●S×S〜sugar×spice〜番外編●
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#232 [桃色◆OQUMeZqegU]
 


思わず校門の影に隠れて息を殺す。

何となく、もうあの人と関わっちゃいけない気がしたから‥‥

どんどん上がる心拍数。

暑くなんてないはずなのに、首元と手の平にじんわりと嫌な汗が滲む。

震える指先を合わせながら、できるだけ体を縮こまらせる。


―ザッザッザッ‥


冬の夜に響く足音は何故か聞き覚えがある気がした。

⏰:08/09/29 21:35 📱:SH706i 🆔:.HIHz0ig


#233 [桃色◆OQUMeZqegU]
 
ゆっくりと顔を覗かせる。

暗くてよく見えないけど、あの背丈‥あの歩き方‥


「‥よぉ‥すけっ」

考えるよりも先に声が出た。

震えてしまったその声は、きっと寒さだけのせいじゃない。

洋介はいきなり呼ばれて驚いた様子だったけど、すぐにあたしだと気づいてそばまでやって来た。


「梓ぁ?どうしたんだよ、こんなとこで」

⏰:08/09/30 21:30 📱:SH706i 🆔:loenBkT2


#234 [桃色◆OQUMeZqegU]
校門のそばの植え込みから現れたあたしに、洋介は少し戸惑っている。

目は泳いでいて今日は全くあたしの姿を捕えない‥

何だかそれが無償に悲しくて泣きたくなる。


そういえばあたし、どうして隠れてたんだっけ?


そう思った時、またしても鼻をかすめるあの香り‥

どうして洋介から泉ちゃんの香りがするの‥?


“泉が変われば洋ちゃんも変わる”

あの人確かにそう言ってたよね?

⏰:08/09/30 21:31 📱:SH706i 🆔:loenBkT2


#235 [桃色◆OQUMeZqegU]
 
もう‥わけがわからない‥

あの香りがするたびに、頭がガンガンして割れそうになる。


やっぱりこの香り‥好きになれない‥


洋介は何を考えているのかポケットに手を突っ込んだまま、ただひたすら白い息を吐いている。

「今日‥」

言いかけて迷う。

⏰:08/09/30 21:31 📱:SH706i 🆔:loenBkT2


#236 [桃色◆OQUMeZqegU]
泉ちゃんに呼び出されたこと‥言ってもいいんだろうか?

だけど何故だか今日の洋介は好きじゃない。

そのまま背を向け別れも告げずに行こうとすると

「お、おい‥何だよ?」

追いかけてくる洋介にイライラがおさまらない。

「何でもない、忘れて」

早足になるあたしの肩に、洋介の手がかかる。

⏰:08/09/30 21:32 📱:SH706i 🆔:loenBkT2


#237 [桃色◆OQUMeZqegU]
「とりあえず、送るべ?」
そう言ってまたいつかみたいに車道側に回った洋介。



この世で一番見たくないものを見た瞬間だった。



外灯に照らされた洋介の首元‥



赤く滲んだキスマーク‥


.

⏰:08/09/30 21:32 📱:SH706i 🆔:loenBkT2


#238 [桃色◆OQUMeZqegU]
 
同時にあの人の笑い声が聞こえた気がした。

頭をハンマーで殴られたような感覚‥

ううん、そんなの嘘。


何も感じない‥

何も聞こえない‥‥



目の前が、真っ暗だ。

⏰:08/09/30 21:33 📱:SH706i 🆔:loenBkT2


#239 [桃色◆OQUMeZqegU]
 



それからどうやって家に帰ってきたのか‥

所々しか思い出せない。


追いかけてくる洋介を、振り切って‥振り切って‥バスに乗った‥‥


気づいたら自分の部屋にいて、体中の力が抜けて動けなくなっていた。


あの時以来の衝撃‥


絡まる二人の姿が甦る‥

⏰:08/10/01 19:23 📱:SH706i 🆔:EavP5aJg


#240 [桃色◆OQUMeZqegU]
 
 

 やめて!

見たくない!!

‥洋介っ!

‥‥洋介っっ!!



呼吸が乱れて上手く息ができない。

苦しい‥

痛い‥

胸が、痛い‥

⏰:08/10/01 19:23 📱:SH706i 🆔:EavP5aJg


#241 [桃色◆OQUMeZqegU]
 

「うぅ‥っく!うぅぅ‥」

声にならない声は、喉の奥に引っ掛かって我慢するほど涙が溢れる。


その時‥


体全体をふわっと柔らかい感覚に包まれた。


 ?


「泣きたい時はなぁ、思っきり泣け。じゃないと涙ってのは止まんねぇぞ」

「‥なぎっ‥にぃ‥?」

⏰:08/10/01 19:24 📱:SH706i 🆔:EavP5aJg


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