【特別企画】1日限りの恋愛短編祭り!【投下スレ】
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#32 [◆BBhDve0Trg]
 

最後の最後にあんなに冷たかった俺を、美穂は嫌いになっただろうか?

俺と付き合ったことを、後悔しなかっただろうか?


カランッ

店のドアの開く音がした。

どうせ知らない人だろう、と俺は後ろを振り向きもしない。
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⏰:08/09/14 13:31 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#33 [◆BBhDve0Trg]
 
「・・・一輝」

声が、聞こえた。

聞き慣れていたはずの声。

(・・・これって)

まさかと思いながら、俺はゆっくりと振り向く。

「・・・美穂」

そこには、美穂がいた。

驚く俺をよそに、美穂は俺の隣に並ぶ。
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⏰:08/09/14 13:32 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#34 [◆BBhDve0Trg]
 
「・・・一輝、変わってないね」

冷たい風に長い髪をなびかせながら、美穂は言った。

「・・・美穂もな」

俺は、平然を装って答える。


いや、むしろ綺麗になったよ。

そんなこと言えないけど。

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⏰:08/09/14 13:33 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#35 [◆BBhDve0Trg]
 

美穂は髪を押さえて、ふふっと笑った。

俺はそんな美穂を、今日初めて正面から見た。


・・・あぁ、美穂だ。

笑った顔も、一つ一つの仕草も、何もかもが大好きだった。

大好きだった。

なのに・・・
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⏰:08/09/14 13:34 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#36 [◆BBhDve0Trg]
 
あの時、傷つけてごめん。

優しくなれなくて、ごめん。


「・・・美穂」

「ん?」

美穂がきょとんとした顔で俺を見る。
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⏰:08/09/14 13:34 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#37 [◆BBhDve0Trg]
 
(・・・あ)

言いたいことはいっぱいありはずなのに、いざとなると言葉が出てこなくて、俺は固まってしまった。

顔が赤くなるのが分かる。

そんな俺を見て、美穂は優しく微笑む。

「・・・一輝、私ね」

口を開いた。
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⏰:08/09/14 13:35 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#38 [◆BBhDve0Trg]
 
「一輝のこと、本当に好きだったよ」

そう言って、美穂は少しうつむいた。

長い髪がさらりと揺れる。


・・・美穂に、こんなこと言ってもらえるとは思ってなかった。

俺も・・・今なら言えると思った。

もう、絶対に後悔したくない。

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⏰:08/09/14 13:36 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#39 [◆BBhDve0Trg]
 

俺は冷たい空気を吸い込んだ。

今は、夜空の星でさえも自分を応援してくれている気がする。

(・・・よし)

「・・・俺さ、ずっと後悔してたんだ」

白い息とともに、吐き出すように言った。

美穂が、真剣な顔で俺を見る。
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⏰:08/09/14 13:37 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#40 [◆BBhDve0Trg]
 
「最後に・・・美穂に冷たい言葉しか掛けれなかったこと」

美穂は、驚いたような顔をした。

「美穂のこと、好きだったのに・・・泣きそうな顔させた」

俺は目をつむって、頭を下げた。

「・・・あの時は、ごめん」

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⏰:08/09/14 13:38 📱:D904i 🆔:☆☆☆


#41 [◆BBhDve0Trg]
 

やっと言えた。

謝ったからって、傷つけた事実が変わる訳じゃないし、ただの自己満足かもしれない。

けど、言わずにはいられなかった。


「一輝・・・顔上げて」

美穂に言われて、俺はゆっくりと顔を上げる。

それを確認して、美穂は口を開いた。
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⏰:08/09/14 13:39 📱:D904i 🆔:☆☆☆


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