鬼が哭くよるに
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#48 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
「お宮、可哀想に、家に一人残されたお主は恐ろしかろう。どうしたものか……。何とかせねばな……」
その夜も秋吉はお宮と寄り添い寝ていた。
:08/08/15 20:46
:L704i
:IknIGERo
#49 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
不安と恐ろしさで気がおかしくなりそうになる秋吉を癒すのは、最早、お宮しかいなかった。
「わしは恐ろしい。わしが何をしたというのだろうか。狐狸を殺めた覚えもない。居心地の良い長屋を離れたくもない。どうすれば良いのだ」
「…………」
:08/08/15 21:00
:L704i
:IknIGERo
#50 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
鈴虫の鳴き声が微かに聴こえてくる。
「静か、だな」
ふと、秋吉は妻子が生きていた頃のことを思い出していた。
:08/08/15 21:01
:L704i
:IknIGERo
#51 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
見て、蚊帳の外に蛍がいると、無邪気に笑う息子の可愛らしい声。
愛しております、と顔を赤く染めて秋吉に優しく微笑みかける美しい妻。
二度と戻らぬ、優しい思い出があふれだす。
秋吉は涙していた。
:08/08/16 07:33
:L704i
:be.0TE3Q
#52 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
「お宮、わしは、恐ろしいのだ」
「…………」
「狐狸の災いも、思い出も、何もかもが恐ろしいのだ」
秋吉はお宮をきつく抱き締め、その胸に顔を埋めて追憶を無理矢理に遮った。
:08/08/16 08:38
:L704i
:be.0TE3Q
#53 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
「今は、わしにはお主しかおらぬ。故に、お主しか見えぬのだ」
お宮の白く華奢な手を握り、接吻した。
秋吉は恥ずかしさのあまりに頬を紅に染めあげて布団に潜り込んだ。
:08/08/16 09:13
:L704i
:be.0TE3Q
#54 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
ご安心ください。
貴方様の不安も、思い出も、わたくしが全て忘れさせてあげましょう。
布団越しに、そのようなお宮の言葉が確かに聞こえてきた。
秋吉はお宮の無償なる温もりを胸に抱えたまま、微睡みに身をゆだね眠りについた。
:08/08/16 09:29
:L704i
:be.0TE3Q
#55 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
秋吉は目を覚ました。
寝惚け眼で天井を見つめていると、何やら味噌汁の薫りが漂ってくる。
それだけではない。
まな板に細かく包丁が打ち付けられる音に、桶にはられた水で鍋を洗う音まで聞こえてきたのである。
:08/08/16 10:39
:L704i
:be.0TE3Q
#56 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
誰かいるのか。
秋吉はいよいよ恐ろしくなり、静かに床から這い出した。
この時に秋吉は少しの違和感を感じたが、特に気に止めることもなく、怪しい音のする所へと忍び足で向かう。
:08/08/16 15:29
:L704i
:be.0TE3Q
#57 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
「…………」
桶やら鍋やらが詰め込まれている部屋を覗く。
とたんに秋吉は心のなかで悲鳴を上げた。
:08/08/16 15:36
:L704i
:be.0TE3Q
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