鬼が哭くよるに
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#41 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

秋吉は以前にも増して仕事に精を出し、京の都での長屋暮らしにも随分と慣れてきていた。

お宮も腕利きの人形職人に定期的に手入れを施され、美しさを増した。

長屋の衆とも交友は順調で、なに不自由ない生活を送れていることを、不意に、恐ろしく感じることもあった。

⏰:08/08/14 21:55 📱:L704i 🆔:djKd2ZK.


#42 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

そんなある日、異変が起きた。

秋吉が何時も通りに仕事から変えると、長屋の裏庭にある物干し竿に干してあった筈の洗濯物が取り込まれていた。

長屋の誰かが気を利かせて取り込んでくれたのだろう。

⏰:08/08/14 22:55 📱:L704i 🆔:djKd2ZK.


#43 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

秋吉はそう解釈し、長屋の衆に誰が取り込んでくれたのかを聞いてまわった。

しかし、そこで可笑しなことがおきる。

⏰:08/08/14 23:07 📱:L704i 🆔:djKd2ZK.


#44 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

誰一人として、秋吉の洗濯物を取り込んでなどいないと言うのだ。

洗濯物が一人でに動くわけもなく、秋吉は不思議なこともあると首を傾けた。

⏰:08/08/15 12:39 📱:L704i 🆔:IknIGERo


#45 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

それだけではなかった。

その後、昼寝をしている間にお茶が準備されていたり、いつの間にか煮物がこしらえてあったりと不思議なことが立て続けに起こったのだ。

秋吉は流石に気味が悪くなり祈祷師に祓いを頼んだ。

⏰:08/08/15 18:34 📱:L704i 🆔:IknIGERo


#46 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

祈祷師が言うには、狐狸の類いの仕業であるから部屋に札を貼り塩をまけとのことだった。

札も貼った。

塩もまき念仏も唱えた。

けれど異変はおさまらない。

⏰:08/08/15 20:00 📱:L704i 🆔:IknIGERo


#47 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

しかし、強がりを言っても秋吉も生身の人間。

不安で眠れぬ夜が続いた。

⏰:08/08/15 20:24 📱:L704i 🆔:IknIGERo


#48 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

「お宮、可哀想に、家に一人残されたお主は恐ろしかろう。どうしたものか……。何とかせねばな……」

その夜も秋吉はお宮と寄り添い寝ていた。

⏰:08/08/15 20:46 📱:L704i 🆔:IknIGERo


#49 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

不安と恐ろしさで気がおかしくなりそうになる秋吉を癒すのは、最早、お宮しかいなかった。

「わしは恐ろしい。わしが何をしたというのだろうか。狐狸を殺めた覚えもない。居心地の良い長屋を離れたくもない。どうすれば良いのだ」

「…………」

⏰:08/08/15 21:00 📱:L704i 🆔:IknIGERo


#50 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]

鈴虫の鳴き声が微かに聴こえてくる。

「静か、だな」

ふと、秋吉は妻子が生きていた頃のことを思い出していた。

⏰:08/08/15 21:01 📱:L704i 🆔:IknIGERo


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