月の裏側
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#361 [我輩は匿名である]
百合は潤んだ目で俺を見た。
「その追い掛けても追い付かない相手のこと…まだ好きなのか?」
百合は首を横にふった。
「まさか。好きな訳ないじゃん。もう全然会ってないんだから」
:08/09/19 12:14
:PC
:./.2cs2Y
#362 [我輩は匿名である]
「でも夢に出てくるって事は…自然に百合はあいつを求めてんじゃねーの?」
「あんな奴…もう忘れたよ。忘れたのに…なんでよ…もうやだ。今更何なんだろ…夢にまで出てきてさ…」
百合は涙をぽろぽろ零して泣いた
:08/09/19 12:14
:PC
:./.2cs2Y
#363 [我輩は匿名である]
互いに名前は出さないけど、誰の話をしてるかはわかるだろ?
名前を出すと百合が苦しむから。
「ちょうど今みたいな季節じゃね?クリスマス前でさ、あいついきなり俺の部屋入って来たんだよな」
:08/09/19 12:14
:PC
:./.2cs2Y
#364 [我輩は匿名である]
何年前になるだろうか。
百合は懐かしみながら頷いていた。
「あの時の百合カッコよかったよー。俺、それまで不安だったんだ」
今更ながらの俺の本音。
:08/09/19 12:15
:PC
:./.2cs2Y
#365 [我輩は匿名である]
「百合を泣かすなんて、どんな男だよってムカついてた反面…俺から離れて行くかもしんねーって、いつもビビってたんだ」
また煙草に手が伸びた。
落ち着け、俺。
美優を妊娠して、産まれてからは、百合と美優の前でほとんど吸わなかったのに…やべぇな。
我慢できねぇ。
つい、煙草に頼ってしまう。
:08/09/19 12:15
:PC
:./.2cs2Y
#366 [我輩は匿名である]
「でも百合はあいつにガツンと言ってくれてさぁ。未練はないってちゃんと言ってくれて…あぁ、大丈夫なんだなってやっと安心できた」
スーっと俺の息を吐く音がリビング中に響き渡った。
:08/09/19 12:16
:PC
:./.2cs2Y
#367 [我輩は匿名である]
「あれから、あいつとは何度か遊んだりもした。百合の話をあえて出したりしてさ。でも最近じゃなかなか会えないな。百合がこんな事言い出すまで、思い出してやるのも忘れてたわ」
俺は笑った。
だけど百合はクスリとも笑わずに涙を流しながら俺を見ている。
:08/09/19 12:16
:PC
:./.2cs2Y
#368 [我輩は匿名である]
「あの日から安心して百合と付き合ってきて、結婚して子供もできて…ずーっと幸せに過ごせるんだと思ってた。だけどここ最近、また不安でさ」
あの日と同じ。
またあいつに泣かされる百合。
幼なじみのあいつを憎んでしまう。
:08/09/19 12:16
:PC
:./.2cs2Y
#369 [我輩は匿名である]
「やーっと理由わかった。悩んでたんだな、あいつの事で」
「未練はないの。なのに夢に出てくるなんて…自分が許せないよ。ミナトと美優にもどんな態度でいればいいのかわかんない」
:08/09/19 12:17
:PC
:./.2cs2Y
#370 [我輩は匿名である]
煙草を消して、テーブルの上に右の手のひらを開いて置いた。
「百合ちゃん」
百合は俺の手に自分の右手を乗せた。
俺はギュッと握ってやる。
:08/09/19 12:17
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