月の裏側
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#227 [我輩は匿名である]
「ごめん、ビックリさせちゃったね〜」

俺は百合の頭を撫でて、ベットにもたれた。

「私こそごめん」

謝るなよ、俺が抑制できなかったのが原因なのに。

百合が好きだから焦りすぎたけど、百合が好きだから我慢できる。

⏰:08/08/19 15:16 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#228 [我輩は匿名である]
テレビをつけながら、ベットの上でひたすら話をした。

笑える話、驚く話、怖い話…他愛もない会話が心地いい。

ふと窓から空を見上げた。

⏰:08/08/19 15:16 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#229 [我輩は匿名である]
「うぉっ!」

「どうしたの?」

窓の外を見て小さな叫びを発した俺に、百合の疑問の声が掛かる。

「百合も見てみ」

「空?」

チョコンと俺の隣に座り、窓の外を覗く彼女。

⏰:08/08/19 15:17 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#230 [我輩は匿名である]
「綺麗…」

空一杯に神様がバラまいた星が輝く。

月は痩せていたが、とても美しい形だった。

「夜空なんて普段見ないから、たまに見ると感動するな」

⏰:08/08/19 15:17 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#231 [我輩は匿名である]
今日、こうやって綺麗な夜空を発見できたのは、ただの偶然。

百合の顔を見つめすぎた俺の目を休めるために、たまたま空を見上げたんだ。

百合、空。

どっちも綺麗。

やべ。

ノロけすぎかな?

⏰:08/08/19 15:18 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#232 [我輩は匿名である]
「ミナトぉ〜」

「はぁい〜」

百合のゆっくりとした口調を真似して返事をすると、“マネしないで”と笑った。

窓越しに空を見上げたまま百合は言った。

⏰:08/08/19 15:18 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#233 [我輩は匿名である]
「この星たち、今キラキラ輝いてんじゃん?」

「うん」

「綺麗に光ってるよね?」

「そうだね」

「でもこの光は今、現在の光じゃないんだって」

百合の言ってる意味がわからなかった。

⏰:08/08/19 15:19 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#234 [我輩は匿名である]
頭の上にハテナマークが浮かんでいたのだろうか。

百合は笑った。

「地球と星って、超離れてんだって。だから光が届くのに何年も時間がかかるの」

「…んん」

生ぬるい返事。

百合は続けた。

⏰:08/08/19 15:20 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#235 [我輩は匿名である]
「この世界で1番速いのは光なの。だけどその光でさえ地球に届くまでに何年もかかるって事は…言ってる意味わかる?」

「地球と星はすんげぇ遠いって事?」

「正解」

テストで100点取るより、百合に“正解”と言われる事のほうが俺には幸せ。

⏰:08/08/19 15:20 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


#236 [我輩は匿名である]
「確か、この今ひかってる光は1億年前の光」

「マジで?」

「1億年前に光った光が、今こうして私たちが見てるって、なんか凄いよね」

「ロマンチックぅ〜」

俺は百合に少し近づいた。

⏰:08/08/19 15:21 📱:PC 🆔:3lPcSpSs


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