鬼が哭くよるに
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#8 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
旦那、眼が正気に戻ってますぜ
ああ良かった、良かった
へえ、これは梅さん、どうしたんだい?
はあ、あの不気味な人形を知ってるって、それは本当かい?
主人と皆に謝る
>>8
:08/08/13 15:10
:L704i
:Fm6tqpd2
#9 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
そんな、いいんですよ、わたくしも悪かったんだ
無事で何より
なんだい、先程のいざこざもあって人だかりができちまったねえ
こんな暑い日だ、皆で怪談話と洒落込もうかい
梅さん、頼むよ…
梅の話を聞く
>>9
:08/08/13 15:11
:L704i
:Fm6tqpd2
#10 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
その昔のこと、偉大な帝を亡くした京の町は人も物も全てが荒れ果てた
そんな時代に、源川秋吉は生きていた
妻子には流行り病で先立たれ親族は誰一人いない
埋まらぬ虚無をただひたすら満たそうとするかの如く身寄りの無い女を漁るように抱き
不味い酒や掛け金すらない博打に溺れる日々
希望などない
生きる意味さえ解らない
そんな時、秋吉は偶然薄汚れた桐箱を拾う
その中には息を飲むほど美しいおなごの姿をした人形がいた
そこから、その人形をめぐる輪廻は始まったのだ
:08/08/13 15:13
:L704i
:Fm6tqpd2
#11 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
:08/08/13 15:40
:L704i
:Fm6tqpd2
#12 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
辺りが濃霧におおわれ、朧月が妖しく煌めく夜、その男、源川秋吉(みなみがわあきよし)は焦点の定まらぬ目を光らせ林の中を駆けていた。
草鞋(わらじ)は鼻緒が両方とも千切れ、もはや草鞋としての役割を成してはいない。
着物は胸元がはだけていた。
:08/08/13 15:59
:L704i
:Fm6tqpd2
#13 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
けれども、そんなことを気にしてはいられない、否、気にならないほど秋吉は先を急いでいたのだ。
「まだ着かぬか、まだ着かぬのか。ええい、この足を切り落としてやりたい。すぐに疲れたと泣き寝入りする、この心臓を一突きしてやりたい」
:08/08/13 16:28
:L704i
:Fm6tqpd2
#14 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
水気を含んだ生温い風が木々を撫でて、木の葉の擦れあう音が不気味に絶え間なく響いている。
秋吉にはその音が、お宮の泣き声に聞こえていた。
やがて秋吉の前に小汚ない小屋が現れた、と同時に秋吉は足を止めた。
:08/08/13 16:30
:L704i
:Fm6tqpd2
#15 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
荒れる息を無理矢理抑え、乱れた着物や髪を直す。
「無事であれよ、お宮」
小屋の扉には、錆びてはいるものの重量感のある鉄で出来た、立派な閂がこしらえてあった。
それを秋吉は手慣れた手付きで外した。
:08/08/13 16:33
:L704i
:Fm6tqpd2
#16 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
小屋の中は、雨漏りのために床に所々水溜まりができており、埃は宙を舞い、壁や床に白い膜を張っていた。
家具類は一切ない。
:08/08/13 16:37
:L704i
:Fm6tqpd2
#17 [神崎もえ子◆Hi9o8eIXuA]
ただ、小屋の中央には異様に大きい桐箱がひとつ、置かれている。
それにも埃がたまっていた。
:08/08/13 16:38
:L704i
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