●S×S〜sugar×spice〜番外編●
最新 最初 全 
#1 [桃色]
:08/08/15 20:28
:SH706i
:LLzmPwlc
#2 [桃色]
●merry-go-round●梓編●
.
:08/08/15 20:30
:SH706i
:LLzmPwlc
#3 [桃色]
‥‥春‥夏‥秋‥冬‥‥
高校生活の三年間、どこを振り返ってもあちらこちらにアイツがいる。
アイツはいつもそばにいて
アイツはいつもふざけてた。
そんなアイツとあたしの話し‥
恥ずかしいけど話してみようかな‥‥
.
:08/08/15 20:36
:SH706i
:LLzmPwlc
#4 [桃色]
―――――――――――
――――――――
―――――
――
「おはようあずちゃんっ」
朝からとびきりの笑顔をあたしにくれる、可愛い可愛いこの子はあたしの親友、桜井瑞穂。
小学校からの付き合いだ。
「おはよう瑞穂。高校生活まだ馴染めないよ」
「ねー」と相槌をうちながら笑うたび揺れる瑞穂の長いサラサラの髪。
そこからのぞく大きなたれ目は、見つめられると女のあたしでもドキッとしてしまう。
:08/08/15 20:37
:SH706i
:LLzmPwlc
#5 [桃色]
‥それに比べてあたしときたら‥
髪は肩まで伸ばしたことないし、くせ毛だし‥
焼けてもないのに色黒の肌。
細すぎる体も好きになれない。
“瀬能梓”なんて完璧名前負け‥
どうせならケイとかユウとか、オールマイティな名前が良かった。
肩を落としてため息をつこうとしたその時
:08/08/15 20:38
:SH706i
:LLzmPwlc
#6 [桃色]
「はー‥‥ぁ」
先を越されて振り向くと、さっきまで笑ってた瑞穂の元気が無くなっていた。
原因はおそらく
「湊斗くん?」
「え?」
驚いたように顔を上げる瑞穂の顔は少し動揺しているようだった。
「毎日一緒に通ってたもんね。だけどあと一年の辛抱じゃん!湊斗くんもあたしたちと一緒の高校受けるつもりなんでしょ?」
:08/08/15 20:39
:SH706i
:LLzmPwlc
#7 [桃色]
“湊斗くん”とは瑞穂の一つ下の弟で、これがまた非の打ち所がないほどのいい男。
瑞穂はただのシスコンだよって笑うけど、そんな瑞穂も十分ブラコンだ。
二人でバスに乗りまだ通い慣れない校門をくぐる。
あたしと瑞穂は1−F。
一年の校舎は一番奥にあって、中庭を突っ切ると近道なんだけど‥
途中二、三年の校舎から瑞穂に声をかけてくる先輩が何人かいた。
:08/08/15 20:40
:SH706i
:LLzmPwlc
#8 [桃色]
いちいち振り返る瑞穂の手を引き、早歩きでやり過ごす。
「待ってあずちゃんっ」
瑞穂が鈍感なのかあたしが過敏なのか‥
とにかく湊斗くんの代わりにあたしが瑞穂を狼たちから守っていかなきゃな‥
なんてわけの分からない使命感に燃えていると、前からいかにもチャラチャラした感じの男子が歩いて来た。
エンジ色のネクタイをしめてるってことは、あたしたちと同じ学年‥‥
にしてもチャラい!
:08/08/15 20:41
:SH706i
:LLzmPwlc
#9 [桃色]
“女ったらし”を顔面に張り付けたようなふやけた容姿に歩き方。
男は黒髪!短髪に限る!
あんなのに瑞穂が捕まったらたまったもんじゃないっ!
瑞穂がソイツの視界に入らないよう、庇うようにして前に立つ。
近づいてくるにつれ、ソイツのチャラさが増したように感じる。
良く言えばオーラがある?
いやいや、確かに顔は整ってるけど‥
って何考えてんのあたし!
:08/08/15 20:43
:SH706i
:LLzmPwlc
#10 [桃色]
あたしの後ろで不思議そうに首を傾げる瑞穂の動作が、離れかけた意識を現実へと引き戻してくれる。
危ない危ない‥
あたしとした事が‥こんな奴は無視してやり過ごすに限る。
!?
コイツ今目が合った瞬間笑った!?
:08/08/15 20:45
:SH706i
:LLzmPwlc
#11 [桃色]
――
―――――
――――――――
―――――――――――
怒りにも似た感情‥
これがあたしとアイツのファーストコンタクト。
今思えば第一印象は最悪だ。
アイツは覚えてないって笑ってはぐらかすんだけどさ。
それから間もなくして、あたしはとんでもないミスチョイスを侵してしまったことに気づく‥
そう、それは‥‥‥
:08/08/15 20:46
:SH706i
:LLzmPwlc
#12 [桃色]
―――――――――――
――――――――
―――――
――
「はっ!?何でアンタがここにいるの?」
特に希望して入った訳じゃないサッカー部のマネージャー。
ただ単に担任が顧問だって理由で半ば強制的に入部させられた。
何が「その元気ハツラツな容姿はマネージャーに持ってこい」だ!
好きで色黒なわけないっつーの!
:08/08/16 21:37
:SH706i
:Yj/jA3tg
#13 [桃色]
瑞穂には「あずちゃんならできるよ!」なんて無責任な事言われるし。
なんだかんだ言っても結局引き受けちゃうのがあたしなんだけど‥‥
今はそんなことどうでもいい。
あたしが知りたいのは、何であたしの目の前に映ってるのが‥
この間あたしを嘲りやがったチャラ男の胸板なのかってこと。
:08/08/16 21:39
:SH706i
:Yj/jA3tg
#14 [桃色]
お構いなしに開けたあたしも悪かったけど、まさかチャラ男がサッカー部の部室にいるなんて思わなければ、着替えているなんて想像がつくはずもない!
‥にしても、惚れ惚れするぐらい引き締まった腹筋、胸筋、上腕二等筋‥‥
「アンタ呼ばわりはひどいな‥園田洋介。マネージャー?」
園田と名乗るチャラ男の声に、またも飛んでしまっていた意識が呼び戻される。
「そ‥のだ?E組の園田洋介ぇ?」
:08/08/16 21:41
:SH706i
:Yj/jA3tg
#15 [桃色]
まさか!
園田洋介っていえば毎日毎日クラスの女子という女子が騒ぎ立ててる男子の事でしょ!?
こんなチャラ男が園田洋介のわけない‥
頭ではそう思っていても、なぜだか園田洋介から目が離せない。
切れ長の目は上品な二重のラインを描いていて、鼻筋は華奢なんだけどしっかり通ってる。
薄い唇の間から覗く八重歯が、彼の印象を柔らかくする。
「そうだけど‥俺の顔に何かついてる?」
:08/08/16 21:42
:SH706i
:Yj/jA3tg
#16 [桃色]
「えっあっ、ごめん‥」
ヤバイ、見すぎた?
ってゆうか喋り方‥案外普通じゃん。
思ってたほどチャラくないのかも‥
「アンタ知ってる。瀬能さんだろ?」
!?
「可愛い子の名前は即チェックする派だから、俺」
そう言って写真家みたいに両手を伸ばし、その手中にあたしの上半身をとらえる。
:08/08/16 21:43
:SH706i
:Yj/jA3tg
#17 [桃色]
―ドクン!
その自信に満ちた表情に、不覚にも胸が大きく波打つ。
前言撤回!!
予想以上にチャラくてらっしゃる!
あたしの目に狂いはなかった。
さわらぬチャラ男に祟りなし‥
あたしは無言のままドアを閉め、その足で担任兼顧問に退部届けを出そうと決めた。
:08/08/16 21:45
:SH706i
:Yj/jA3tg
#18 [桃色]
「おい、サッカー部に用なんだろ?」
追いかけてくる園田洋介に構うこと無くさっさと職員室へ向かおうとしたその時
「瀬能、部室わかんなかったか?おー園田ぁ、今日からマネージャーやってくれる瀬能梓だ!よろしく頼むぞ」
振り返ると、意外にも焦った様子の園田洋介が靴も履かずに突っ立っていた。
「ちょっと、せんせ‥」
:08/08/16 21:49
:SH706i
:Yj/jA3tg
#19 [桃色]
体育会系に有りがちな、人の話しを聞かないタイプの見本‥とも言えるようなサッカー部顧問兼担任、田辺慎吾。
あたしの腕を強引に掴んで、今来た道を引っ張って行く。
「やっぱり!何も言わないで出てくんだもんな‥お茶当番手伝ってもらえる?」
八重歯を見せて、人懐っこく笑う園田洋介。
:08/08/16 21:52
:SH706i
:Yj/jA3tg
#20 [桃色]
田辺先生も暑苦しい笑顔で期待の眼差しを向けてくる。
頼まれると弱いあたしは結局断るに断れず、退部届けもどこへやら‥‥
気づけばグラウンドの水飲み場で給水作業をこなしているあたしがいた。
勿論隣りには園田洋介。
終始ふやけたこの男と、これから毎日顔を合わすのかと思うと何とも言えない気持ちだった。
――
―――――
――――――――
―――――――――――
.
:08/08/16 22:02
:SH706i
:Yj/jA3tg
#21 [桃色]
あの時いやがおうでも退部してたら‥
きっとアイツとあたしはただの同級生。
いや、それ以下だったかもしれないな‥
田辺先生に感謝しとくか。
それから間もなくして事件は起こる。
初めて味わう感情の意味が、その時のあたしには分からなくて‥認めたくなくて‥‥
アイツを想って涙が出たのも、あれが初めてだった気がする。
:08/08/16 22:03
:SH706i
:Yj/jA3tg
#22 [桃色]
―――――――――――
――――――――
―――――
――
高校生活にもマネージャー業にもそこそこ慣れてきた頃‥
アイツとは顔を合わせば口喧嘩。
しかも小学生みたいなレベルの言い争いをいつもしていた。
例えば?
あたしはアイツを「チャラ男」って呼んでたし、アイツもあたしを黒いから「くろさ」って呼んでた。
だけどそれだけ。
:08/08/17 19:55
:SH706i
:gzGQb5DU
#23 [桃色]
特に仲が良いわけでもなかったし、アイツの周りにはいつも入れ代わり立ち代わりいろんな学年の女子が取り巻いていた。
季節はちょうど夏を迎える手前。
梅雨が明けたにも関わらず、どんより雲がかかった‥そんな日だった。
いつもはトイレについて来る瑞穂が、課題に追われて休み時間を潰していたので一人で廊下を歩いていると、男子トイレの前に交差する男女の足が見えた。
:08/08/17 19:57
:SH706i
:gzGQb5DU
#24 [桃色]
?
覗いたわけじゃない。
そこを通らないと女子トイレに行けなかった。
あたしの目に映ったのは、あたしの知らない上級生と唇を重ねる園田洋介の姿だった。
しなやかな腕を女の人のくびれに添わして、もう片方の手は頭を固定している。
切れ長の目を綺麗に閉じて、噛み付くようにキスをしている。
:08/08/17 19:58
:SH706i
:gzGQb5DU
#25 [桃色]
‥‥‥‥‥‥っ!
何がなんだかわからないまま地面を蹴って女子トイレに駆け込む。
―ドッドッドッドッ‥
心臓の音と共にこめかみが圧迫される感覚‥
何? 何? 何?
何を見た?
‥‥有り得ない!
公衆の面前で何やってるの!?
:08/08/17 20:00
:SH706i
:gzGQb5DU
#26 [桃色]
「うっ‥」
軽く吐き気に襲われながら、洗面台の鏡を見る。
あれ?
あたし‥泣いてる?
頬を伝う滴はどこから見ても目の端から流れている。
胸が締め付けられるような感覚と共に鼻の奥がツンとして、あたしはそのまま泣き崩れた。
:08/08/17 20:00
:SH706i
:gzGQb5DU
#27 [桃色]
次の授業をサボることになったのは言うまでもない。
一時間トイレで過ごすのは避けたかったので、チャイムが鳴ってから誰もいないのを確認して保健室へ向かう。
保健の先生には生理痛と嘘をついて、空いてるベッドを貸してもらった。
.
:08/08/17 20:01
:SH706i
:gzGQb5DU
#28 [桃色]
‥何だったんだあれは‥
そもそも誰だあの女は!
上級生でも何でも、恥を知れ恥を!
園田洋介‥
やっぱりチャラ男はチャラ男でしかなかった‥
あんな奴と今まで口きいてたなんて!
:08/08/17 20:03
:SH706i
:gzGQb5DU
#29 [桃色]
苛立つ気持ちは収まるどころか激しさを増す。
思い出したくなくても園田洋介の腕が、目が唇が‥‥
あたしの心を掻き乱して離れない。
それにさっきのあたしの涙‥
驚いたにしてもなぜ泣く必要があったのか‥‥‥
:08/08/17 20:05
:SH706i
:gzGQb5DU
#30 [桃色]
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥わからない‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥考えるだけ無駄だ。
こっそり携帯を取り出して、保健室にいると瑞穂にメールで伝えると、糊のきいたシーツと布団に何もかも預けて現実から逃げ出した‥‥‥
:08/08/17 20:09
:SH706i
:gzGQb5DU
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194