鬼が哭くよるに
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#12 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
辺りが濃霧におおわれ、朧月が妖しく煌めく夜、その男、源川秋吉(みなみがわあきよし)は焦点の定まらぬ目を光らせ林の中を駆けていた。
草鞋(わらじ)は鼻緒が両方とも千切れ、もはや草鞋としての役割を成してはいない。
着物は胸元がはだけていた。
:08/08/13 15:59
:L704i
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#13 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
けれども、そんなことを気にしてはいられない、否、気にならないほど秋吉は先を急いでいたのだ。
「まだ着かぬか、まだ着かぬのか。ええい、この足を切り落としてやりたい。すぐに疲れたと泣き寝入りする、この心臓を一突きしてやりたい」
:08/08/13 16:28
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#14 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
水気を含んだ生温い風が木々を撫でて、木の葉の擦れあう音が不気味に絶え間なく響いている。
秋吉にはその音が、お宮の泣き声に聞こえていた。
やがて秋吉の前に小汚ない小屋が現れた、と同時に秋吉は足を止めた。
:08/08/13 16:30
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#15 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
荒れる息を無理矢理抑え、乱れた着物や髪を直す。
「無事であれよ、お宮」
小屋の扉には、錆びてはいるものの重量感のある鉄で出来た、立派な閂がこしらえてあった。
それを秋吉は手慣れた手付きで外した。
:08/08/13 16:33
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#16 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
小屋の中は、雨漏りのために床に所々水溜まりができており、埃は宙を舞い、壁や床に白い膜を張っていた。
家具類は一切ない。
:08/08/13 16:37
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#17 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
ただ、小屋の中央には異様に大きい桐箱がひとつ、置かれている。
それにも埃がたまっていた。
:08/08/13 16:38
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#18 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
Break Time
暑中見舞い申し上げます。うだるようなこの夏、いかがお過ごしでしょうか?
主はホラー作品は「鬼の哭くよるに」、これが処女作だったりします。
ヒンヤリするどころか逆にヤボったくてムシムシしてきた、という苦情が感想板に殺到しそうなものになりそうです。
どうしよう(´・ω・`)
:08/08/13 17:00
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#19 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
:08/08/13 17:04
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#20 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
桐箱には「お宮」と書かれた白い札が貼られ、蓋と箱は赤糸で離れないよう入念に絡めてある。
秋吉はお宮に逢える期待に胸を膨らませながら、震える手で桐箱の赤糸を解いていった。
:08/08/13 18:25
:L704i
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#21 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
両手で左右を掴み桐箱の蓋を持ち上げると、箱の中に月明かりが射し込み中に在る物を照らす。
桐箱の中には、純白の絹でできた綿布団の上に、澄んだ眼(まなこ)を大きく見開き、此方をじっと見据えた「お宮」が横たわっていた。
秋吉は安堵の溜息をもらす。
:08/08/13 19:34
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