【特別企画】1日限りの恋愛短編祭り!【投下スレ】
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#400 [◆ZPM9124utk]
絢は目を丸くして
笑顔で景色を眺める。
「絢、もし良かったら
俺とつ、つ、付き合って
くれないか!??」
絢を先ほどから見つめていた
悠二は緊張した面もちで
告白した。
驚いた絢は固まった後、
はにかみながら、
「…うん。」
と返事をした。
:08/09/15 02:07 :F705i :☆☆☆
#401 [◆ZPM9124utk]
それから悠二は
片時も絢のそばから
離れなかった。
絢が昔を思い出して
悲しくなったらいつだって
励ましてくれた。
絢の大学合格が決まった時
は自分のことのように
喜んでくれた。
そんな悠二を絢も
いつからかかけがえのない
大切な人だと感じる
ようになった。
しかし、そう思う反面
絢は自分が寂しさを
埋めるために悠二と付き合い
始め都合の良いことを
しているのではないか、
と悩むようになった。
:08/09/15 02:08 :F705i :☆☆☆
#402 [◆ZPM9124utk]
絢にとって悠二は
大切な人だった。
しかし片思いしていた異性
は絢にとってまだ
諦めきれない大好きな人
だったのだ。
そうと分かったら
いても立ってもいられなく
なった絢は悠二を
あの歩道橋に呼び出した。
「別れてほしいの。」
:08/09/15 02:09 :F705i :☆☆☆
#403 [◆ZPM9124utk]
悠二は案の定、嫌だ、
と言った。しかし絢は
聞く耳を持たずに
言ってしまった。
「あんたなんか最初から
好きなんかじゃなかった。」
『ピピピ!!!』
目覚ましの音で絢は
長い夢から目を覚ました。
「…………嫌な夢。」
絢は一言つぶやくと
いつも通り身支度を整えて、
自宅を出て大学へ向かった。
:08/09/15 02:10 :F705i :☆☆☆
#404 [◆ZPM9124utk]
いつもは通らない歩道橋
が気になって引き寄せら
れるかのように
絢は階段を上っていた。
悠二が立っていた。
髪もボサボサで服も
ジャージだ。
「………絢だよね。」
悠二が絢に近づいて
ゆっくり言った。
絢は何も言えなかった。
悠二が涙を流していたから。
:08/09/15 02:11 :F705i :☆☆☆
#405 [◆ZPM9124utk]
「俺、昨日マフラー拾って
もらった時、思い出したんだ。
絢がこれプレゼントして
巻いてくれたの。」
そう言い、悠二は
適当に巻きつけたマフラーを
きゅっ、と握った。
「それがキーワードに
なっていろんなこと
思い出したんだ。」
「確かに、辛かったけど…
でも俺思い出して
良かったよ。久しぶり、絢。」
「………久しぶり…。」
絢も挨拶を返した。
悠二があまりにも
嬉しそうに言うので、
さすがに嘘をつくことが
できなかった。
:08/09/15 02:12 :F705i :☆☆☆
#406 [◆ZPM9124utk]
「ひとつ思い出せないことが
あるんだけど何で俺のこと
振ったの?」
橋の下で何台もの車が
ものすごいスピードで
走り抜けていくので
絢は思わず目でそれらを
追いかけながら答えた。
「あたし、あの時、寂しくて
誰でもいいからそばにいて
欲しかった。」
…―また言えない。
素直になれない。
もう二度とあんな思い、
したくない。
:08/09/15 02:13 :F705i :☆☆☆
#407 [◆ZPM9124utk]
絢は下唇を噛んで、
悠二を見据えた。
「ううん、本当は悠二に
いてほしかった。でも、」
「あの人のことが諦め
られなくて、このままじゃ
悠二のこと寂しい時だけ
利用してる
みたいだったから…。」
絢は言い終えてすがすがしい
ような申し訳ないような
複雑な気持ちに襲われた。
「…ひどいな。」
:08/09/15 02:14 :F705i :☆☆☆
#408 [◆ZPM9124utk]
悠二は悲しそうに俯いた。
絢は頷く。
「でもさ、」
「今度は俺が寂しいから
絢のこと諦めきれないから
そばにいてほしいって
言ったらどうする?」
そう言って顔を上げた
悠二は一年前に見たことある
笑顔だった。
:08/09/15 02:15 :F705i :☆☆☆
#409 [◆ZPM9124utk]
絢は驚いて固まった後、
「わかんない。」
と笑顔で答えた。
「わかんない、って何だよ!」
簡単にあしらわれた悠二
が絢に少しムキになって
言った。
「私もやっとあの人のこと
吹っ切れたから、
考えてみる。」
絢はピースサインを
してみせた。
「…おう。」
今年の冬の始まり、
2人の関係が再び
この歩道橋の上で
変化し始めた。
:08/09/15 02:16 :F705i :☆☆☆
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