誘惑を我慢して自分の家に急いだ

⏰:08/08/19 15:14 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#224 [我輩は匿名である]
「…ッ」

「…百合」

部屋に入ると同時に、むせ返るようなキスをした。

百合を壁に押さえ付け、俺の右手は柔らかく細々しいお腹を撫でる。

百合の左手がそれを止めてくる。

俺は構わず服の裾から手を侵入させた。

⏰:08/08/19 15:14 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#225 [我輩は匿名である]
「…ンッ…ちょっとミナト」

百合から離れた唇。

「何?」

俺の右手は百合の両手で制御された。

左手があるけど…嫌がる姿も可愛いから、今日は意地悪しない。

⏰:08/08/19 15:15 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#226 [我輩は匿名である]
「焦りすぎだよ」

照れてる百合の手に、指を絡めた。

「したくない?」

「そうじゃないけど…」

あぁ、ムードが大事ってやつですか。

俺はムードよりも早く百合の可愛い姿が見たくて仕方ないですよ。

⏰:08/08/19 15:15 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#227 [我輩は匿名である]
「ごめん、ビックリさせちゃったね〜」

俺は百合の頭を撫でて、ベットにもたれた。

「私こそごめん」

謝るなよ、俺が抑制できなかったのが原因なのに。

百合が好きだから焦りすぎたけど、百合が好きだから我慢できる。

⏰:08/08/19 15:16 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#228 [我輩は匿名である]
テレビをつけながら、ベットの上でひたすら話をした。

笑える話、驚く話、怖い話…他愛もない会話が心地いい。

ふと窓から空を見上げた。

⏰:08/08/19 15:16 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#229 [我輩は匿名である]
「うぉっ!」

「どうしたの?」

窓の外を見て小さな叫びを発した俺に、百合の疑問の声が掛かる。

「百合も見てみ」

「空?」

チョコンと俺の隣に座り、窓の外を覗く彼女。

⏰:08/08/19 15:17 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#230 [我輩は匿名である]
「綺麗…」

空一杯に神様がバラまいた星が輝く。

月は痩せていたが、とても美しい形だった。

「夜空なんて普段見ないから、たまに見ると感動するな」

⏰:08/08/19 15:17 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#231 [我輩は匿名である]
今日、こうやって綺麗な夜空を発見できたのは、ただの偶然。

百合の顔を見つめすぎた俺の目を休めるために、たまたま空を見上げたんだ。

百合、空。

どっちも綺麗。

やべ。

ノロけすぎかな?

⏰:08/08/19 15:18 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#232 [我輩は匿名である]
「ミナトぉ〜」

「はぁい〜」

百合のゆっくりとした口調を真似して返事をすると、“マネしないで”と笑った。

窓越しに空を見上げたまま百合は言った。

⏰:08/08/19 15:18 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#233 [我輩は匿名である]
「この星たち、今キラキラ輝いてんじゃん?」

「うん」

「綺麗に光ってるよね?」

「そうだね」

「でもこの光は今、現在の光じゃないんだって」

百合の言ってる意味がわからなかった。

⏰:08/08/19 15:19 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#234 [我輩は匿名である]
頭の上にハテナマークが浮かんでいたのだろうか。

百合は笑った。

「地球と星って、超離れてんだって。だから光が届くのに何年も時間がかかるの」

「…んん」

生ぬるい返事。

百合は続けた。

⏰:08/08/19 15:20 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#235 [我輩は匿名である]
「この世界で1番速いのは光なの。だけどその光でさえ地球に届くまでに何年もかかるって事は…言ってる意味わかる?」

「地球と星はすんげぇ遠いって事?」

「正解」

テストで100点取るより、百合に“正解”と言われる事のほうが俺には幸せ。

⏰:08/08/19 15:20 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#236 [我輩は匿名である]
「確か、この今ひかってる光は1億年前の光」

「マジで?」

「1億年前に光った光が、今こうして私たちが見てるって、なんか凄いよね」

「ロマンチックぅ〜」

俺は百合に少し近づいた。

⏰:08/08/19 15:21 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#237 [我輩は匿名である]
「星と星同士も、すごく離れてるんだよ。こうやって見る限りじゃ、すっごく近くに見えるのにね」

「じゃあ俺たちがこうやって近くにいるのは星からすると羨ましい事なんだな」

俺は百合の肩を抱いた。

⏰:08/08/19 15:21 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#238 [我輩は匿名である]
「こういう時だけ調子いいんだから。変態」

百合は笑いながら俺の肩にもたれてきた。

「他になんか知らないの?」

「んー…じゃあ月の話ね」

「ネタ豊富だね百合ちゃん。なんでそんな知ってんの?」

⏰:08/08/19 15:22 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#239 [我輩は匿名である]
百合は澄ました声で言った。

「頭いいから」

ごもっとも。

どうして俺みたいな馬鹿の彼女なんだろう、と時々申し訳なく思う事もある。

それくらい俺らの知識の差は激しい。

⏰:08/08/19 15:22 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#240 [我輩は匿名である]
「月はね絶対裏側を見せないの」

「裏側?」

「地球が自転するから…ってミナトにはこの説明難しすぎるか」

「ジテンって何?自転車ならわかるけど」

ボケではなく、本気。

理科は特に嫌い。

⏰:08/08/19 15:23 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#241 [我輩は匿名である]
「ばか。えっとね、地球と月の回転の関係で…って、私もこの話詳しく知らないかも」

自分が言い出した話を結局は“詳しく知らない”だって。

こういう天然バカなところがある百合。

かっわい。

「えー。そりゃないっすよ松本さ〜ん」

「ごめんごめん。とにかく月の裏側は絶対に見れないの」

⏰:08/08/19 15:24 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#242 [我輩は匿名である]
「月の裏側ねぇ…じゃあ見るにはどうすればいいの?」

「宇宙飛行士になって見に行くしかないんじゃないの?」

「もしくは宇宙戦艦ヤマトに頼むかだな」

「面白くない」

ちょっとボケただけで百合の完全な潰しが俺をへこます。

ボケとツッコミ。

なかなか相性いいんだよ、俺ら。

⏰:08/08/19 15:25 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#243 [我輩は匿名である]
「私、ミナトだけだよ」

百合は言った。

「何?」

「私の裏側見せてるの、ミナトだけ」

「あぁ〜、甘えん坊なところとか?」

「そうだよ。ミナトだけ。ミナトがいないと無理」

⏰:08/08/19 15:25 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#244 [我輩は匿名である]
急に甘えてきた百合を抱きしめる力が強くなった俺。

「こんなに自分らしく居られる相手、今までいなかったもん。ミナトが初めてだよ」

「あら、そんな嬉しい事言ってくれるの?なら俺も言うよ」

「なぁに」

⏰:08/08/19 15:26 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#245 [我輩は匿名である]
「俺も百合ちゃんだけ。百合ちゃんが初めて。恋愛がこんな楽しいなんて知らなかったよー」

「あら、嬉しい事言ってくれるのね」

二人は笑った。

「百合」

そのまま唇を交わしながらベットに寝転がった。

⏰:08/08/19 15:26 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#246 [我輩は匿名である]
手を伸ばし、電気とテレビを消す。

月と星が俺らを覗く。

一人ぼっちで寂しい星たちを嫉妬さすかのように、俺らは重なり合った。

「ミ…ナト…ンンッ…」

百合の声は俺を狂わす。

「百合…ッ…」

「アァッ…ン…」

俺の声も百合を狂わすようだ。

⏰:08/08/19 15:27 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#247 [我輩は匿名である]
頑張って

⏰:08/08/23 14:56 📱:SH704i 🆔:☆☆☆


#248 [我輩は匿名である]
ありがとうございます
更新遅れてすみません。
少しだけですが書きます

⏰:08/08/24 09:41 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#249 [我輩は匿名である]
・・・

大学生になった。

季節も変わった。

あれだけ寒かったのが嘘のように街中、熱気に包まれている。

「中畑」

「ん?」

「今日飲み行かない?」

タツヤの笑顔はもう居酒屋にいるような輝き。

⏰:08/08/24 09:42 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#250 [我輩は匿名である]
「ごめん、今日はパス」

「何、デート?」

マコトの顔が濁った。

「羨ましいか、負け犬め」

俺は勝ち誇った顔で笑ってやった。

⏰:08/08/24 09:42 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#251 [我輩は匿名である]
2人は大学に入ってできた友達。

こいつらは俺のことを苗字で呼ぶ。

なんだか慣れていないのでくすぐったい響き。

「うっぜー!」

彼女のいないこいつらはバイトのない日はほとんど飲んでいるらしい。

⏰:08/08/24 09:43 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#252 [我輩は匿名である]
誘われて、百合との約束がなかったら、たまに行くけど今日はダメ。

タツヤが言った。

「お前、中畑の彼女知ってる?」

マコトが答える。

「知らねぇ」

⏰:08/08/24 09:43 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#253 [我輩は匿名である]
「俺、こないだ見たんだけどさ…やべぇぞ?」

マコトの目が大きくなった。

「何?デブスとか?」

タツヤは嘲笑った。

笑ってんのも今のうち。

俺は携帯を取り出し、電池パックのフタに貼ってあるプリクラを掲げてやった。

⏰:08/08/24 09:44 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#254 [我輩は匿名である]
「すっげー美人だった」

マコトの声と俺が携帯を掲げたのが同じタイミングだったので、なんだかドラマみたいだった。

なかなかカッコイイ演出での彼女紹介。

タツヤの目が3倍に広がった。

⏰:08/08/24 09:44 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#255 [我輩は匿名である]
俺の携帯を手に取り、タツヤは言った。

「モデル?」

最高の褒め言葉をありがとう、タツヤくん。

「一般人だよ〜」

「嘘だ!どうやって騙したの、中畑!」

「別に〜。お互い惹かれ合って、今に至る」

⏰:08/08/24 09:45 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#256 [我輩は匿名である]
「プリクラも美人だけど、生のがもっと綺麗だぞ。オーラがあるもん、オーラが」

マコトは百合を絶賛してくれる。

彼氏として気分がいい。

「中畑、お前この子に金でも渡してんじゃねーの?」

とりあえずタツヤにデコピンをくらわせた。

⏰:08/08/24 09:45 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#257 [我輩は匿名である]
「彼女、大学生だっけ?」

「うん」

「合コン頼んでよ!」

「えぇ〜」

あからさまに面倒な顔をする俺と対称的にタツヤは必死。

「頼む!今度おごるから」

「…まぁ百合に聞くだけ聞いといてやるよ」

⏰:08/08/24 09:46 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#258 [我輩は匿名である]
おごりなんかに釣られた訳じゃないけど、タツヤの必死さに同情してしまった。

こいつは最後のSEXが高1の時。

もう3年もあの快楽を味わってないと嘆いていた。

さすがに可哀相だもんな。

忘れてなかったら百合に聞いておいてやろう。

⏰:08/08/24 09:46 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#259 [我輩は匿名である]
「中畑さぁ」

マコトが言った。

「ん?」

「マンネリとかない?」

「あー…今んとこ無いね」

「そっか。俺さ、マンネリで別れる事多くて。マコトなんてつまんない!みたいな」

マコトは困った顔をして笑った。

⏰:08/08/24 09:46 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#260 [我輩は匿名である]
「マジかぁ。マンネリって…刺激が足りないっつー事だろ?」

「まぁ、そうだよな。平凡で単調な付き合いにウンザリされるんだ」

「俺らも平凡で単調だぞ。気の持ちようじゃない?俺は百合といるのは、どんな時でも新鮮だし緊張するよ」

⏰:08/08/24 09:47 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#261 [我輩は匿名である]
「中畑って見掛けによらず純粋な奴だな!」

「そうなんだよー。俺、恋する少年だから」

「うっざい!中畑うっざい」

タツヤが嘆いた。

マコトの悩み、わからなくもないけど、俺と百合には今のところその問題はない。

⏰:08/08/24 09:47 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#262 [我輩は匿名である]
でも…今は“今”だよな。

気の持ちようだなんて、生意気言ってさ。

未来の事なんてわかんねぇのに。

浮ついてると痛い目に遭う事だって、わかってるはずだったのに。

⏰:08/08/24 09:48 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#263 [我輩は匿名である]
・・・

大学に入って初めての夏休み。

付き合って1年が経った。

俺と百合はたくさんデートした。

たくさん笑ったし、たくさん愛を知った。

夏休みが終わり、秋が過ぎて、冬がやってくる。

事件が起こったのは12月の半ばだった。

⏰:08/08/29 13:27 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#264 [我輩は匿名である]
俺の部屋のベットに潜り、百合とのんびりとテレビを見て過ごしていた時だった。

「もうすぐ冬休みだね〜」

「私、旅行行きたいかも」

「あぁ、いいね。どこ行きたい?」

⏰:08/08/29 13:28 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#265 [我輩は匿名である]
「ボードとかしたいな」

「いいね。俺、中学の時やった以来だな」

「私やった事ない。教えてくれる?」

「受講料払ってくれんならいいよ〜」

「ケチ!いいもん、妻夫木似のインストラクター探すよーだ」

⏰:08/08/29 13:28 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#266 [我輩は匿名である]
「…ここにいるじゃん!妻夫木に激似のイケメン」

「鏡見たことあんの?似てないよー、バカ」

「うるせー」

「仕方ないなぁ。偽妻夫木で我慢するかぁ」

「じゃあ受講料前払いね」

そう言って百合の上に被さり、キスをした。

⏰:08/08/29 13:30 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#267 [我輩は匿名である]
いつもこうやって、ふざけた話しして、笑って、我慢できなくなって、ヤッちゃうんだよな。

百合は嫌がらず、キスに答えてくれた。

今日はいける。

この前は女の子の日だから断られた。

だから溜まってるんっすよ?

手加減できないですよー。

⏰:08/08/29 13:31 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#268 [我輩は匿名である]
見た事のある下着が俺の目に映る。

何度見ても緊張する。

そんな下着も簡単に床に落とされ、俺は胸に舌を這わす。

「…アッ」

甘い声が零れたところでパンツに手を伸ばした。


と、その時だった。

⏰:08/08/29 13:31 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#269 [我輩は匿名である]
♪♪♪〜


しまったーーー。

マナーにするの忘れてた。

「…ミナト、電話?」

「いいよ、ほっといて」

「あ、浮気相手?出ない所が尚更怪しいぞ〜」

百合は笑った。

浮気?

んなフザケタ事、俺がするわけないって、わかっててからかってくる。

可愛く憎い奴。

⏰:08/08/29 13:32 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#270 [我輩は匿名である]
「出ていいよ〜。大事な用かもしんないじゃん」

「…百合とのエッチしか大事だもん」

「変な事言ってないで早く出て」

俺はテーブルに手を伸ばし、携帯を手に取った。


未来の俺がそこにいたら、俺は携帯電話を壊してただろう。

電話に出れないように。

⏰:08/08/29 13:32 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#271 [我輩は匿名である]
画面には幼なじみの名前がいじらしく表示されていた。

「はい」

「あれ、怒ってる?」

「別に。何か用?」

「今ミナトんちの前にいんだけど、貸してたCD取りに来た」

「CD?…あぁ!まだ返してなかったっけ」

「おぉ。彼女が聞きたいらしいから返してくれー」

⏰:08/08/31 11:25 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#272 [我輩は匿名である]
「あー、はいはい。玄関持ってくから、ちょっと待って」

「早くして、寒いから」

そう言ってヨースケから一方的に電話が切れた

「どうしたの?」

百合は上半身を布団で隠しながら俺に問い掛けた。

⏰:08/08/31 11:26 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#273 [我輩は匿名である]
「幼なじみが家の前にいるって。貸してたCD取りに来たって」

「今?」

「ん、そう。ちょっと渡してくるわ。ごめん、待ってて」

CDを手に取り、百合に軽くキスをしてから玄関に向かった。

⏰:08/08/31 11:26 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#274 [我輩は匿名である]
ドアを開けると寒そうに震えていたヨースケがいた。

「遅ぇよ、バカ」

玄関の中に飛び込んできたヨースケは俺の頭を殴った。

「あー悪い悪い。わざわざ取りに来てもらって」

「ったくよー。まぁ俺も貸してた事忘れてたけどな。彼女に貸してって言われるまで」

⏰:08/08/31 11:27 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#275 [我輩は匿名である]
CDは俺の手から持ち主の手へと軽々しく移動した。

「あれ、彼女?」

ヨースケは玄関で行儀よく並んでたブーツを見て言った。

「うん」

「もしかして邪魔した?」

「うん」

嫌味たっぷりの返事。

ヨースケはスマンと言って笑っている。

⏰:08/08/31 11:27 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#276 [我輩は匿名である]
「なんか不思議だよな。ミナトが彼女なんてさー」

「もう1年半だぞ、すげーだろ」

「マジで?俺この1年で何回彼女変わったかな」

ヨウスケは他県の大学に通っている。

滅多に会えないけど良い幼なじみだ

⏰:08/08/31 11:28 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#277 [我輩は匿名である]
「ヨーちゃん最低〜」

「よく言うよ。ヤリチンのくせに」

「卒業したよ、今の彼女が俺の救世主様だわ」

「へぇ。今度彼女に会わせてよ」

「はいはい、そのうちな」

「そういえば名前は?美人ちゃんっていつも言ってたから名前知らないや」

⏰:08/08/31 11:28 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#278 [我輩は匿名である]
「あぁ、そうだっけ?」

「うん」

「百合ちゃんって言うの。心に刻んどけ、俺の女神の名前」

「…百合。ふーん。まぁ忘れなうなら覚えといてやるよ」

「何だそれ」

ヨースケはクルッと体を回転させて玄関のドアに手をやった。

⏰:08/08/31 11:29 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#279 [我輩は匿名である]
「じゃあまたな」

「ほーい」

別れはいつもアッサリしている俺ら。

ヨースケが玄関から出て行ったと同時に、俺の足は自分の部屋へと向かった。

⏰:08/08/31 11:29 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#280 [我輩は匿名である]
「お待たせ!」

お待たせのキスを長く長く交わした。

そのままさっきの続き。

焦らされた分、熱く優しいSEXだった。

⏰:08/09/02 11:12 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#281 [我輩は匿名である]
互いの欲望が満たされた後、下着だけ付けた俺らは布団の中で温もりあった。

肌にサラサラしたシーツが触れる。

体を寄り添わせればスベスベとした百合の肌に触れる。

こんなに安らげる時間、他にはない。

⏰:08/09/02 11:12 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#282 [我輩は匿名である]
ガチャ

いきなり部屋のドアが開いて、心臓が飛び上がった。

とっさに俺の右手は、百合を布団の中に隠すという行動を取った。

百合も俺と同じ行動をしようとしたらしく、素直に布団に潜ってくれた。

⏰:08/09/02 11:13 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#283 [我輩は匿名である]
安らげる時間、終了。

「ミナトてっめー!中身入ってねぇじゃ…ん…か…」

ヨースケだ。

ベットから出る俺の裸の上半身。

その隣に顔と体が布団に潜り込み、サラサラとした髪だけが見えている女。

⏰:08/09/02 11:14 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#284 [我輩は匿名である]
状況を飲み込んだヨースケの声は徐々に小さくなった。

「ノックぐらいしろよ」

「マジ悪い!」

ヨースケは慌ててドアを閉めて外に出た。

「百合ちゃんごめん。ちょっと待ってて」

「…うん」

⏰:08/09/02 11:15 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#285 [我輩は匿名である]
布団の中から小さく返事をした百合。

俺はベットから出てズボンだけ履くと、ヨースケが待つ廊下に出た。

「ふざけんじゃねーぞ、こんにゃろう」

「本当ごめん」

そう言うヨースケは半笑い。

⏰:08/09/02 11:15 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#286 [我輩は匿名である]
「さっきみたいに用があんなら電話しろよ」

「めんどくさくてさ。部屋にいるのわかってるし、それに、まだヤッてるなんて思わなかったから〜」

半笑いからマジ笑い。

反省してねーな

「ヤッてねぇ。寝てただけ。で、何だって?」

⏰:08/09/02 11:16 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#287 [我輩は匿名である]
「あぁ、お前CDケースだけ返されても困るんだけど」

「は?」

「中身、入ってねーよ」

さっき返したCDケースはカラッポだった。

「あぁ、悪い。デッキの中入ってんのかも」

⏰:08/09/02 11:16 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#288 [我輩は匿名である]
そう言ってヨースケには廊下で待っててもらい、俺は部屋の中に戻った。

「ごめんね、百合ちゃん」

「…ううん」

「CDの中身返すの忘れちゃってさぁ」

「…ねぇ」

「ん?」

「幼なじみの名前は?」

「え?ヨースケだけど?」

⏰:08/09/02 11:17 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#289 [我輩は匿名である]
デッキの中を探す俺の後ろで百合が動く音がした。

そして次の瞬間にはドアの開く音と、百合の声が俺の耳に流れ込んだ。

俺は慌てて振り返る。

そこには上下とも下着姿の百合が、廊下で待つヨースケに強い視線を送っていた。

⏰:08/09/02 11:17 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#290 [我輩は匿名である]
俺は慌てて自分の上着を手にとって、百合の身体を隠した。

「ちょっ…百合?」

驚いたのは俺だけじゃない。

「…百合」

ヨースケもだった。

⏰:08/09/02 11:18 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#291 [我輩は匿名である]
百合がヨースケを睨み、ヨースケが百合を見て驚いている。

この状況を理解するには俺の頭の回転が遅いせいで、なかなか大変だった。

「久しぶりだね、ヨースケ」

「百合って…百合だったの」

「気付かなかった?私は、さっき声でわかったよ。ミナトの幼なじみだって言うから家も近いんでしょ?ヨースケの家、この近くだったよね」

⏰:08/09/02 11:19 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#292 [我輩は匿名である]
「百合?ヨースケと知り合いなの?」

百合とヨースケを交互に見る。

百合はただただヨースケを睨むだけ。

ヨースケは苦笑いしながら俺に言った。

「俺ら…付き合ってた」

⏰:08/09/02 11:19 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#293 [我輩は匿名である]
あげーっ

⏰:08/09/02 14:14 📱:W61SH 🆔:om3kkfbo


#294 [オ]
あげe
続きが楽しみ!!

⏰:08/09/02 16:24 📱:W43H 🆔:/WFtNaGI


#295 [我輩は匿名である]
あげ、ありがとうございます!
更新遅くてすみません。

⏰:08/09/05 13:53 📱:PC 🆔:CbnYZWUc


#296 [我輩は匿名である]
脳みそをハンマーで殴られた気分。

「…嘘」

唖然とする俺。

ショックというより驚きの方がデカかった

⏰:08/09/05 13:53 📱:PC 🆔:CbnYZWUc


#297 [我輩は匿名である]
「ヨースケ」

百合が小さな声で名前を呼んだ

「…ん?」

すると細々しい百合の右手がヨースケの左頬にかみついた。

肌と肌のぶつかる音が響く。

⏰:08/09/05 13:54 📱:PC 🆔:CbnYZWUc


#298 [我輩は匿名である]
勢い余って、百合の身体を隠していた俺の上着は、百合の肩から力無く落ちていった。

「ヨースケと別れて正解だった。あんたのせいで目が腫れるまで泣いたのに、結局は遊ばれて捨てられた。だから1度殴りたかったの。本当はもっと殴ってやりたいけどミナトの幼なじみだって言うからこれでチャラにしてあげる」

俺もヨースケも呆気にとられるだけ

⏰:08/09/05 13:55 📱:PC 🆔:CbnYZWUc


#299 [我輩は匿名である]
「いい加減、女遊びやめたら?女を何だと思ってんの?バカにしないでよ…」

そう言った百合の目から、静かに涙が零れた。

「帰って」

百合は体の向きを変え、俺の部屋に戻った。

⏰:08/09/05 13:55 📱:PC 🆔:CbnYZWUc


#300 [我輩は匿名である]
「ヨースケ」

「え?」

俺の左手がヨースケの右頬に軽く当たった。

「いって!」

「百合泣かしたバツ」

⏰:08/09/05 13:56 📱:PC 🆔:CbnYZWUc


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