【特別企画】1日限りの恋愛短編祭り!【投下スレ】
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#358 [◆8HAMY6FOAU]
踊り狂え、愛しきピエロ

>>338-357


終了しました。
次の方どうぞ!

⏰:08/09/14 22:44 📱:SH903i 🆔:☆☆☆


#359 [◆j9RqQwYZbM]
今から投下します!

タイトルは,

【花と君とあたし。】

⏰:08/09/14 22:49 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#360 [◆j9RqQwYZbM]
「別れたぁ〜!!
っていうかフラれたぁ!!」

突然の大声に店内に居る客という客の視線が、一斉に自分へと注がれる。そりゃあそうだ。
静かに花を選びに来ている人間からすれば、場違いにも甚だしい行動。

しかしそんな冷ややかな視線にも慣れている私は、店内の空気などお構いなしに、いつものようにある人物をキョロキョロと探し始める。

第一今の私に周りを気にしていられる程の余裕なんて、これっぽっちも残されていなかった。

「…イタッ!?」

すると突然、後頭部を何かで叩かれ思わず大声を上げる。

⏰:08/09/14 22:56 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#361 [◆j9RqQwYZbM]
「おい!これ以上大声出すな!
店はお前の家じゃねぇぞ!?」

振り返ると手には新聞紙を握り締めている長身の男が、呆れた表情で突っ立っている。
どうやら私の後頭部はコレで叩かれたらしい。

「…プッ…あたしより声張ってんじゃん」

そんな彼とは逆に、注意している本人が一番声を張り上げているのが可笑しくて、私は思わず吹き出した。

「…ッ!うるせぇーよ!とりあえずちょっとこっち来い」

そうこうしている間に、私はほぼ無理矢理の状態で店の奥へと連れて行かれる。

⏰:08/09/14 23:02 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#362 [◆j9RqQwYZbM]
店の奥へと彼に手を引かれている間も、客の視線が痛々しい程感じられた。

確かに逆の立場だったら私はウザイ客だろうな〜なんて考えていたら、いつもの広場に通された。

様々な種類の花が植わっている花壇が円を書くように敷き詰められた広場には、小さなベンチとテーブルが真ん中幾つか置かれている。

私はこの広場が好きなんだけど、今は使われていないらしくほぼ花の在庫置き場になっている。

⏰:08/09/14 23:12 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#363 [◆j9RqQwYZbM]
「…で?今度は何で別れたんだよ?」

ついつい綺麗な花に見とれていた私は、彼の声で一気に現実へと引き戻され急に腹が立って来た。

「そうだった!もぉ本当聞いてよ〜!今度はさぁ…」

私はずっと抑えていた気持ちを声の出る限り彼に伝えようとする。

そして彼はいつものように必死で話す私を彼は黙って聞いてくれる。

これが私と彼の関係の全てだった。今も昔も。

⏰:08/09/14 23:18 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#364 [◆j9RqQwYZbM]
彼、こと"大庭咲良(オオバサクラ)"は2つ年上の私の幼なじみでこの花屋の一人息子だ。

兄弟の居ない私にとっては幼なじみであり兄のような存在でもある。

そのせいか私は何か嫌なことがあったり心配事があったりすると、必ずこの花屋に駆け込んで咲良に話を聞いてもらっていた。

まぁその相談事の9割方が私の恋愛についてなのだが。

⏰:08/09/14 23:26 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#365 [◆j9RqQwYZbM]
今回の相談もそうだった。つい最近まで付き合っていた彼に突然、「重い」と言ってフラれてしまった。

フラれた彼に何の未練も無いしむしろあんな奴もうどうでも良いのだけど、いつも思うことがある。

彼の言う"重い"って一体何?
私にとって好き=いつも一緒に居たいとか、相手をいつも想いやっていたいとか、そういうこと。

それなのにその想いを"重い"だなんて言葉で片付けられちゃ、納得出来るワケが無い。

だから私はいつも自分に合う人を求めて沢山恋愛をしてきた。
でもいつも結果は同じ。

なかなか思う通りにいかなくてまたこの花屋に来てしまうんだ。

⏰:08/09/14 23:35 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#366 [◆j9RqQwYZbM]
「…で結局フラれた、と」

「…まぁ…まとめたらそうなります」

支離滅裂な話を終えた頃時計に目をやると約30分が過ぎていた。
咲良に喋ればスッキリすると思っていたのに、意外と未消化な気持ちで居る自分に驚いた。

暫く沈黙が続き、咲良はゆっくりと席を立ち上がる。

⏰:08/09/14 23:43 📱:W52P 🆔:☆☆☆


#367 [◆j9RqQwYZbM]
数分程して帰って来たかと思うと、咲良はおもむろに何かを私に差し出して来た。

「そうだな…今の沙保にはこの花を…花言葉は」

「もぉぉ!!咲良の花の慰めは要らないって!!」

咲良の言葉を遮るようにそう言うと、私はテーブルにうつ伏せる。

「お前…本当失礼な奴だな!人が心配して選んだ花を受け取らないなんてよぉ!!」

まだ馬鹿げた文句を言いながら、咲良は不機嫌そうにイスに座り直す。

⏰:08/09/14 23:49 📱:W52P 🆔:☆☆☆


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