●S×S〜sugar×spice〜番外編●
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#71 [桃色]
「妬ぁくなってぇ!」

口を尖らせて手を伸ばしてくる。

そうはさせるかと、頭に触れられる寸前で払いのけると

「可愛くねぇな」と笑われる。



‥何て言うか、見透かされてる?



部室までの少しの間、何も話さないまま時間は流れる。

⏰:08/08/23 23:44 📱:SH706i 🆔:y98gOomQ


#72 [桃色]
これじゃあたしが拗ねてるみたいじゃん!

くるっと後ろを振り返ると、さっき貰ったクッキーを呑気にほお張る洋介の姿。

思わずイラっとしてまた向き直ると

「ごめんごめん、梓も食べる?ほら、アーン」

あたしを怒らせたいとしか思えない洋介の態度にも

“ここでキレたら負けた気がする”

ぐっと唇を噛み締めた。

⏰:08/08/23 23:45 📱:SH706i 🆔:y98gOomQ


#73 [桃色]
 


「お?‥何か入ってる」

部室のドアに伸ばしかけた手を止め振り返ると、クッキーが入っていた包みから淡い水色の小さな紙切れを手に取りニヤつく洋介がいた。

「おっしゃ!けーばんゲットォ!」

勢いよく跳び上がると、ヒラヒラさせた紙切れを口元に持って行き、わざとらしく音を立てて口づけをする。

⏰:08/08/23 23:46 📱:SH706i 🆔:y98gOomQ


#74 [桃色]
 


いやらしい口元から覗く八重歯‥



思い出したくもないケバ子とのキスシーンが頭をかすめる。

それでも一瞬くらっとした自分に苛立ちを覚えて勢いよくドアを開けてその勢いのままドアを閉めた。




‥あたしだってまだ洋介の番号はおろかメアドさえ知らないのに‥‥!

⏰:08/08/23 23:47 📱:SH706i 🆔:y98gOomQ


#75 [桃色]
 



―ヤキモチ



―ドクンっ



一回大きく波打ったかと思うと、あたしの心臓は鈍い痛みを全身に伝える。

心までも黒く染まってゆく感覚‥‥




こんなの恋なはずないっ

⏰:08/08/23 23:47 📱:SH706i 🆔:y98gOomQ


#76 [桃色]
 


恋ってもっと楽しくて夢中になれるものなんでしょ?



今のあたしはとっても醜い‥

何の素性も知らないケバ子に嫌悪感を抱いていたり、あたしにもクッキーを勧めてくれたナントカさんまでも憎く思ってしまってるなんて‥‥



こんなの全然楽しくないっ

⏰:08/08/23 23:48 📱:SH706i 🆔:y98gOomQ


#77 [桃色]
 


―キィ‥‥‥



静かにドアが開く。

「ほんとお前は分かりやすいなぁ‥」



あたしがいくら否定しても‥

その声を聞くだけで、その瞳があたしを捉らえるだけで、こんなにも胸が締め付けられるのは何でだろう?


困ったような、照れてるような‥初めて見る洋介のその表情は、いつにも増して魅力的だった。

⏰:08/08/23 23:48 📱:SH706i 🆔:y98gOomQ


#78 [桃色]
向かい合い、見つめ合ったまま時間だけが過ぎてゆく‥‥



だけどあたしだけ時が止まってしまったように、動くことはおろか口を開くことさえできない。

ゆっくりと洋介がこっちに向かって歩いてくる様子でさえ、あたしの目にはスローモーションに映る。

柔らかく微笑んだ洋介の表情から、その考えを読み取るなんて高度な技をあたしが持っているはずもなく‥

⏰:08/08/23 23:49 📱:SH706i 🆔:y98gOomQ


#79 [桃色◆OQUMeZqegU]
 


部室に誰もいない事に、今さらながらひどく焦る。


洋介のすらりと長いしなやかな腕が、またもやあたしに向かって伸びる。



 !!



思わずぎゅっと目をつむって身を硬くしてしまう。

⏰:08/08/24 22:48 📱:SH706i 🆔:2CrvxLfE


#80 [桃色◆OQUMeZqegU]
クスッと小さな笑い声がしたかと思うと

「ほら、貸してみ?」



‥‥‥?



そおっと片目を開けると洋介の大きな手の平が、あたしの目の前で何かを催促していた。

「‥ほえ?」

気の抜けた声しか出せないあたしに、じれったいと言わんばかりにもう一歩分距離を縮める。

⏰:08/08/24 22:49 📱:SH706i 🆔:2CrvxLfE


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