【特別企画】1日限りの恋愛短編祭り!【投下スレ】
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#94 [◆EOLHvvAOaU]
【投下終了】

タイトル:雨のち……
◆アンカー◆
>>70-93


次の方、どうぞ…

⏰:08/09/14 14:39 📱:812SH 🆔:☆☆☆


#95 [◆1jVUKlu67k]
今から投下します!!

タイトル
【決めゼリフ】

⏰:08/09/14 16:35 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#96 [◆1jVUKlu67k]
「結婚しよう!!……ん〜ありきたりすぎだ……」

そう言って太郎はうなだれた。

風呂上がりに腰にタオルを巻いただけの姿で鏡とにらめっこするのも日課となってしまった。

鏡の前でのプロポーズの練習は、かれこれ五日目。

同時に、彼女に指輪を渡せないでいる日数も五日目。

⏰:08/09/14 16:36 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#97 [◆1jVUKlu67k]
こんなに言葉を考えているのに、これといった決めセリフが思いつかないなんて自分の国語力のなさにため息がでる。

「俺が幸せにするから………いや、なんか違うんだよね……」

まだ乾き切っていない髪の毛から滴り落ちる滴は、太郎を慰めるように優しく頬を伝う。

半裸で鏡に映った無気力な自分は、どうしようもなく滑稽で、今日の練習はここまでにする事にした。

⏰:08/09/14 16:36 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#98 [◆1jVUKlu67k]
「もう2年か……」

湿った髪の毛をドライヤーで乾かしながら、太郎は2年前の記憶の糸を手繰り寄せる。

彼女と出会ったのは、薔薇の刺のようにチクチクとした鋭い風が吹き荒れる冬の日。

当時彼女は週に一回水曜日に、駅前でティッシュを配るアルバイトをしていた。

⏰:08/09/14 16:37 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#99 [◆1jVUKlu67k]
茶色に染めた短い髪を冷たい風になびかせながら、一生懸命ティッシュを配る姿に、気付いたらもう釘付け。

それからと言うもの、毎週水曜日は何度も彼女の前を通り、数え切れないほどのティッシュを家に溜めていった。


そんなストーカー混じりの行為を毎週していれば、さすがに彼女も気付くわけで……

「あの、そんなにティッシュ欲しいんですか?」

キレイに整えられた眉をひそめ、苛立ちを露わにして問う。

⏰:08/09/14 16:38 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#100 [◆1jVUKlu67k]
明らかに自分は嫌悪されていると分かってはいるものの、みるみるうちに自分の中の“何か”がキュウっと締め付けられる。

人はこれを切なさと呼ぶのだろうか。

「いや、あの、目的はティッシュじゃなくて、あなたなんです……あれ?」

この言葉はまずい、と思った瞬間にはもう遅かった。

乾いた音が冬空に響く。

⏰:08/09/14 16:38 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#101 [◆1jVUKlu67k]
彼女は顔を真っ赤にしながら、太郎の右頬を思いっきりひっぱたいたのだ。

「私が目的!?この変態!!!!」

ティッシュと共にその言葉を投げ捨て、彼女は去っていった。

“今思い出しても、あのビンタは強烈だったな”

水分を含んでいた髪も、今では水気を失い、一本一本が芯を持つ。

⏰:08/09/14 16:39 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#102 [◆1jVUKlu67k]
彼女との思い出が懐かしくてなのか、頬にふれる毛先がくすぐったくてなのか、いつのまにか頬がゆるんでいるのが自分でも分かった。

出会いは最悪。
自分に対しての第一印象も最悪。

こんな状況から二人が付き合うようになったのには、太郎のマメな性格と、彼女に気に入られようとする血の滲むような努力が実を結んだものだった。

⏰:08/09/14 16:40 📱:F905i 🆔:☆☆☆


#103 [◆1jVUKlu67k]
ビンタを食らってからは、毎日のように謝罪の言葉を言った。
ことごとく無視されたが。


何回目かの謝罪で彼女の誤解も解け、許してくれた時に食事に誘った。

そこで1回目の告白。

まぁ、フラれたのだが……。

けれど根気強く、何度も食事に誘い、何度も告白した結果、今に至ることができた。

⏰:08/09/14 16:40 📱:F905i 🆔:☆☆☆


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