鬼が哭くよるに
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#23 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
お宮というのは、秋吉が拾った日本人形だった。
しかし、人形というにはあまりに大きく、その身の丈ときたら本物のおなごと大して変わらぬものであるのだ。
:08/08/13 21:00
:L704i
:Fm6tqpd2
#24 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
きらびやかな着物を脱がせば、童顔には似合わぬふくよかな白い乳房がある。
体の節々、いわゆる肘や膝にはある程度曲げる為の「繋ぎ目」というものが見当たらない。
しかしお宮の腕や足は自由に動いた。
:08/08/13 21:25
:L704i
:Fm6tqpd2
#25 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
瞳は先程水で濡らしたように常に潤み、唇は紅を挿したてのように鮮やかでみずみずしい。
お宮は、人形らしくない、限りなく人間に近い「人形」だった。
:08/08/13 21:26
:L704i
:Fm6tqpd2
#26 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
けれども、秋吉はお宮を不気味がることなく、彼女を人間同等(もしくはそれ以上かもしれない)に愛したのである。
お宮はそんな秋吉の想いに答えるように、日に日にその美しさを増していった。
:08/08/13 21:34
:L704i
:Fm6tqpd2
#27 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
「こんな汚ならしい小屋にお主を閉じ込めて面目ないな。環境は人を変えるという、お主の美しさも色褪せよう。もうすぐ妻であるお主に相応しい部屋をやる。それまでの辛抱だぞ」
「…………」
「そうか。お主は健気よのう」
:08/08/13 22:13
:L704i
:Fm6tqpd2
#28 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
お宮は当然、答えない。
しかし、秋吉にはお宮の声なき声が確かに聴こえていた。
:08/08/13 22:13
:L704i
:Fm6tqpd2
#29 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
:08/08/13 22:19
:L704i
:Fm6tqpd2
#30 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
「さあ、お宮、髪をといてやろうぞ」
そう言うと、秋吉は、懐(ふところ)から赤い漆塗りの櫛を取り出した。
それは、桐箱を拾った時、お宮の傍らに置かれていた櫛であった。
:08/08/14 12:37
:L704i
:djKd2ZK.
#31 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
今にも砕け散らんとする天鵞絨(ビロード)であるかのように、ひどく優しくお宮を抱えあげた。
お宮の長く伸びた髪が秋吉の顔を簾(すだれ)のように覆った。
:08/08/14 12:59
:L704i
:djKd2ZK.
#32 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
秋吉の緊迫を孕んだ手を伝い、重点の定まらない、まるで膓(はらわた)のつまった生き物のような重さを感じる。
秋吉は思わず息を呑んだ。
:08/08/14 13:47
:L704i
:djKd2ZK.
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