●S×S〜sugar×spice〜番外編●
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#290 [桃色◆OQUMeZqegU]
「わかった‥わかったから、離して‥‥」
羽交い締めにされたまま身動きのとれないあたしは、とにかく今は洋介から離れたくて結局話しを聞くことにした。
時間は10時を優に越えている。
‥渚兄、心配してるだろうな‥‥そんなことを考えながらまたさっきのベンチに腰を降ろす。
少し離れて座った洋介は、大きくゆっくり深呼吸をして、じっと足元を見つめたままポツリポツリと話しを始めた。
:08/10/17 15:01
:SH706i
:NNyqxJYU
#291 [桃色◆OQUMeZqegU]
「‥泉には、俺達のこと‥何て聞いた?」
「幼なじみ‥だけど?」
「そっか‥良かった‥」
―良かった?何が??
「だけど洋介は泉ちゃんが好きだって言ってた」
ほっとしてる洋介がムカついて、つい言わなくていいことまで言ってしまった。
だけど洋介は驚くことなく困ったような、悲しいような、そんな表情を浮かべていた。
:08/10/17 15:01
:SH706i
:NNyqxJYU
#292 [桃色◆OQUMeZqegU]
「はぁ‥‥そっか、うん。間違ってはない。好きだったのは事実。だけどあくまで“だった”って話し」
意外にもあっさり認めた洋介にこっちの気が抜けてしまう。
しかも“だった”って‥
泉ちゃんはそんな風に言ってたっけ‥‥?
「あいつさぁ、小さい時から嘘つきで‥それで他人を傷つけたり、迷惑かけてるっていうの‥わかってないんだよね」
「えっ‥それって‥‥」
「ん〜、虚言癖ってやつ?病院とか行ったことないからわかんねぇけど‥だけどそう思われても仕方ないぐらい、あいつの嘘つきは酷いんだ」
:08/10/17 15:02
:SH706i
:NNyqxJYU
#293 [桃色◆OQUMeZqegU]
‥嘘?
どこまでが、嘘なの?
それとも全部‥嘘だったの?
“洋介、梓ちゃんの話ししかしないんだ”
よみがえる泉ちゃんのフレーズ‥
あの時一瞬でも浮かれてしまった自分が少し恥ずかしくなった。
:08/10/17 15:02
:SH706i
:NNyqxJYU
#294 [桃色◆OQUMeZqegU]
「他には、何か言ってこなかった?“洋介には泉が必要なの〜”とかさ」
ふざけたように手をヒラヒラさせながら話す洋介。
この感じからして、こういう事が前にもあった‥?
「そんな風には、言ってなかった‥」
まさかあんたをお願いされた、なんて言えるはずもなく‥‥
「相手によって変わるのかな」
腕を組んでそう呟いた洋介に、さっきの予感が的中したと確信した。
:08/10/17 15:03
:SH706i
:NNyqxJYU
#295 [よ]
あかなあ

:08/10/20 01:55
:D905i
:VcZDhAyU
#296 [我輩は匿名である]
は・や・く

:08/10/25 01:30
:SH903i
:N13f0rRY
#297 [桃色◆OQUMeZqegU]
「聞かせてくれる?泉ちゃんと、洋介の話し‥」
ただ単純に知りたいと思った。
あたしの知らない洋介‥
それから
どうして泉ちゃんが嘘をつくのか‥‥
知らなきゃいけない気がしたんだ。
だけど洋介は立ち上がって、ポケットに両手を突っ込むと首をブンブン横に振った。
:08/10/31 13:30
:SH706i
:J.HgY2bw
#298 [桃色◆OQUMeZqegU]
「いっ、いいよ!また今度でっっ!!」
何故か焦っている洋介にあたしの頭上は疑問譜だらけだ。
「あんたが聞いてほしいって言ったんでしょーが!今度はないよ、今しか聞かないっ」
プイッとそっぽを向きながら、ベンチの上で膝を抱えて暖をとる。
とはいえやっぱり寒い‥
「ふぇ‥っくちっっ!」
「ほらぁ、今日はもう遅いし帰ろうぜ?」
「‥やだっ聞くまで帰んないっ!」
:08/10/31 13:31
:SH706i
:J.HgY2bw
#299 [桃色◆OQUMeZqegU]
あんなに辛い思いさせられて‥‥
あんなに泣いて‥
渚兄や梢さんにまで心配かけて‥‥
知りたいって思うのは当然じゃない‥‥
洋介のことなら
なおさら‥
‥何だって知りたい。
そんなあたしの意地が勝って、何とか本音を言う前にベンチに戻ってきた洋介。
:08/10/31 13:32
:SH706i
:J.HgY2bw
#300 [桃色◆OQUMeZqegU]
―!!!
だけどその距離は隙間なんてないほどピッタリ密着していて、さもそれが当然であるかのように洋介の腕があたしの肩に回っている。
言うまでもなく、あたしの意識は飛ぶ寸前‥‥‥
「ちょっっと‥ぉ」
やっとの思いで出た言葉も、自分の鼓動に掻き消されそうだ。
:08/10/31 13:32
:SH706i
:J.HgY2bw
#301 [桃色◆OQUMeZqegU]
左半身に伝わる洋介の温もり‥
あっ、こんなとこにホクロあるんだ‥‥
なんて洋介の耳の後ろなんか見てる場合じゃない!
「ばか!離れてよ!!」
「寒みーんだろ?話し聞きたいならこれが条件!」
そう言ってあたしの頭を抱えると、自分の方に抱き寄せる。
―☆*×#%★っ!!?
.
:08/10/31 13:33
:SH706i
:J.HgY2bw
#302 [桃色◆OQUMeZqegU]
「も!ももも、もう大丈夫!平気!だからはな‥‥っ」
「だぁ!もぉうっせぇ、俺だって寒みーの!おとなしくしてろっ」
‥‥‥‥‥
そうは言ってもこれ以上密着したら、それこそあたしこの場で溶けちゃうっ!
そんなあたしの気も知らないで、空を見上げる洋介の横顔‥‥
:08/10/31 13:34
:SH706i
:J.HgY2bw
#303 [桃色◆OQUMeZqegU]
うぅ‥
余裕じゃん‥‥
こういうの、慣れてるんだろな‥‥
なんだかあたしばっかりドキドキして、ズルイよ洋介‥
そう思った次の瞬間―
.
:08/10/31 13:34
:SH706i
:J.HgY2bw
#304 [桃色◆OQUMeZqegU]
「うぇっ!?梓っ??」
気づくと思いっきり不自然な体勢で洋介に抱きついてたあたし。
‥抱きつくっていうよりはしがみつくって感じ‥?
うろたえる洋介の声、もちろんあたしの心臓はバックバクのドックドク。
「梓‥お前‥‥」
そっとあたしの頬に伸びてきた洋介の指先‥
冷たくて一瞬びくっとしてしまう。
:08/10/31 13:35
:SH706i
:J.HgY2bw
#305 [桃色◆OQUMeZqegU]
顔を上げるとそこには
目を閉じたまま近づいてくる‥
洋介の顔‥
いや―
唇‥‥!!?
え‥ぇえ‥‥ぇええ〜!?
何なに!?
なんでっ!!
:08/10/31 13:36
:SH706i
:J.HgY2bw
#306 [桃色◆OQUMeZqegU]
ちょっとからかっただけっ!
やだ!
待って!!
待っって!!
待っっっっ‥‥‥
.
:08/10/31 13:36
:SH706i
:J.HgY2bw
#307 [桃色◆OQUMeZqegU]
‥‥‥???‥‥‥
そおっと目を開けると、そこには何故か青ざめた顔の洋介のドアップ。
と共に感じるこの悪寒は‥
「〜あ゛ぁぁ〜ずぅぅ〜〜さ〜〜〜ぁぁあああああ」
一気に血の気が引いていく。
お腹の底から内臓をえぐり出されるような感覚‥
地響きと共に現れたのは‥.
:08/10/31 13:37
:SH706i
:J.HgY2bw
#308 [桃色◆OQUMeZqegU]
「ぬぁっ!渚‥兄!?‥‥と、梢‥さんっ‥」
今にも殴りかかってきそうな勢いの渚兄を、後ろからつかみ掛かって必死に止めてくれている梢さん。
「オイっ!ゴラァ!うちの妹にそれ以上近づいてみろォ!てめぇ‥ぶっ殺すだけじゃすまねぇぞっ!!」
完璧に目の色が変わってる渚兄。
‥ヤバイ、このままじゃ本当に洋介何されるかわかんないっ
:08/10/31 13:37
:SH706i
:J.HgY2bw
#309 [桃色◆OQUMeZqegU]
そう思った次の瞬間、あたしの横にすっと立ち上がった洋介は、背筋を伸ばすと渚兄に向かって思い切りよく頭を下げた。
「はじめましてっ‥‥!
梓さんと同じ部の園田といいます。こんな遅くまで妹さん連れ出してしまってすいません」
ピーンと張り詰める公園の空気。
より一層寒さが増したように感じるのは気のせいかな。
:08/10/31 13:38
:SH706i
:J.HgY2bw
#310 [桃色◆OQUMeZqegU]
「渚兄、あのね‥」
「お前は黙ってろッ!」
容赦なく飛ぶ渚兄の怒鳴り声。
制止する梢さんの手からゆっくり離れると、じりじりとこちらににじり寄って来る。
―お願いっ
殴ったりしないで‥!
:08/10/31 13:40
:SH706i
:J.HgY2bw
#311 [桃色◆OQUMeZqegU]
心配そうに二人を見つめるあたしと梢さん‥
暗くても伝わってくる、渚兄の威圧感。
ゆっくりと確実に近づいてくる‥
靴の先同士が当たるんじゃないかと思う程、二人の距離が縮まった
その時‥
「てめぇが園田か‥‥‥」
目の前の洋介を貫いてしまいそうなほど鋭い目つきで睨んでいる渚兄。
:08/10/31 13:40
:SH706i
:J.HgY2bw
#312 [桃色◆OQUMeZqegU]
その眼差しに、その重圧に、かろうじて耐えている様子の洋介。
あたしはただ、祈るような気持ちでそこに立ち尽くしてた。
しばらく沈黙が続いた後、口を開いたのは渚兄だった。
「帰るぞ、梓」
―!?
「え‥‥‥」
「こんな奴、殴る価値もねぇ」
:08/10/31 13:41
:SH706i
:J.HgY2bw
#313 [桃色◆OQUMeZqegU]
吐き捨てるようにそう言って、背中を向けるとそのまま歩き出してしまった。
「待って!まだ話しの途中なの‥」
「あぁ?俺にはとても話してるようには見えなかったけどなぁ」
「あ‥っあれは‥‥っ」
思わず口ごもってしまったあたしに、渚兄は顔だけ振り返ると
「お前が納得できてねぇうちから手ぇ出すような輩じゃあ、ろくな男じゃねぇに決まってる。だいたいてめぇ、梓と付き合ってるわけでも何でもねぇんだろ?」
:08/10/31 13:41
:SH706i
:J.HgY2bw
#314 [桃色◆OQUMeZqegU]
静かだけど、重い言葉‥
ズキン、ズキンと心に響く。
「‥‥‥それは‥‥‥
‥‥すんません‥‥‥」
バツが悪そうに下唇を噛む洋介。
だけどすぐに顔を上げると
「確かに‥さっきのは、言い逃れできませんけど‥‥いい加減な気持ちで梓に話しに来たんじゃありません」
:08/10/31 13:42
:SH706i
:J.HgY2bw
#315 [桃色◆OQUMeZqegU]
はっきりと、空に響いた洋介の声。
冷えた心に染みる言葉。
こんな時に、不謹慎だけど‥
嬉しい
素直にそう思う自分がいた。
今度は体ごとこちらに向き直った渚兄は、洋介の顔をじっと見ると小さくため息をついて
「だったら、もうコイツのこと二度と泣かせるな」
:08/10/31 13:46
:SH706i
:J.HgY2bw
#316 [桃色◆OQUMeZqegU]
そう言ってまた踵を返すと梢さんを連れて行ってしまった。
「‥‥‥何か、ごめんね」
「おっ!?おぅ、俺の方こそ‥‥悪かったな」
軽く頬をかきながら、照れ臭そうに笑う洋介。
「今日はやっぱり送ってくわ。これ以上お前連れ出してたら、あの兄ちゃんに何言われるかわかんねぇし」
「そ‥だね‥」
少し寂しい気もしたけど、これ以上渚兄に心配かけたくないのも本音だ。
:08/10/31 13:46
:SH706i
:J.HgY2bw
#317 [桃色◆OQUMeZqegU]
あたしたちもそれからすぐに公園を後にした。
「なぁ梓‥」
「ん?」
「泉のことだけど‥ちゃんと話すから」
「‥うん」
家の前まで送ってもらうと、また明日、と言って別れた。
あたしたちもそれからすぐに公園を後にした。
:08/10/31 13:50
:SH706i
:J.HgY2bw
#318 [桃色◆OQUMeZqegU]
上の『続き』にある
“あたしたちもそれからすぐに公園を後にした。”
無視してください!
:08/10/31 13:52
:SH706i
:J.HgY2bw
#319 [桃色◆OQUMeZqegU]
心配したお母さんが、玄関のドアを閉めるなり走って来て
「あんまり遅いから心配したじゃない!携帯も部屋に置きっぱなしだし‥渚には会えた?」
「うん、ごめんねお母さん。渚兄、まだ帰ってないの?」
「あんた追いかけて出てったっきり!誰も帰って来ないからお父さんに連絡しようかと思ったわ」
「そんなぁ‥大袈裟な!」
笑ってごまかしながらも内心ドッキドキのあたし。
:08/10/31 13:53
:SH706i
:J.HgY2bw
#320 [桃色◆OQUMeZqegU]
渚兄よりも熱血漢のお父さん‥‥
単身赴任でいろんな所を飛び回ってるんだけど、あたしがちょっと熱を出したってだけで昔はよく飛んで帰って来てたっけ‥
「まっ、今はお父さんよりも渚の方が頼りになるわね」
微笑むお母さんにあたしの顔も自然とほころぶ。
と同時に、何だか一気に疲れが襲ってくる。
一日のうちで、こんなに色んな感情を味わったのなんて初めてだ。
:08/10/31 13:54
:SH706i
:J.HgY2bw
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