月の裏側
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#251 [我輩は匿名である]
2人は大学に入ってできた友達。

こいつらは俺のことを苗字で呼ぶ。

なんだか慣れていないのでくすぐったい響き。

「うっぜー!」

彼女のいないこいつらはバイトのない日はほとんど飲んでいるらしい。

⏰:08/08/24 09:43 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#252 [我輩は匿名である]
誘われて、百合との約束がなかったら、たまに行くけど今日はダメ。

タツヤが言った。

「お前、中畑の彼女知ってる?」

マコトが答える。

「知らねぇ」

⏰:08/08/24 09:43 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#253 [我輩は匿名である]
「俺、こないだ見たんだけどさ…やべぇぞ?」

マコトの目が大きくなった。

「何?デブスとか?」

タツヤは嘲笑った。

笑ってんのも今のうち。

俺は携帯を取り出し、電池パックのフタに貼ってあるプリクラを掲げてやった。

⏰:08/08/24 09:44 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#254 [我輩は匿名である]
「すっげー美人だった」

マコトの声と俺が携帯を掲げたのが同じタイミングだったので、なんだかドラマみたいだった。

なかなかカッコイイ演出での彼女紹介。

タツヤの目が3倍に広がった。

⏰:08/08/24 09:44 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#255 [我輩は匿名である]
俺の携帯を手に取り、タツヤは言った。

「モデル?」

最高の褒め言葉をありがとう、タツヤくん。

「一般人だよ〜」

「嘘だ!どうやって騙したの、中畑!」

「別に〜。お互い惹かれ合って、今に至る」

⏰:08/08/24 09:45 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#256 [我輩は匿名である]
「プリクラも美人だけど、生のがもっと綺麗だぞ。オーラがあるもん、オーラが」

マコトは百合を絶賛してくれる。

彼氏として気分がいい。

「中畑、お前この子に金でも渡してんじゃねーの?」

とりあえずタツヤにデコピンをくらわせた。

⏰:08/08/24 09:45 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#257 [我輩は匿名である]
「彼女、大学生だっけ?」

「うん」

「合コン頼んでよ!」

「えぇ〜」

あからさまに面倒な顔をする俺と対称的にタツヤは必死。

「頼む!今度おごるから」

「…まぁ百合に聞くだけ聞いといてやるよ」

⏰:08/08/24 09:46 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#258 [我輩は匿名である]
おごりなんかに釣られた訳じゃないけど、タツヤの必死さに同情してしまった。

こいつは最後のSEXが高1の時。

もう3年もあの快楽を味わってないと嘆いていた。

さすがに可哀相だもんな。

忘れてなかったら百合に聞いておいてやろう。

⏰:08/08/24 09:46 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#259 [我輩は匿名である]
「中畑さぁ」

マコトが言った。

「ん?」

「マンネリとかない?」

「あー…今んとこ無いね」

「そっか。俺さ、マンネリで別れる事多くて。マコトなんてつまんない!みたいな」

マコトは困った顔をして笑った。

⏰:08/08/24 09:46 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#260 [我輩は匿名である]
「マジかぁ。マンネリって…刺激が足りないっつー事だろ?」

「まぁ、そうだよな。平凡で単調な付き合いにウンザリされるんだ」

「俺らも平凡で単調だぞ。気の持ちようじゃない?俺は百合といるのは、どんな時でも新鮮だし緊張するよ」

⏰:08/08/24 09:47 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#261 [我輩は匿名である]
「中畑って見掛けによらず純粋な奴だな!」

「そうなんだよー。俺、恋する少年だから」

「うっざい!中畑うっざい」

タツヤが嘆いた。

マコトの悩み、わからなくもないけど、俺と百合には今のところその問題はない。

⏰:08/08/24 09:47 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#262 [我輩は匿名である]
でも…今は“今”だよな。

気の持ちようだなんて、生意気言ってさ。

未来の事なんてわかんねぇのに。

浮ついてると痛い目に遭う事だって、わかってるはずだったのに。

⏰:08/08/24 09:48 📱:PC 🆔:cvHihT3E


#263 [我輩は匿名である]
・・・

大学に入って初めての夏休み。

付き合って1年が経った。

俺と百合はたくさんデートした。

たくさん笑ったし、たくさん愛を知った。

夏休みが終わり、秋が過ぎて、冬がやってくる。

事件が起こったのは12月の半ばだった。

⏰:08/08/29 13:27 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#264 [我輩は匿名である]
俺の部屋のベットに潜り、百合とのんびりとテレビを見て過ごしていた時だった。

「もうすぐ冬休みだね〜」

「私、旅行行きたいかも」

「あぁ、いいね。どこ行きたい?」

⏰:08/08/29 13:28 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#265 [我輩は匿名である]
「ボードとかしたいな」

「いいね。俺、中学の時やった以来だな」

「私やった事ない。教えてくれる?」

「受講料払ってくれんならいいよ〜」

「ケチ!いいもん、妻夫木似のインストラクター探すよーだ」

⏰:08/08/29 13:28 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#266 [我輩は匿名である]
「…ここにいるじゃん!妻夫木に激似のイケメン」

「鏡見たことあんの?似てないよー、バカ」

「うるせー」

「仕方ないなぁ。偽妻夫木で我慢するかぁ」

「じゃあ受講料前払いね」

そう言って百合の上に被さり、キスをした。

⏰:08/08/29 13:30 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#267 [我輩は匿名である]
いつもこうやって、ふざけた話しして、笑って、我慢できなくなって、ヤッちゃうんだよな。

百合は嫌がらず、キスに答えてくれた。

今日はいける。

この前は女の子の日だから断られた。

だから溜まってるんっすよ?

手加減できないですよー。

⏰:08/08/29 13:31 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#268 [我輩は匿名である]
見た事のある下着が俺の目に映る。

何度見ても緊張する。

そんな下着も簡単に床に落とされ、俺は胸に舌を這わす。

「…アッ」

甘い声が零れたところでパンツに手を伸ばした。


と、その時だった。

⏰:08/08/29 13:31 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#269 [我輩は匿名である]
♪♪♪〜


しまったーーー。

マナーにするの忘れてた。

「…ミナト、電話?」

「いいよ、ほっといて」

「あ、浮気相手?出ない所が尚更怪しいぞ〜」

百合は笑った。

浮気?

んなフザケタ事、俺がするわけないって、わかっててからかってくる。

可愛く憎い奴。

⏰:08/08/29 13:32 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#270 [我輩は匿名である]
「出ていいよ〜。大事な用かもしんないじゃん」

「…百合とのエッチしか大事だもん」

「変な事言ってないで早く出て」

俺はテーブルに手を伸ばし、携帯を手に取った。


未来の俺がそこにいたら、俺は携帯電話を壊してただろう。

電話に出れないように。

⏰:08/08/29 13:32 📱:PC 🆔:D.RUzQwQ


#271 [我輩は匿名である]
画面には幼なじみの名前がいじらしく表示されていた。

「はい」

「あれ、怒ってる?」

「別に。何か用?」

「今ミナトんちの前にいんだけど、貸してたCD取りに来た」

「CD?…あぁ!まだ返してなかったっけ」

「おぉ。彼女が聞きたいらしいから返してくれー」

⏰:08/08/31 11:25 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#272 [我輩は匿名である]
「あー、はいはい。玄関持ってくから、ちょっと待って」

「早くして、寒いから」

そう言ってヨースケから一方的に電話が切れた

「どうしたの?」

百合は上半身を布団で隠しながら俺に問い掛けた。

⏰:08/08/31 11:26 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#273 [我輩は匿名である]
「幼なじみが家の前にいるって。貸してたCD取りに来たって」

「今?」

「ん、そう。ちょっと渡してくるわ。ごめん、待ってて」

CDを手に取り、百合に軽くキスをしてから玄関に向かった。

⏰:08/08/31 11:26 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#274 [我輩は匿名である]
ドアを開けると寒そうに震えていたヨースケがいた。

「遅ぇよ、バカ」

玄関の中に飛び込んできたヨースケは俺の頭を殴った。

「あー悪い悪い。わざわざ取りに来てもらって」

「ったくよー。まぁ俺も貸してた事忘れてたけどな。彼女に貸してって言われるまで」

⏰:08/08/31 11:27 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#275 [我輩は匿名である]
CDは俺の手から持ち主の手へと軽々しく移動した。

「あれ、彼女?」

ヨースケは玄関で行儀よく並んでたブーツを見て言った。

「うん」

「もしかして邪魔した?」

「うん」

嫌味たっぷりの返事。

ヨースケはスマンと言って笑っている。

⏰:08/08/31 11:27 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#276 [我輩は匿名である]
「なんか不思議だよな。ミナトが彼女なんてさー」

「もう1年半だぞ、すげーだろ」

「マジで?俺この1年で何回彼女変わったかな」

ヨウスケは他県の大学に通っている。

滅多に会えないけど良い幼なじみだ

⏰:08/08/31 11:28 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#277 [我輩は匿名である]
「ヨーちゃん最低〜」

「よく言うよ。ヤリチンのくせに」

「卒業したよ、今の彼女が俺の救世主様だわ」

「へぇ。今度彼女に会わせてよ」

「はいはい、そのうちな」

「そういえば名前は?美人ちゃんっていつも言ってたから名前知らないや」

⏰:08/08/31 11:28 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#278 [我輩は匿名である]
「あぁ、そうだっけ?」

「うん」

「百合ちゃんって言うの。心に刻んどけ、俺の女神の名前」

「…百合。ふーん。まぁ忘れなうなら覚えといてやるよ」

「何だそれ」

ヨースケはクルッと体を回転させて玄関のドアに手をやった。

⏰:08/08/31 11:29 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#279 [我輩は匿名である]
「じゃあまたな」

「ほーい」

別れはいつもアッサリしている俺ら。

ヨースケが玄関から出て行ったと同時に、俺の足は自分の部屋へと向かった。

⏰:08/08/31 11:29 📱:PC 🆔:ykHJeKFw


#280 [我輩は匿名である]
「お待たせ!」

お待たせのキスを長く長く交わした。

そのままさっきの続き。

焦らされた分、熱く優しいSEXだった。

⏰:08/09/02 11:12 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#281 [我輩は匿名である]
互いの欲望が満たされた後、下着だけ付けた俺らは布団の中で温もりあった。

肌にサラサラしたシーツが触れる。

体を寄り添わせればスベスベとした百合の肌に触れる。

こんなに安らげる時間、他にはない。

⏰:08/09/02 11:12 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#282 [我輩は匿名である]
ガチャ

いきなり部屋のドアが開いて、心臓が飛び上がった。

とっさに俺の右手は、百合を布団の中に隠すという行動を取った。

百合も俺と同じ行動をしようとしたらしく、素直に布団に潜ってくれた。

⏰:08/09/02 11:13 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#283 [我輩は匿名である]
安らげる時間、終了。

「ミナトてっめー!中身入ってねぇじゃ…ん…か…」

ヨースケだ。

ベットから出る俺の裸の上半身。

その隣に顔と体が布団に潜り込み、サラサラとした髪だけが見えている女。

⏰:08/09/02 11:14 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#284 [我輩は匿名である]
状況を飲み込んだヨースケの声は徐々に小さくなった。

「ノックぐらいしろよ」

「マジ悪い!」

ヨースケは慌ててドアを閉めて外に出た。

「百合ちゃんごめん。ちょっと待ってて」

「…うん」

⏰:08/09/02 11:15 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#285 [我輩は匿名である]
布団の中から小さく返事をした百合。

俺はベットから出てズボンだけ履くと、ヨースケが待つ廊下に出た。

「ふざけんじゃねーぞ、こんにゃろう」

「本当ごめん」

そう言うヨースケは半笑い。

⏰:08/09/02 11:15 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#286 [我輩は匿名である]
「さっきみたいに用があんなら電話しろよ」

「めんどくさくてさ。部屋にいるのわかってるし、それに、まだヤッてるなんて思わなかったから〜」

半笑いからマジ笑い。

反省してねーな

「ヤッてねぇ。寝てただけ。で、何だって?」

⏰:08/09/02 11:16 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#287 [我輩は匿名である]
「あぁ、お前CDケースだけ返されても困るんだけど」

「は?」

「中身、入ってねーよ」

さっき返したCDケースはカラッポだった。

「あぁ、悪い。デッキの中入ってんのかも」

⏰:08/09/02 11:16 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#288 [我輩は匿名である]
そう言ってヨースケには廊下で待っててもらい、俺は部屋の中に戻った。

「ごめんね、百合ちゃん」

「…ううん」

「CDの中身返すの忘れちゃってさぁ」

「…ねぇ」

「ん?」

「幼なじみの名前は?」

「え?ヨースケだけど?」

⏰:08/09/02 11:17 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#289 [我輩は匿名である]
デッキの中を探す俺の後ろで百合が動く音がした。

そして次の瞬間にはドアの開く音と、百合の声が俺の耳に流れ込んだ。

俺は慌てて振り返る。

そこには上下とも下着姿の百合が、廊下で待つヨースケに強い視線を送っていた。

⏰:08/09/02 11:17 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#290 [我輩は匿名である]
俺は慌てて自分の上着を手にとって、百合の身体を隠した。

「ちょっ…百合?」

驚いたのは俺だけじゃない。

「…百合」

ヨースケもだった。

⏰:08/09/02 11:18 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#291 [我輩は匿名である]
百合がヨースケを睨み、ヨースケが百合を見て驚いている。

この状況を理解するには俺の頭の回転が遅いせいで、なかなか大変だった。

「久しぶりだね、ヨースケ」

「百合って…百合だったの」

「気付かなかった?私は、さっき声でわかったよ。ミナトの幼なじみだって言うから家も近いんでしょ?ヨースケの家、この近くだったよね」

⏰:08/09/02 11:19 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#292 [我輩は匿名である]
「百合?ヨースケと知り合いなの?」

百合とヨースケを交互に見る。

百合はただただヨースケを睨むだけ。

ヨースケは苦笑いしながら俺に言った。

「俺ら…付き合ってた」

⏰:08/09/02 11:19 📱:PC 🆔:cNhQLB8w


#293 [我輩は匿名である]
あげーっ

⏰:08/09/02 14:14 📱:W61SH 🆔:om3kkfbo


#294 [オ]
あげe
続きが楽しみ!!

⏰:08/09/02 16:24 📱:W43H 🆔:/WFtNaGI


#295 [我輩は匿名である]
あげ、ありがとうございます!
更新遅くてすみません。

⏰:08/09/05 13:53 📱:PC 🆔:CbnYZWUc


#296 [我輩は匿名である]
脳みそをハンマーで殴られた気分。

「…嘘」

唖然とする俺。

ショックというより驚きの方がデカかった

⏰:08/09/05 13:53 📱:PC 🆔:CbnYZWUc


#297 [我輩は匿名である]
「ヨースケ」

百合が小さな声で名前を呼んだ

「…ん?」

すると細々しい百合の右手がヨースケの左頬にかみついた。

肌と肌のぶつかる音が響く。

⏰:08/09/05 13:54 📱:PC 🆔:CbnYZWUc


#298 [我輩は匿名である]
勢い余って、百合の身体を隠していた俺の上着は、百合の肩から力無く落ちていった。

「ヨースケと別れて正解だった。あんたのせいで目が腫れるまで泣いたのに、結局は遊ばれて捨てられた。だから1度殴りたかったの。本当はもっと殴ってやりたいけどミナトの幼なじみだって言うからこれでチャラにしてあげる」

俺もヨースケも呆気にとられるだけ

⏰:08/09/05 13:55 📱:PC 🆔:CbnYZWUc


#299 [我輩は匿名である]
「いい加減、女遊びやめたら?女を何だと思ってんの?バカにしないでよ…」

そう言った百合の目から、静かに涙が零れた。

「帰って」

百合は体の向きを変え、俺の部屋に戻った。

⏰:08/09/05 13:55 📱:PC 🆔:CbnYZWUc


#300 [我輩は匿名である]
「ヨースケ」

「え?」

俺の左手がヨースケの右頬に軽く当たった。

「いって!」

「百合泣かしたバツ」

⏰:08/09/05 13:56 📱:PC 🆔:CbnYZWUc


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