【特別企画】1日限りの恋愛短編祭り!【投下スレ】
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#308 [◆SjNZMOXdWE]
頑として口を開かない圭太郎に苛立ちながらも、こうなったら自力で聞きに行くしかないとよわっちい根性を奮い立たせていると
「なぁお前、藤堂ひな太のこと覚えてる?」
急にトーンを抑えた圭太郎が神妙な面持ちで話し掛けてきた。
「え?あぁ、覚えてるよ。よく三人で木に登ったじゃん。お前と違って優しくてカッコよくて、俺の憧れだったよ」
それが今どう関係あんだよ!
:08/09/14 21:02 :SH706i :☆☆☆
#309 [◆SjNZMOXdWE]
俺はそんな事よりどうやってあの美少女に近づくかを考える事に集中したいんだ。
「そっか‥お前、あれからあいつと会ったか?」
「だぁ!もぉ何なんだよ?会ってねぇよ!ひな太が転校して今の一度も!見かけた事すらない!」
お願いだからシュミレーションの邪魔をしないでくれ。
「‥そっか、だったらいいんだ‥‥」
その時圭太郎がどんな表情してたかなんて覚えてないけど、今なら想像がつく。
:08/09/14 21:05 :SH706i :☆☆☆
#310 [◆SjNZMOXdWE]
きっと目新しいおもちゃを手にした子供のように、目をキラキラ‥いや、ギラギラ輝かせてたに違いない‥
圭太郎の真意を知るのはこの数時間の後だった。
まさか俺にこんな運命が待っていようなんて‥‥
.
:08/09/14 21:07 :SH706i :☆☆☆
#311 [◆SjNZMOXdWE]
「ねぇねぇ、あの子の名前わかる?」
昼休み、まずは隣のクラスの女子にリサーチ。
本当根性ないんだ、俺。
こんな時だけ圭太郎のノリの良さが羨ましくなる。
「あぁ、七川さん?なんか前にもこっちに住んでたことあるらしいよ」
思ってもみない名前以外の情報ゲット!
七川さんかぁ‥
名字もなんか可愛い。
「こっちに住んでたっていつ頃?」
:08/09/14 21:08 :SH706i :☆☆☆
#312 [◆SjNZMOXdWE]
「さぁ?あたしのクラスの子はみんな知らないって言ってたし、小さい頃じゃない?」
それだけ言うとナントカさんは行ってしまった。
まだもうちょっと聞きたいことはあったけど、我慢我慢‥
次のターゲットを絞っていると、七川さんの周りに人だかりができているのが目にとまった。
少しうつむいて顔を赤くしてる七川さん‥
そんな表情もたまらなく可愛い。
:08/09/14 21:09 :SH706i :☆☆☆
#313 [◆SjNZMOXdWE]
「あぁあ〜お前いいの?あれ」
またも俺の背後からちょうど耳元めがけて囁いてくる圭太郎。
「気持ち悪いなぁ、何がだよ?」
「あれだよあれ」
そう言って圭太郎が指さした方へ視線をたどれば、学年一‥いや校内一のモテ男、石橋一樹が視界に入った。
何でも石橋に触れられたら、誰でもかれでもイチコロらしいのだ。
その石橋が向かう先には‥なんと愛しの七川さんが!
:08/09/14 21:10 :SH706i :☆☆☆
#314 [◆SjNZMOXdWE]
「あっどうしよ!圭太郎!どうしたらいい?」
焦った俺は、やり場のない感情を圭太郎に訴えかける。
「知〜らね!自分で何とかすればぁ?」
そう言うと圭太郎は意地悪そうに歯を見せてヒヒヒと笑ってみせた。
ぐ‥ちぐじょー!
どうすりゃいいんだこんな時!?
俺はここでただただ指加えて見てる事しかできないのかぁ?
それでも動こうとしないこの足‥
ヘタレにもほどがある。
:08/09/14 21:10 :SH706i :☆☆☆
#315 [◆SjNZMOXdWE]
そうこうしているうちに何とも華麗な手さばきで、石橋が七川さんの白魚のような手にそっと自分の手を重ねた。
‥終わった。
さようなら俺の愛しい人‥
せめて一言だけでも会話したかった。
だけど次の瞬間奇跡が起こった。
:08/09/14 21:12 :SH706i :☆☆☆
#316 [◆SjNZMOXdWE]
石橋の手を物凄い勢いで払いのけた七川さんが、俺めがけて走って来たんだ。
半泣きで頬を紅潮させた七川さん。
スローモーションで再生されてるような感覚‥
ゆっくり、ゆっくりと俺の方へ翔けてくる。
そのたび揺れる栗色の巻き毛。
俺の方へ伸ばされる腕は折れそうなほどか細くて‥
:08/09/14 21:19 :SH706i :☆☆☆
#317 [◆SjNZMOXdWE]
思わず一歩前に出ると同時に飛び込んできた七川さんを、体ごと抱きとめた。
「‥翔ちゃんっ」
わずかに聞こえた七川さんの声も「ヒュ〜♪」という圭太郎の口笛のせいで掻き消された。
え?
今何つった?
翔ちゃん??
:08/09/14 21:19 :SH706i :☆☆☆
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